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サン、“Network Computing 2004 Summer”を開催!

2004年06月10日 07時23分更新

文● 編集部 小板謙次

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我々はこれからもシステムに注力していく

サン・マイクロシステムズ(株)(以下、サン)は8日、都内で同社のビジョン、製品、ソリューションなどを紹介する“Network Computing 2004 Summer”を開催した。

パートナーや報道関係者でいいっぱいになった会場
代表取締役のダン・ミラー(Daniel Miller)氏
代表取締役のダン・ミラー(Daniel Miller)氏。同社のイベントNCで発表されたトピックなどを振り返る

「サンが将来的に注力するのはハードなのかソフトなのか?とよく聞かれるが、我々はこれからも今までもシステムに注力すると必ず答えている」と、同社代表取締役のダン・ミラー(Daniel Miller)氏はスピーチをはじめた。今回のセミナーでは後述する3名がスピーチにたったが、その基本になっているのは“すべてがつながる”ネットワーク、そしてシステムということだ。氏は1年前からスタートした“NC(Network Computing) ”イベントを振り返り、Java Enterprise System、OpenSource Java Desktop Systemの発表、米Advanced Micro Devices社とのパートナーシップ、Ultra SPARC IVのラインナップなどの発表を取り上げながら「我々は新しい手法を取り入れるために常に戦っているのだ」と話した。なかにはマイクロソフトとのアライアンスの話も登場したが、「マイクロソフトには敬意を表するが、デスクトップ領域においてもネットワークにおいてもイノベーションはオープン環境・競争から生まれるのだ」と皮肉った。また、ネットワークイノベーションは単にハードウェアやその品質向上で実現できるものではなく、パートナーを含めた統合的なソリューションの上で考えなければならないとし、富士通(株)との次期SPARC/Solarisサーバー開発面での提携や『StarSuite』販売面でのソースネクスト(株)との提携をアピールした。



これまでのイベントで発表したトピックを振り返った
「我々はアグレッシブに競争している」としてこれまでのイベントで発表したトピックを振り返った
富士通とのアライアンスはハードウェアの面のみならず、Solarisのコミュニティーを促進していくという意味で重要なのだ
「富士通とのアライアンスはハードウェアの面のみならず、Solarisのコミュニティーを促進していくという意味で重要なのだ」

将来は1兆のデバイスがネットワークにつながる

バイスプレジデントのStephen D.Pelletier(スティーブ・ペレティエ)氏
バイスプレジデントのStephen D.Pelletier(スティーブ・ペレティエ)氏

次に登壇したバイスプレジデントのStephen D.Pelletier(スティーブ・ペレティエ)氏は、同社が目指すネットワークのビジョンと現状についてスピーチを行なった。携帯電話の着メロの市場規模が20億ドル(約2205億円)、携帯電話向けゲームの市場が30億ドル(約3308億円)であることを取り上げ、新しいネットワーク接続のプラットフォームはもはやパソコンだけではなったとした。氏によると、Java搭載のハンドセットの台数は出荷ベースで2億5000万台となっており、その数はパソコンよりも多いという。また、Javaカードも5億枚出荷されているという。これらの数字を取り上げながら、将来は1兆個のデバイスがネットワークに接続するようになるだろうとして、ここに大きなビジネスチャンスが存在すると強調した。



将来は1兆個のデバイスがネットワークにつながる
将来は1兆個のデバイスがネットワークにつながる
Sun RFID Solution
Sun RFID Solution

Identity Management Software

サンが提唱するネットワークの具体的な成果として、最初に取り上げられたのは次期Solaris 10だ。「これまではメインフレームでしか実装できなかったN1 Grid Containersが、ソラリス10で対応可能になっている」ことや「AMDとのパートナーシップによってx86のプロダクトラインも急速に市場が成長している」ことが紹介された。また、まもなく登場する『Identity Management Software』についても紹介された。これは同社が今年はじめに買収した米Waveset Technologies 社の技術を組み込んだもので、Identity Repositoryを担当する“Directory Server”、認証・承認を担当する“Access Manager”、ポリシー管理などを担当する“Identity Manager”から構成される。氏によると、このソフトウェアはパートナーのIdentityとの同期可能だという。

Solaris 10新機能を紹介するパネル
Solaris 10新機能を紹介するパネル
Identity Management Software
Identity Management Software

サンはデスクトップ分野でも戦う!マイクロソフトの最大の強敵なのだ

デスクトップ分野では「我々はマイクロソフトにとって最強の競合相手であると言うことができるのだ」と話し、デスクトップ分野でも戦っていくとアピールした。そこで紹介されたののが“Sun Java Desktop System”で「具体的には申し上げないが、一元的にコンテンツ管理ができ、どのユーザーがどのコンテンツにアクセスすたかの管理が可能だ。日本でも1ユーザーあたり5500円で使用することができるだろう」と話した。最後に氏が紹介したのが、サンのRFIDに対する取り組みでミドルウェアである『Sun Java Infomation Server』を発表したとした。しかし、もっと重要なのはこの分野の研究のために最初のラボをアメリカのテキサス州のダラスに立ち上げたことが紹介された。

Niagara、Rockファミリー

マーク・トレンブレイ(Mark Tremblay)氏
マーク・トレンブレイ(Mark Tremblay)氏

バイスプレジデントで、プロセッサー・エンジニアリングのマーク・トレンブレイ(Mark Tremblay)氏は、SPARCとSolarisの現状としてプロセッサーのロードマップについて触れた。それによると、Ultra SPARC IV+は90nmのプロセスルールで1年後に登場し、Ultra SPARCIII+も開発していく。Niagara(ナイアガラ)は現在TIでファブを起こしている最中で、これはUltraSPARCIIII(スリーアイ)の15倍のパフォーマンスを達成する。「90nmでは無理だろうと言われていたが、ダイのサイズが耐えられたということだ。消費電力も少なく驚くべきもの」とアピールした。また、この後、Rockファミリーが登場してくる。これは、UltraSPARCIIIの30倍のパフォーマンスを発揮するもので、65nmのプロセスで製造予定となっている。氏によると同社のスケーラブルシステムグループのエンジニアの90%はNiagara、Rockファミリー、そしてそのシステムの開発に力を注いでいるという。



プロセッサーのロードマップ
プロセッサーのロードマップ
プロセッサーとその位置づけ
プロセッサーとその位置づけ

真のネットワークコンピューティングの形態

ソリューション・マーケティングでシニアディレクターのジェフ・ヴァイス(Jeff Veis)氏は、ネットワークコンピューティングの価値を示す例として、デスクトップモビリティーをデモを交えながら紹介した。

JavaカードをSunRayでデモを行なうジェフ・ヴァイス氏
Javaカードを手にSun Rayでデモを行なうジェフ・ヴァイス氏
ノート型Sun Rayでワイヤレス接続環境を証明する
ノート型Sun Rayでワイヤレス接続環境を証明する

氏がデモに使ったのは『Sun Ray SNAP Cliant』だ。CPUやメモリ、HDDをもたない“Thin Client(シンクライアント)”で、JavaカードをSun Rayのターミナルに差し込むと、各人が使用できるようになる。「出張に行く時を考えて見て欲しい。自分のテレビを出張先に持っていくだろうか?そんなことをするわけがない、テレビは“Thin Client”と同じで、単にネットワークアクセスに導く道具にすぎない」として、ネットワークコンピューティングも同じことだとしてデモを続けた。「この形態は第1歩にすぎない。サンでは今後もオフィスの数を減らしていくし、現在もオフィスの2/3はいつも空っぽだ」としてデスクトップモビリティーを実現している現状を紹介した。Javaカードを変えただけで役割の違うアクセス(ロールベースのアクセス)を実現でき、、特定のアプリケーションを使うようにするだけではなく、その人に合わせたコマーシャルを提供する商用ベースへの用途の広がりも生まれてくる可能性にも言及した。

JICPACへの導入例 JICPACへの導入例
米国国防省ハワイにある“JICPAC(太平洋艦隊の諜報活動センター)”への導入例

また、これを使って構築したシステムとしては、インフラソリューション“SNAP Secure Network Access Plathome”を挙げ、米国国防省のハワイにあるJICPAC(Intelligence Center of the Pacific)という要求度の高い顧客に導入した実績を紹介した。ここでは、Sun Rayのサーバーを使いながら5年間で1億ドルを節約しているとした。

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