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シスコ、IPフォンを利用したテレビ電話ソリューション『Cisco VT Advantage リリース 1.0』などを発表

2004年03月23日 00時00分更新

文● 編集部 内田泰仁

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シスコシステムズ(株)は23日、IPコミュニケーション製品の大幅な機能拡張を図る製品として、IPフォンの呼制御サーバー『Cisco CallManager リリース 4.0』(以下CallManager 4.0)、テレビ電話ソリューション『Cisco VT(ビデオテレフォニー) Advantage リリース 1.0』(以下VT Advantage)、パソコン上でIPフォン機能を実現する『Cisco IP Communicator』(以下IP Communicator)を発表した。出荷時期は2004年第2四半期の予定で、価格はCallManager 4.0が81万1000円から、VT AdvantageがUSBカメラ、ソフトウェア、ライセンスを含めて2万8000円(同社参考価格)、IP Communicatorがライセンスを含めて3万5000円(同社参考価格)。

『Cisco CallManager リリース 4.0』『Cisco VT Advantage リリース 1.0』により構築されるシスコのIPビデオテレフォニー環境の例。IPフォン環境とIPテレビ電話環境を1システムに統合できるという

呼制御サーバーであるCallManager 4.0では、同社の“Cisco Security Agent”の組み込みによるインテリジェントな自己防衛型ネットワーク機能(未知のウイルスの検知など)や電子認証によるネットワークデバイスの確認による不許可システムユーザーの浸入防止、新しい暗号化技術の追加によるプライバシー確保といったセキュリティー面の強化や、シグナリングプロトコルとしてQ.SIGおよびSIPをサポートしたことによる既存のPBX機器やSIP PROXYサーバーなどの通信システムとの相互運用が可能となっている。なお、CallManager 4.0と組み合わせて利用できる同社のIPフォンの最新製品としては、2003月12月より販売されているカラータッチスクリーン付きのIPフォン端末『Cisco IP Phone 7970G』(本体価格10万4000円、ライセンス価格2万9000円)や、IPベースの全二重ハンズフリーカンファレンスステーション『Cisco IP Conference Station 7936』(本体価格19万4000円、ライセンス価格2万4000円)、IP Communicatorなどがある。

『Cisco VT Advantage リリース 1.0』を導入したパソコンとIPフォン端末。液晶ディスプレー上部にUSBカメラが取り付けられている『Cisco VT Advantage リリース 1.0』のシステム図

VT Advantageは、同社のIPフォンにテレビ電話機能を付加する製品で、同社IPフォン端末とパソコンを組み合わせて使用する。前述のCallManager 4.0と組み合わせることにより、保留/転送/会議機能といった同社IPフォンと同等の機能を利用でき、さらに、同社パートナーのソリューションやH.323ビデオエンドポイントとの統合も可能となるという。製品構成は、ソフトウェア、ライセンス、640×480ドットCCDとビデオエンコーダーを内蔵したUSBカメラ。同社のIPフォン端末『Cisco IP Phone 7970G/7950G/7940G』にUSBカメラおよびソフトウェアを導入したパソコンを接続するだけで自動的にビデオテレフォニー機能付きIPフォンとして認識される。

『Cisco IP Communicator』の説明スライド。写真右側がアプリケーション実行時の画面

IP Communicatorは、パソコンを通して拡張テレフォニー機能を提供するアプリケーション。これにより、出張先、在宅勤務、オフィスなど、各企業のネットワークにアクセスできるあらゆる場所からIP電話をパソコン上で利用できるようになるという。さらに、CallManager 4.0のシステムに登録すると、呼び出しの切り替えや転送、3者間通話(会議)機能など、同社IPフォンのすべての機能が利用できるようになり、管理者は他の同社製IPフォンと同様に設定および管理が行なえる。また、XMLベースのアプリケーションを連動表示することも可能。本ソフトからは、8本の電話回線(または回線の組み合わせとテレフォニー機能への直接アクセス)への利用が可能となっている。

市場開発執行役員の山中理惠氏昨今のネットワークの広がりを説明するスライド。企業の中心である本社にとどまらず、支店や工場、外出中のスタッフや在宅勤務者など、広範囲にネットワークが広まっているとしている

この日の発表に合せて、同社本社にて記者説明会が開催された。冒頭に挨拶を行なった同社市場開発執行役員の山中理惠氏は、ネットワークが広く普及したことにより、「(IPコミュニケーション製品は)企業の本社だけでなく、その支店や、スモールビジネスなどでも利用できるようになった」と述べ、以前よりも導入しやすいインフラが整備されていることを挙げ、この日発表された製品により「ビデオ、ボイスによるより柔軟なコミュニケーション」を実現するとしている。

米シスコシステムズ、IPコミュニケーションズ事業部プロダクトマーケティングディレクターのハンク・ランバート氏

続いて登壇した米シスコシステムズのIPコミュニケーションズ事業部プロダクトマーケティングディレクターのハンク・ランバート(Hank Lambert)氏は、この日発表された一連の製品の概要を説明。VT Advantageを、同社が提唱するIPネットワーク上で音声、映像、データを統合する“AVVID(Architecture for Voice、Video and Integrated Data)”アーキテクチャーの“2番目のV”を具現する製品として紹介した。また、「登場から40年あまり経っても普及していないのに、この製品(VT Advantage)がなぜ成功するのか」と、従来からのテレビ電話とIPフォンを利用したテレビ電話機能の違いを説明、従来のテレビ電話は「使い方が難しく、導入も困難。価格も高く、映像のクオリティーも低い」なのに対して、VT Advantageは「使い方は電話と変わらず、USBカメラを接続するだけと導入は簡単。すでにあるIPネットワークを利用するため経済的で、映像は放送並みのクオリティー」だとそのメリットを述べた。

市場開発IPコミュニケーションズ部長代理の小澤貴子氏日本市場における、IPコミュニケーション製品市場とPBX/KTS製品の市場規模予測のグラフ

製品の詳細な解説を行なった同社市場開発IPコミュニケーションズ部長代理の小澤貴子氏は、IP電話の市場規模にも触れ、2003年でワールドワイドで約20億ドル(約2200億円)、日本では約2億2300万ドル(約250億円)の規模となっているが、2007年にはワールドワイドで約60億ドル(約6600億円)、日本では約4億4500万ドル(約490億円)程度の市場に成長すると予測。しかし、これまでは2005年ごろにはIP電話による企業内コミュニケーションが従来のPBXやKTSによるものを逆転するとしていたが、これについては2008年以降にずれ込むだろうと予測を変更。ただし、最終的には企業内コミュニケーションはIPベースのシステムにシフトするだろうとした。

市場開発IPコミュニケーションプロダクトマネージャの渡邊靖博氏

なお、質疑応答の中では、同社のIPフォンシステムと携帯電話との接続に関する質問が出たが、同社市場開発IPコミュニケーションプロダクトマネージャの渡邊靖博氏は「現状ではできないが、将来的には実現したい」としている。

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