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ダイマジック、ステレオ音源を3Dサラウンドにリアルタイム変換するエンコーダー『DiMAGIC EST-PRO』などを発売

2004年04月09日 17時34分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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『DiMAGIC ETS-PRO』『DiMAGIC Virtualizer』完成披露会の模様

(株)ダイマジックは6日、東京・神田の東京電機大学でプレス関係者や音楽制作関係者を集め、同社が独自に開発した3Dサラウンドエンコーダー『DiMAGIC ETS-PRO(ダイマジック イーエスティ-プロ)』『DiMAGIC Virtualizer(ダイマジック ヴァーチャライザー)』の完成披露発表会を開催した。DiMAGIC EST-PROは1Uラックサイズのハードウェアによるリアルタイムエンコーダー、DiMAGIC VirtualizerはWindows 2000/XP用エンコードソフトウェアで、どちらも作成したいサラウンド環境に応じた設定/パラメーターなどを出荷時に設定したカスタム製品として受注販売する。価格は非公開。単体での店頭販売は当面予定していないとのこと。



代表取締役兼社長の浜田晴夫氏 取締役技術部長の斎藤俊夫氏
代表取締役兼社長の浜田晴夫氏取締役技術部長の斎藤俊夫氏

会場には(株)ダイマジックの代表取締役兼社長の浜田晴夫氏、取締役技術部長の斎藤俊夫氏らが出席し、製品の特徴や位置づけなどを説明した。浜田氏は、「ダイマジックが独自に開発した2スピーカーで3Dサラウンド環境を実現する基礎技術である、“stereo dipole”(ステレオダイポール)と“DiMAGIC Virtualizer X”(ダイマジック・ヴァーチャライザー・エックス、略称:DVX)をベースに、新たに“DiMAGIC Headphone”(ダイマジック・ヘッドホン、ヘッドホンで仮想3Dサラウンド音響再生を行なう技術)と“Adaptive Surround”(アダプティブ・サラウンド)技術を開発し、今回の新製品発表に至った。Adaptive Surroundはステレオ(2ch)音源を元に、独自手法で5.1chサラウンドサウンドを生成・出力する技術。既存のドルビー・プロロジックなどとは原理が異なるため、ほとんどの音楽ソース(ステレオ)で違和感のない立体音響が楽しめる。さらに、Adaptive Surroundで5.1chサラウンドを出力し、これをstereo dipoleとDVXを用いたステレオスピーカーでの仮想5.1ch環境で再生することも可能」と話した。

ダイマジックが開発した各種音響技術 Adaptive Surroundの技術解説を行なうパネル
ダイマジックが開発した各種音響技術。新たに下の2つ(“DiMAGIC Headphone”“Adaptive Surround”)を新たに開発したというAdaptive Surroundの技術解説を行なうパネル

斉藤氏の説明によると、Adaptive Surroundは、周波数成分ごとにステレオ音源の左右で相関性を調べ、相関関係が強い音域ではセンターおよびフロント左右からの出力を強め、相関関係が弱い音域についてはリアとフロント、センターをほぼ均等に出力することで周囲から包み込むような音場を作るという。これは、ドルビー・プロロジックが左右の音声の波形とその逆位相を計算して導き出す方式とは大きく異なる。

『DiMAGIC ETS-PRO』と『DiMAGIC Virtualizer』の用途の違い
『DiMAGIC ETS-PRO』と『DiMAGIC Virtualizer』の用途の違い。レコーディングやライブ放送などのリアルタイム変換には前者、ポストプロダクションや“着メロ”“着うた”などのコンテンツ作成には後者を勧めている

このアルゴリズムをベースに、オーディオ向けDSP(32bit浮動小数点演算、1800MIPS)2基を搭載した専用ハードウェアでリアルタイム変換するのが、3Dサラウンドエンコーダー『DiMAGIC ETS-PRO』。同等の機能をWindows 2000/XP上で実現し、WAVEファイルに対してソフトウェア変換するのが『DiMAGIC Virtualizer』となる。なお、同社ではDiMAGIC VirtualizerのWindows 98/Me、Mac OS X対応版も開発中とのこと。

DiMAGIC EST-PROの前面 DiMAGIC EST-PROの背面
DiMAGIC EST-PROの前面DiMAGIC EST-PROの背面
DiMAGIC EST-PROの内部
DiMAGIC EST-PROの内部。各々DSPを搭載した2つの基板が並行して処理を行なう

DiMAGIC ETS-PROは、インターフェースにAES/EBU、ADAT、SPDIFのデジタルオーディオ入出力端子と、パソコンからの制御用にUSB端子を搭載。サンプリング周波数は44.1/48kHz。3Dサラウンドへの変換時の各種パラメーター(反響、高低音域の強調など)を記録するフラッシュメモリーを内蔵し、5つまでの初期設定を切り替えられるほか、あとからの変更も可能。本体は1Uラックマウント仕様で、サイズは幅482.6×奥行き320×高さ44mm。消費電力は30W。



DiMAGIC Virtualizerの画面
DiMAGIC Virtualizerの画面。WAVEファイルをフロント/センター/リアのトラックにドラッグ&ドロップし、音量や音響効果などを設定、調整する

DiMAGIC Virtualizerは、独自のプロジェクトファイルで変換元の複数WAVEファイルや変換時のパラメータ設定を管理する“Media Capule Format”をサポート。サンプリング周波数は44.1k/48kHzに対応し、オプションで8k/16k/32k/96kHzにも対応可能。出力形式は当初はWAVEファイルのみだが、MP3/AACにも対応予定。

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