このページの本文へ

サン、Opteron搭載製品に関するプレスセミナーを開催

2004年03月20日 12時29分更新

文● 編集部 内田泰仁

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

サン・マイクロシステムズ(株)は18日、x86サーバー市場における64bitコンピューティング戦略に関するプレスセミナーを開催した。同セミナーには、この分野における戦略的提携関係にある日本エイ・エム・ディ(株)の関係者も参加し、64bitプロセッサー“AMD Opteron”の優位性や、サンのOpteron搭載サーバーの戦略などについて説明が行なわれた。

サン・マイクロシステムズのプロダクト&ソリューションマーケティング本部本部長、山本恭典氏2月に発表された、サン/AMD提携による第1弾製品である『Sun Fire V20z』

米サン・マイクロシステムズ社と米Advanced Micro Devices(AMD)社は昨年11月に、“水平方向のスケーラビリティーが要求されるインフラに対して、最も魅力的なx86プラットフォームを提供する”ことを目的とした長期的かつ戦略的な提携を結んでいるが、セミナーの冒頭に登壇したプロダクト&ソリューションマーケティング本部本部長の山本恭典氏によると、この提携は「単に製品(CPU)を提供してもらうだけといったことにとどまるものではない」と述べている。また同氏は、サン/AMDの提携発表後のサーバー市場での大きなトピックスとして、米インテル社のXeonとPentiumの64bit拡張機能搭載の発表や、米ヒューレット・パッカード社のOpteron搭載サーバーの発表、そしてこれらに伴うItaniumの将来性に対する疑問を取り上げ、これらの動きを「時代が変わってきている」と評した。これを踏まえ、サンがOpteronを採用した理由としては、32bit環境から64bit環境へスムーズに移行するのに適したプロセッサーであること、32bitアプリケーションを性能ペナルティーなく動作可能であること、シームレスな32bit/64bit混在環境が実現可能であること、という3点を挙げている。

日本AMD、OPGマーケティング部部長代理の秋山一夫氏AMDの64bitプロセッサーと他の64bitプロセッサーとの考え方の違い

“AMD64テクノロジ”を用いたAMDの64bitプロセッサーによるプラットフォームの簡単な例。32bitおよび64bitのOSやアプリケーション、物理メモリー容量制限の有無が混在可能
続いては、日本AMDのOPGマーケティング部部長代理の秋山一夫氏がOpteronの特徴や戦略の解説を行なった。秋山氏によると、CPUの進化は従来、“ムーアの法則”にのっとって、ユーザーよりもエンジニアリングを優先し、クロック周波数のアップに比重を置き、「テクノロジーが人を動かす」かのような考え方で進められてきていたという。一方、現在のAMDは、「お客様第一主義での革新」を念頭に置き、価値の拡大やTCOの削減、投資の保護、製品寿命の延長などを考えた方針となっているという。AMDの64bitプロセッサーは“AMD64テクノロジ”と呼ばれるアーキテクチャーを持つ製品だが、AMDによると、これは現行のx86系の32bitアーキテクチャーからの最も自然な進化形態であり、386時代の16bitから32bitへの移行と同様のコンセプトなのだという。インテルのIA-64アーキテクチャーをはじめとする他社の64bitプロセッサーは、それぞれ独自規格の64bit RISCソリューションで、それぞれが独自な命令セットを持ち、現行の32bitコードとの互換性は持たず、独自のOSやアプリケーションが必要。一方、AMD64に基づくプロセッサーは、現在導入済み/稼働中のx86系OS、アプリケーションとの互換性を保持するため、低リスク、低コストでのより優れたコンピューティング性能が実現できるのだとしている。



Opteronの基本構造。“AMD64テクノロジ”とCPU内に統合されたメモリーコントローラー、高速なバスインターフェース“HyperTransport”が大きな柱AMDのプロセッサーのロードマップ

サン・マイクロシステムズのプロダクト&ソリューションマーケティング本部ハードウェア製品事業部長、野瀬昭良氏Opteron搭載システムのターゲットを説明するスライド。現在32bit環境となっているx86サーバー市場への進出を狙いとしているという

64bitコンピューティング環境の必要性を述べるスライド。32bit/64bitアプリケーションを単体または複数実行するときに、4GB超の物理メモリーを利用することが可能になる
最後に登壇したプロダクト&ソリューションマーケティング本部ハードウェア製品事業部長の野瀬昭良氏は、64bitコンピューティング環境の必要性と、Opteron搭載システムの今後の展開を解説。同氏は、現在64bitが求められ始めている理由として、“物理メモリー空間4GBの壁”を超える環境の実現が可能であることを挙げているが、これは、ひとつの巨大なメモリーを必要とする64bitアプリケーションの場合にのみ重視されることではなく、1つのサーバー上で複数の32bit/64bitアプリを実行する場合や、32bitアプリのみ複数動かす場合に4GB超の物理メモリーを必要とするケースでも高い効果を発揮するとしている。また、同社とAMDの64bitコンピューティング環境での提携により「SPARCとSolarisでやってきたことを、x86の世界でも実現したい」と述べ、Opteronを採用したSolarisおよびLinuxのサーバー製品群を提供していくプランを説明した。



サン/AMDによるシステムのロードマップSPARC搭載システムとOpteron搭載システムの住み分けを示すスライド

野瀬氏によると、今後のサンのOpteronベースの製品ロードマップは、2月に発表された2ウェイサーバー『Sun Fire V20z』に続き、第2四半期には4ウェイシステムを投入、今年後半にはOpteron向けの64bit版Solarisをリリースしていくという。さらに将来的には、8ウェイシステム、ブレードサーバー、ワークステーションの投入も計画しているという。サンが従来から展開しているSPARCベースのシステム、Xeonベースのシステムとの住み分けについては、1~2ウェイサーバーではSPARC、Xeon、Opteronベース、4~8ウェイではSPARCおよびOpteron、8ウェイ以上の環境ではSPARC、というラインナップ展開になるという。なお、AMDの64bit CPUの計画では、8ウェイを超える環境に向けた製品の開発も行なわれていくというが、現段階では、サンの8ウェイ以上の環境でこれらのAMD製品を採用する予定は明らかにされておらず、8ウェイ以上の大規模システムはSPARCで、という路線とのことだ。

サンによるSPARCとOpteron、Xeonの位置付けの違いを示すスライド。図中の“Niagara”“Rock”は今後登場予定の製品

また、サンが採用するSPARC、Opteron、Xeonの位置付けと、SPARCのロードマップについては、OpteronおよびXeonはシングルスレッド環境でのパフォーマンスを追及した製品に使用、“チップマルチスレッディング”技術を採用したUltraSPARC IVおよび次期製品のVでは、マルチスレッディング環境でのスループットに力点を置くという。さらに、第2世代の“チップマルチスレッディング”技術を用いたプロセッサー(2005年から2006年を予定、コードネーム“Niagara”)では、よりスループットを追及した製品を目指し、2006年から2007年に向けて計画中の第3世代製品(コードネーム“Rock”)では、スループットに加え、パフォーマンスの面でも大幅な進化を目指していくという。

質疑応答に答える3氏

質疑応答では、サンから見たItaniumの今後、SPARCとOpteronの性能に関する質問などが出た。Itaniumに関して山本氏は、「石(CPU)が生きるか死ぬかは、ISVがコードをポーティングするかどうか次第」として実際に64bitアプリケーションの開発や移植に取り組むISVの意見を重要視し、「(ISVとしては)x86の64bit化なら楽で嬉しい」という意見があることを挙げた。さらに、今後のx86ベースのサーバーの主流は「64bitのOpteronとXeon」という見方を示した。また、性能について野瀬氏は「(単純なベンチマークで計測できる)シングルスレッドの性能は、現状OpteronがUltraSPARCより上」と述べたが、前述した製品ロードマップにあるとおり、コードネーム“Rock”においてこの部分の強化を進めるという方針を示した。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン