起動時間の高速化が顕著
撮影機能としての最大の特徴は、Pシリーズ初のマニュアル露出モードを搭載することだろう。モードダイヤルを“M”にしてカーソル中央のボタンを押せば、カーソル上下でシャッター速度を、左右で絞り(2段階)を切り替えられる。なお、絞り優先/シャッター速度優先モードは装備してない。
そのほかの変更点としては全体的な動作の高速化が挙げられ、DSC-P10が起動時間約2.5秒/撮影間隔約1.6秒だったのに対し、P100では各1.3秒/1.2秒と短くなっている。特に起動時間の高速化が顕著で、電源を入れれば即座に沈胴式レンズがスッと伸びて撮影可能になるほか、電源OFF時の沈胴動作も速く、使い勝手はかなり軽快だ。
実際に使ってみると、起動時間や撮影間隔、シャッタータイムラグなどの短縮のメリットはすぐに感じられる。Pシリーズの従来機を持っている人でも、快適に使えることだろう。また、バッテリー容量に余裕があるのは、持ち歩きカメラとして頼もしい。マニュアル露出モードに関しては、プログラムオートで露出補正をプラスマイナスで指定したり、シーンプログラムでスポーツモードや夜景モードを使うよりも、きちんと露出時間を決めたいときには便利だが、DSC-P10では搭載されていたオートブラッケット撮影がなくなっているのはやや不満が残る。撮影時にじっくり設定して露出を決めるか、とりあえず上下に露出を振った画像をまとめて撮っておいてパソコン側で画像を選ぶのかは人それぞれだが、スナップ写真が主な用途のコンパクト機ということを考えれば、自動的に露出をずらして3コマの連写を行なうオートブラケット撮影機能も残しておいてほしかった。
撮影サンプル&総評
撮影画像に関しては、拡大してもざらつき(ノイズ感)がほとんどなく、同社ならではのすっきりとした色あいとともに嫌味のない絵作りとなっている。ただ、やや細部のディテールが潰れがちで、パソコンで等倍表示などをするとシャープさが物足りないように感じるところもあり(撮影時のシャープ補正は標準)、ノイズ低減とシャープネスをバランス良く両立させることの難しさをうかがわせる。
撮影サンプル1(a)。1944×2592ドットの元画像を480×640ドットにリサイズしたもの。ISO感度100、プログラムAE、F3.2、1/80秒(Exif値)。 | 撮影サンプル1(b)。1944×2592ドットの元絵の部分をトリミングした。 | |
やや薄暗いシーンでの撮影ではあるが、暗部にざらついたところがあまり見られない。画像処理によってノイズが抑えられている。 |
撮影サンプル2(a)。1944×2592ドットの元画像を480×640ドットにリサイズしたもの。ISO感度100、プログラムAE(露出補正-0.3)、F5.6、1/550秒(Exif値)。 | 撮影サンプル2(b)。944×2592ドットの元絵の部分をトリミングした。 | |
すっきりとした葉や空の色は同社ならではの色作りだが、枝や花の輪郭にシャープさがもう少し欲しいところ。 |
撮影サンプル3(a)。元画像は2592×1944ドット。ISO感度100、マニュアル露出、F5.6、1/200秒。 | 撮影サンプル3(b)。944×2592ドットの元絵の部分をトリミングした。 | |
葉の緑色が、やや黄色がかった発色となっている。近接撮影などでは、2段階とはいえ、マニュアルで絞り込めるのがありがたい。 |
サイバーショットの中でPシリーズは軽快なスナップカメラという位置付けだが、今回のDSC-P100や「DSC-P5」「DSC-P3」を見ると、新設計の充電池を採用することによって小型軽量化が図られたことがわかる。DSC-P5/P3以降のモデルが同じ充電池を使いながらさらに完成度を上げていったように、DSC-P100は新しいPシリーズの始まりのモデルと言えるだろう。
サイバーショット DSC-P100の主なスペック | |
製品名 | サイバーショット DSC-P100 |
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撮像素子 | 9.04mm(1/1.8インチ) 有効510万画素(総525万画素)CCD |
レンズ | f=7.9~23.7mm(35mmフィルムカメラ換算38~114mm相当)、F2.8~5.2 |
記録画素数 | 2592×1944/2592×1728(3:2)/2048×1536/1280×960/640×480ドット |
記録媒体 | メモリースティック |
動画 | 640×480ドット、30fps、MPEG-1形式 |
バッテリー | 専用充電池 |
本体サイズ | 108.0(W)×26.6(D)×51.5(H)mm |
重さ | 約183g(バッテリー、メモリースティック、リストストラップ含む) |