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ソニー、2004年度経営方針説明会を開催――「2006年の転換点に向けてTR60を着実に実行する」

2004年05月19日 22時10分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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“2004年度 ソニーグループ経営方針説明会”に出席したグループ役員
“2004年度 ソニーグループ経営方針説明会”に出席したグループ役員の顔ぶれ。中央(左から4人目)に出井会長、その右に安藤社長らが並ぶ

ソニー(株)は19日、東京・溜池の東京全日空ホテルで“2004年度 ソニーグループ経営方針説明会”を開催した。会場には、会長兼グループCEOの出井伸之(いでいのぶゆき)氏、社長兼グローバル・ハブ プレジデント、PSBG担当の安藤国威(あんどうくにたけ)氏、副社長兼COO(モバイル担当)の高篠静雄(たかしのしずお)氏、副社長兼COO(ホーム、ゲーム、半導体担当)の久多良木 健(くたらぎけん)氏、副社長兼グループCSO&CFO(現ソニー・エリクソン・モバイル・コミュニケーションズ・エー・ピー社長)の井原勝美(いはらかつみ)氏、副社長兼COO(キーデバイス、製造担当)の中鉢良治(ちゅうばちりょうじ)氏らが出席(各役職は今年6月1日就任予定のものを含む)。現在実践している変革プラン“トランスフォーメーション60(TR60)”が着実に実を結んでいることなど、2003年度の具体的な成果を挙げながら2004年度の経営方針を説明した。



「時代の変化はいっそう加速する。
2006年を変化点と捉え、流動/統合戦略を検討していく」

2004年度の目標を説明する出井氏
2003年度の成果を振り返り、2004年度の目標を説明する出井氏

出井氏は開口一番、「ブロードバンド時代の到来で、携帯電話にカメラやメール、インターネット、パソコンにTVといった具合に、メディアの融合が進んできた。さらに中国の台頭、日本では高齢化(エイジング)が進んでいる。こうした変化は、今後加速することはあっても停滞・減速することはないだろう。そして、水が氷や水蒸気に変わるような大きな転換点が2006年ごろに訪れると予想している。ソニーでは、これに備えて現在進めている変革プラン“トランスフォーメーション60”を速やかに実行し、企業・産業・国家を含む大きな変化に対応していく。また、既存の戦略(事業の選択と集中)を連続的に進めて効率化を図るのはもちろん重要だが、不連続に、あるいは垂直統合的に推し進める変化のある戦略も求められるだろう」と切り出した。

2006年はソニー生誕60周年(還暦)の節目の年であり、2003年秋の戦略説明会では、「この時点で営業利益10%(金融部門除く)を実現したい」(出井氏)と説明していたが、2003年度の連結決算が営業利益で前年比-46.7%(税引き後の純利益で-23.4%)の減益になったことなどを受けて、より積極的な施策を打ち出したものと考えられる。



ソニーの集中領域、ホームエレクトロニクスとモバイルエレクトロニクス コアデバイスを共通化
ソニーの集中領域、ホームエレクトロニクスとモバイルエレクトロニクス。そこで付加価値を高めて差別化を図るというさらにコアデバイスを共通化することで、製造・生産過程の効率化を図る

続いて出井氏は2003年度の成果を、「やるべきことはしっかりやった」と振り返った。具体的には、「液晶パネル/プラズマディスプレーパネル/リアプロジェクションという3種類の大画面TVを投入し、シェアNo.1を確保するとともに、商品力の回復を果たした。HDD&DVDレコーダーも、『PSX』を含めてシェアを伸ばした。今後もこの分野は成長していくだろうが、ソニーとしての滑り出しは順調と言える」「デジタルカメラは(価格、性能ともに)競争の激しいカテゴリーだが、CCDのトップメーカーであり、18~23%程度といわれるNo.1シェアを確保している。カムコーダーは以前からトップシェアを続けているが、昨年も利益貢献度の一番高い商品となった」「VAIOは高付加価値商品に絞ってラインナップし、先週も新コンセプトの製品(“Do VAIO”)を投入した。全世界で黒字を記録しており、元気なジャンルだ」「このほか、コアデバイスの開発・製造についても積極的な投資を続けている」とカテゴリー別にレビューを述べた。

4つのコアデバイス“CELL/イメージング/ディスプレイ/ストレージ”
コアデバイスの具体例。“CELL/イメージング/ディスプレイ/ストレージ”の4つを挙げた

コアデバイスの具体例として、会場では複数CPUを有機的に連動して並列処理することで、大量データの高速処理を目指す新アーキテクチャー“CELL(セル)”、CCD/CMOSといった“イメージング”、韓国サムスン電子社とのジョイントベンチャーで現在韓国に製造工場を建設中の第7世代液晶パネルなど“ディスプレイ”、米国のゲーム関連イベント“E3 2004”で発表された『PlayStation Portable』にも使われている小型光ディスク“UMD”などの“ストレージ”の4つを挙げている。

一方、TR60に沿った構造改革においては、「2003年からの3年間で3350億円の構造改革費用を投入していくが、すでに前倒しで実施している早期退職者優遇制度や“事業の選択と集中”などによって、2003年度から2004年度で880億円、2005年度は1440億円の効果が出ると試算されている。さらに2006年からは年間2000億円の固定費削減効果が見込まれる」と成果をアピールした。

ソニーが目指す遠心力と求心力のバランスの取れた円卓状のグループ構成
ソニーが目指す、遠心力と求心力のバランスの取れた円卓状のグループ構成

最後に2004年度の重点施策として

  • TR60の着実な実行
  • エレクトロニクスの融合戦略を継続
  • エンタテインメント事業の強化
  • グループ経営の更なる進化

を掲げ、これまでの戦略をさらに加速して進めていくことを宣言した。特にグループ経営の進化については、日本に古くから根付いている大型ピラミッドのような集合体ではなく、中央にグループを統括して戦略を進めるヘッドクォーターを設定し、その周辺に遠心力と求心力のバランスがとれた個々の競争力のある企業が車輪を形作って、相互に刺激しあいながら、強調していく円卓状の図を示した。

説明会の後の記者からの質問で、2006年に営業利益率10%以上を達成する目標について今後の見込みは、と聞かれると「世界のどのCEOも、長期的な変化と短期的な成果のギャップに悩んでいるだろう。ソニー全体でみると、生産工場を多数持ち、営業部隊も各地域に多数配置したことがグローバルに成功した要因だが、将来も企業が成長を続けるためには、自らハードルを設定して達成していく必要がある。連続的な競争力の強化と、非連続的な新しいチャレンジと達成が必要。10%の成長は、その後の投資や拡大に必要なハードルだと考えている。エレクトロニクスからエンタテインメントまで、ソニーグループ全体に等しくハードルを設定して、全社で達成できるようにがんばっていく」と答えた。

愛・地球博に2005インチのプロジェクターを出展!!

なおQ&Aの最後に、2005年に愛知県で開催される国際博覧会“愛・地球博(EXPO 2005 AICHI JAPAN)”において、ソニーは「これまでにない大規模で美麗なプロジェクターを出展する」(出井氏)と発表した。これは2005年にちなんで対角2005インチサイズ(幅50m×高さ10m)で、巨大な画面ながら“これまでに見たことがない高画質な表現が可能”だという。

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