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NTTドコモ、FOMAを使った家電遠隔操作コントローラーの試作機『FOMA対応ビジュアルコントローラー』を発表

2004年03月30日 23時36分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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試作機を持つ入鹿山氏
『FOMA対応ビジュアルコントローラー』試作機を持つ入鹿山氏

(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモは30日、TV電話対応のFOMA携帯電話を使って家電製品等の遠隔操作を可能にするコントローラーの試作機『FOMA対応ビジュアルコントローラー』(以下、試作機)を発表した。同試作機にTV電話対応のFOMAデータカードを挿入して自宅等に設置し、外出先からFOMAデータカードにTV電話をかけることで、試作機の内蔵カメラ経由で自宅の様子を確認したり、試作機が搭載する外部インターフェース経由で家電製品を遠隔操作できる。試作機の製造メーカーは非公開。同社の営業区域(関東甲信越)のFOMA契約者を対象に、4月5日午前10時から5月16日まで、同試作機のモニターを専用ホームページで募集する。募集者数は1000名。

ドコモは3月24日の記者会見で、2004年以降に携帯電話が目指す方向性が「生活・ビジネスに役立つ“生活インフラ”」だと発表したが、今回の試作機はそれを実現するための1つの試みになる。試作機の発表とあわせて開催された記者会見では、MM技術部担当課長の入鹿山剛堂(いるかやま・ごうどう)氏は試作機の開発背景について、「これからは携帯電話が(“人”や“情報”だけでなく)“モノ”につながる時代。“モノ”につながるにはどうしたらいいか、言い換えればユビキタス社会を実現するために携帯電話はどんな使い方ができるかということで開発した」とした。

試作機は、幅140×奥行き120×高さ50mmで、重さは約300g。天面に操作用のテンキーを備える。25万画素のカメラ、人感センサーを内蔵し、最大100チャンネルまで記録可能な赤外線学習リモコン機能と、試作機を遠隔操作をする際にFOMA携帯電話の液晶画面に表示するガイダンス表示機能“スーパーインポーズ”、パソコンを遠隔制御する“キーボードエミュレーション”機能を搭載する。リモコン信号の登録数は、最大100件。外部インターフェースは、PCカードスロット(TV電話対応FOMAデータカード用、Type II準拠)、外部赤外線ポート、映像/音声入出力端子(NTSC、入力×2、出力×2)、USB端子(USB 1.1、Mini-B)、センサーI/Oポート(2系統)、FOMA携帯電話接続ポート、DC IN端子。



試作機の前面 背面
試作機の前面。赤外線センサー、カメラ、人感センサーを搭載背面。外部インターフェースを搭載
右側面 天面
右側面。PCカードスロットを搭載天面。入力操作用のテンキーを搭載
茨城の家電を遠隔操作1 茨城の家電を遠隔操作2
茨城・つくば市のとある一室に試作機を設置し、東京・大手町から、FOMA携帯電話を使ってこの部屋の家電を遠隔操作するというデモンストレーション前の写真と見比べてほしいのだが、窓のカーテンが引かれ、窓の電動シャッターが降り、スタンドとルームライトが点灯し、TVの電源が入っている。TVのチャンネルを切り替えることも可能

試作機に対応するTV電話対応FOMAデータカードは『F2402』 と『P2402』で、いずれかを挿入することでFOMAネットワークとの接続(64kbpsのデータ通信)が可能。このFOMAデータカードに、外出先からのFOMA携帯電話からTV電話をかけ、プッシュボタン信号によって試作機のリモート制御を行なう。プッシュボタン信号の送信に対応しているFOMA携帯電話は、『N2102V』『F21O2V』と“900i”シリーズの各機種。それ以外のFOMA携帯電話でTV電話に対応している機種では、試作機を使った映像の確認のみが行なえる。

記者会見会場では、茨城県・つくば市にある、とある一室に試作機を設置し、東京都・大手町の記者会見会場からTV電話をかけ、室内の電動式カーテンやシャッター、照明、TVを遠隔操作した。また、赤外線対応のペット向け自動給餌機の遠隔操作、TV映像の遠隔視聴、照明など家電機器の遠隔操作、内蔵人感センサーを使った留守宅の確認、パソコン経由でのソニーマーケティング(株)の“AIBO(アイボ)”の遠隔操作などのデモンストレーションが公開された。同社は、試作機の目指す方向性として

  1. (留守宅のペットなどの)見守り
  2. TV/ビデオの遠隔視聴
  3. 家電機器との連携・遠隔操作
  4. ホームセキュリティー
  5. パソコンとの連携

――など、新システム/サービスの実現を挙げている。商品化の時期と価格などについては、現段階では未定。「(試作機には機能が多数盛り込まれているので)店頭に並んでも、何をする機械なのかサッパリわからないだろう。(試作機のモニタリングを通じて)機能をしぼり、見ただけでわかる製品、取っ付きやすい製品にしなければならない」(入鹿山氏)という。

自動給餌機の遠隔操作のデモ1 自動給餌機の遠隔操作のデモ2
赤外線対応のペット向け自動給餌機(参考出展)の遠隔操作のデモFOMA携帯電話の画面。「5」キーを押すと給餌機からメロディが流れるので、まずはこれでペットを給餌機のそばまで呼び寄せる。続いて、「1」キーを押すと餌が1回、「2」キーを押すと餌が2回、「3」キーを押すと餌が3回、供給される
内蔵人感センサーを使った留守宅の確認のデモ
写真ではわかりにくいが、内蔵人感センサーを使った留守宅の確認のデモ。本体前面向かって右の人感センサーに人が近づくと、あらかじめ登録したFOMA携帯電話に自動的にTV電話がかかる。人感センサーが検知可能な範囲は、3m以内、上下25度、左右30度という。そのほか、試作機のセンサーI/Oポートと住宅の玄関のTVドアホンを接続し、留守宅への来客や配達に外出先のTV電話から応対するシステムも可能だという
AIBOを使ったデモ1 AIBOを使ったデモ2
AIBOを使ったデモ。パソコンには、パソコンでAIBOに指示を送るための専用ソフト“AIBO Navigator”が起動インストールされている。本来はパソコンのキーボードやマウスからAIBOに指示を出すのだが、デモでは試作機のキーボードエミュレーション機能を使い、遠隔地にあるFOMA携帯電話からAIBOに指示を出しているAIBO(写真手前)の前面に内蔵されたカメラから、FOMA携帯電話に映像が送られている。パソコンを遠隔操作することによって、ブロードバンドで配信されるウェブカメラ映像を外出先のFOMA携帯電話で見ることも可能


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