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エプソン、世界初のレンジファインダー採用デジタルカメラ『R-D1』を夏ごろ発売――コシナとの協業で実現!!

2004年03月11日 20時28分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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世界初のレンジファインダー採用デジタルカメラ『R-D1』
世界初のレンジファインダー採用デジタルカメラ『R-D1』

セイコーエプソン(株)は11日、東京・赤坂のホテルで記者説明会を開催し、長野のカメラメーカーである(株)コシナとの協業により、世界初のレンジファインダー採用デジタルカメラ『R-D1』を夏ごろに発売すると発表した。価格はオープンプライスで、編集部による予想実売価格は30万円を切る程度と見込まれる。



R-D1の前面 R-D1の背面
R-D1の前面R-D1の背面
R-D1の軍艦部 R-D1とリチウムイオンバッテリー
R-D1の軍艦部(上面)R-D1とリチウムイオンバッテリー

3つの世界初を実現

説明会には、代表取締役副社長の丹羽憲夫(にわのりお)氏、情報画像事業本部 IJP企画推進部長の枝常 伊佐央(えだつねいさお)氏、および司会進行役として写真家のハービー・山口氏が出席し、開発の背景やアナログパーツ/マニュアル操作にこだわったR-D1の特徴を説明した。

代表取締役副社長の丹羽憲夫氏 写真家のハービー・山口氏
代表取締役副社長の丹羽憲夫氏写真家のハービー・山口氏が司会進行を務めた

丹羽氏は開発の経緯について、「写真文化に少しでも貢献したい。と同時に“エプソン=フォト”というスローガンを具現化し、ブランド価値の向上を目指して、アナログ機構にこだわったデジタルカメラの開発に着手した。エプソン社内にいるカメラ好きの有志を集めて開発チームを発足し、同じ長野県に構えるコシナを2002年3月に訪れて、協業の話を持ちかけた。エプソン自身は、スキャナーを除けば自社では光学系(レンズやシャッター、ファインダーなど)のノウハウを持たないが、デジタルプロセッシング技術の強みがある。一方コシナは、1999年にドイツ(設立はオーストリア)の伝統的なカメラブランド“Voigtlander(フォクトレンダー)”を復刻し、レンジファインダーカメラとして復活させるなど、アナログカメラ製造の技術力でカメラ愛好家に高い評価を得ている。両社の長所を融合することで、往年のアナログカメラの資産(レンズ群)に再び息吹を吹き込み、新たな価値を創造できると考えた。2年の開発期間をかけて、細部までこだわって取り組んだ結果が、今回のR-D1。これからも歴史ある写真文化、写真を愛する人の意思を大事にして、写真文化に貢献できるよう、挑戦を続けていきたい」と熱っぽく語った。

IJP企画推進部長の枝常伊佐央氏
IJP企画推進部長の枝常伊佐央氏

続いて常枝氏が「(デジタルカメラとして)3つの世界初を実現した」と切り出し、R-D1の特徴について説明した。同社がいう3つの“世界初”は、

  • レンジファインダーの採用
  • ドイツのレンズメーカー、ライカ(Leica)社のレンズ仕様“L/Mマウント”に対応
  • 等倍率ファインダーを実現

を指す。レンジファインダーとは、撮影用レンズを通さずにプリズムで屈曲した2点からの映像を用いて三角測量し、被写体までの距離を計測してピントを合わせる方式。これに対して現在主流の一眼レフ方式では、撮像素子(銀塩ではフィルム、デジタルカメラではCCDやCMOSセンサーなど)の前にリフレクター(反射板)を斜めに設置して、撮影用レンズを通過した映像をファインダーに結像する。レンジファインダーの場合、レンズを交換してもファインダーの明るさが変わらず、一般に暗い場所でのピント合わせにも有効と言われている。また、視野率が100%以上に広く取れるため、被写体に対する周辺からの変化/影響を確認しながら画角を決められる。これをもって“未来が見通せるカメラ”と呼ぶ場合もある。

レンジファインダー方式と一眼レフ方式の光路の違い レンジファインダー方式と一眼レフ方式の特性の違い
レンジファインダー方式と一眼レフ方式の光路の違いレンジファインダー方式と一眼レフ方式の特性の違い

ただし、AF機能は持たず、ユーザー自身が2点の映像を見比べながら焦点を合わせるマニュアルフォーカス操作が必要となる。レンズマウントから撮像素子までの距離(フランジバック)が短く設計できるため、広角レンズの設計が容易になる半面、斜めからの光による収差の影響を受けやすい(辺縁部の映像がゆがむ)。三角測量で距離が測りにくいマクロ(近接)や望遠での撮影に向かない、などのデメリットもある。エプソンでは「フィルターなどの開発で、斜めから差し込む収差の影響は極力抑えた」(常枝氏)と説明する。

レンズマウントはライカのMマウント互換の“EMマウント”で、リングアダプターを利用することでLマウント用レンズも搭載できる(レンズは別売)。ただし、フランジバックが短いことから、マウントから20.5mm以上深いレンズは利用できず、沈胴式レンズも沈胴操作を行なわないなどの制限がある。

掲載当初、“フォトエキスポ 2004ならびにショールームでのレンズ装着の体験会が行なわれる”旨の記述がありましたが、エプソンでは現時点で同様のイベントを予定しておりません。お詫びして訂正いたします。
短いフランジバック CADデータによる内部構造
短いフランジバック。プレゼン資料ではキヤノンの『EOS KISS Digital』とおぼしきシルエットと比較しているCADデータによる内部構造

等倍率ファインダーは、レンズ/ファインダーを通さない見た目と同じ倍率になるため、画角を確認しやすいメリットがあるという。なお、ファインダーには装着したレンズの焦点距離(28/35/50mm)に合わせて切り替えられる“ブライトフレーム”(画角の目印)が表示される。

そのほかの仕様は、撮像素子が2インチ(APS-Cサイズ)の有効610万画素CCDで、記録解像度は最大3008×2000ドット(3:2)。記録形式はCCD-RAW(12bit)/JPEG(圧縮率は高/標準の2パターン)で、Exif 2.21/DCF 2.0/DPOF 1.1/PIM(PRINT Image Matching) 2.6のデジタルカメラ向け画像フォーマットに対応する。記録メディアはSDメモリーカード(メディアは付属せず)。

R-D1の各部の名称や機能
R-D1の各部の名称や機能

シャッターは“電気制御式縦走りフォーカルプレーンシャッター”で、シャッター速度は1/2000~1秒およびバルブ。シャッター動作の電源は、シャッターを切る前に1回ずつ、本体右上(背面から見て)のフィルム巻上げレバーを巻くことでチャージ(充電)される。X接点のシンクロ接点を持ち、1/125秒以下で同調可能(シンクロ撮影のみ対応)。

露出はTTL幕面測光で、中央部重点平均方式を採用。露出制御は絞り優先AEとマニュアルの切り替え。ISO感度は200/400/800/1600相当、ホワイトバランスはオートと晴天/日陰/曇天/白熱電球/蛍光灯の5つのプリセットを用意する。

ボディーを分解したところ 2インチ610万画素のCCD
ボディーを分解したところ2インチ610万画素のCCD
等倍ファインダー 搭載可能なレンズ群の一部
等倍ファインダー搭載可能なレンズ群の一部

背面には撮影結果をモニタリングするために、2インチ23万5000画素の低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレー(視野率99.7%)を搭載。撮影結果の再生は1コマもしくは4コマ同時表示で、本体左上のフィルム巻取りリールを回すことでコマ送り/戻しを実現する。最大9.4倍の拡大表示のほか、ヒストグラム表示、白飛び部分のハイライトブリンク表示などが可能。

上面には、同社の高級クロノグラフ式腕時計“BRIGHTZ's(ブライツ)”シリーズの部品を流用した針表示のインジケーターを搭載。残り撮影可能枚数、記録形式、ホワイトバランス、電源電圧などを電子回路で計測して、針の移動でアナログ表示する。これも「極力アナログ感を残して設計した。こだわりの表われ」(常枝氏)だという。

本体サイズと重量は幅142×奥行き39.5×高さ88.5mm/約590g(非装備重量)。材質は、アルミダイキャストのボディーとマグネシウム合金の外装を採用。電源は専用リチウムイオンバッテリー(EPALB1)で、撮影可能枚数は現在調整中とのことだが、省電力化を図り500~600枚以上になる予定。本体にはアドビシステムズ(株)のフォトレタッチソフト『Adobe Phothshop Elements 2.0』、Windows 98/98 SE/Me/2000/XP用のCCD-RAW現像ソフト『EPSON Photolier(エプソンフォトリエ)』、Windows/Mac OS用のAdobe Photoshop対応CCD-RAW現像プラグインなどが付属する。

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