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テンプスタッフ・テクノロジー、技術者の起業を支援する“TTエンジニアファンド「Vコラボレーション」”を発表――受託業務に事業を拡大

2004年03月02日 00時00分更新

文● 編集部

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テンプスタッフ・テクノロジー(株)は2日、技術者の起業(法人化)において、投資から経営支援までを行なうファンド制度“TTエンジニアファンド「Vコラボレーション」”を発表した。これは、高度な技術力を持ちながら、起業にまで至らない技術者などに対して、運転資金のサポート、債務保証、法人設立支援、営業支援、バックオフィス業務支援の5つの有形/無形のサポートを提供することで、高度な技術を持つ将来性の高い技術者の起業を支援するサービス。投資/融資額の上限は、1案件あたり5000万円(投資上限が1000万円、融資上限が4000万円で、サポート期間は原則5年間。

篠原欣子氏テンプスタッフ・テクノロジー(株)代表取締役会長で、テンプスタッフ(株)代表取締役でもある篠原欣子氏。記者発表会では、優秀な技術に良い仕事をしてもらいたいと考えていると話した

“Vコラボレーション”は、同社が起業を支援することで、IPOなどでキャピタルゲインを得るというよりは、事業を共同で行なうことで、同社の事業領域を現在の主力事業である技術者の派遣業務から、プロジェクトの総合的な受託事業に拡大するのが目的。この背景には、優秀な技術者を派遣社員として採用するのが難しいことや、自社で人材を育成するのでは急速な技術革新の波に乗るのが難しいことなどがあるという。同社は“Vコラボレーション”により、優秀な技術者を確保するとともに、投資分野での同社のプレゼンス向上を目指すという。

水田正道氏
代表取締役の水田正道氏は、IPOによるキャピタルゲインが目的ではないことを強調したが、質疑応答では結果的にそうなる可能性はあるとした

一方、投資先となる技術者(企業)にとっては、メリットとして、前金処理やプライムレートでの低利融資を受けられる“運転資金のサポート”、機器のリース契約やオフィスの賃貸契約などで連帯保証人が必要な場合に債務保証が受けられる“債務保証”、法人の設立登記から諸官庁への各種手続きを同社が発起人代表として行なう“法人設立支援”、パートナー企業として優先的に案件を委託するほか技術系の人材が必要な場合にスタッフを優遇料金で派遣する“営業支援”、同社が経理/総務/人事などのアウトソーシングを行なう“バックオフィス業務支援”などがあるという。

その代わりに、制約事項として、同社から過半数の役員を選任しなければならない“役員構成”、定款や株式に関するものなど経営に関わる重要な意思決定では同社の承認を得なければならない“重要な意思決定”、定例報告を指定期日までに行なわなければならないなどの“経営報告”、同社が受託した案件を年間一定額以上受託しなければならない“業務受託”、第三者と取引する場合は同社に事前に通知しなければならない“第三者取引”、の5つの条件が課せられることになる。

また、サポート期間の5年が経過した時点で、投資先の代表者に同社の保有する株式を売却する際に、売却後も同社が33.4%以上の株式を保有し、協業体制を継続していくといったことも条件と付けられている。5年後の状況によっては第三者割当増資とすることも可能であるという。

藤崎貴司氏
取締役テクニカルソリューション事業部長の藤崎貴司氏が、制度の概要やファンド導入後の事業の流れなどについて説明

2005年度の対象となる事業は、今後もまだ成長が見込めるという組み込み分野の“制御系アプリケーションの設計・開発”、企業のネットワークインフラを汎用機から分散ネットワークに移行するSI分野などの“ネットワークサーバの設計・構築”、サービス関連分野の“ヘルプデスクの設計・DB構築・運用”、ホームページから勘定系までのウェブサービス分野“Webサービス”の4分野。投資先企業同士の競合を避けるために、投資は同一地域内で1分野1社とするという。

石黒智幸氏
取締役サポート本部長の石黒智幸氏は、投資先の5つのメリットと5つの制約条件を説明

“Vコラボレーション”における具体的な会社設立までの流れは、起業したい技術者が同社に申し込みを行なうと、書類選考(概要審査)、制度説明会、事業/資本計画の策定、1次審査(書類選考2/代表者と事業計画に関する審査)、2次審査(面談選考/代表者と事業計画の総合的な審査)を経て、合格すれば会社設立/出資金の払い込みとなる。

上流工程からすべてアウトソーシング可能になる
“Vコラボレーション”により、単なる人材派遣ではなく、業務やプロジェクトといった単位で上流工程からすべてアウトソーシング可能になるという

同社では、2005年度までに投資企業を5社にするとしており、売り上げ目標は5億円、近日中に投資技術者の選考を行ない、投資先を決定するという。

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