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三洋電機、メカニカルシャッター搭載の1/4.5インチCCDカメラモジュールをサンプル出荷

2004年03月02日 23時36分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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三洋電機(株)は2日、小型CCDカメラモジュール“HyperEye”シリーズの新製品として、1/4.5インチのCCDイメージセンサー(有効103万画素、1170×882ドット)を使ったカメラモジュール『IGT99353M-ST』を開発したことを発表した。メカニカルシャッターを搭載し、スミアの発生を抑えたのが特徴。サンプル出荷を月内に開始し、サンプル価格は9000円。

『LC99353』『LC99810』『IGT99353M-ST』
上から、CCDイメージセンサーの『LC99353』、画像処理LSIの『LC99810』、これらを採用したカメラモジュールの『IGT99353M-ST』

IGT99353M-STは、カメラの多画素/高画質化と、携帯電話の薄型/小型化と電池寿命を両立させるCCDカメラモジュールを目指して開発された製品。IGT99353M-STが搭載する1/4.5インチのCCDイメージセンサー『LC99353』は、三洋独自の“フレームトランスファー方式CCD”の微細画素技術を採用することで、「業界最小」(三洋調べ、3月2日時点)という2.7×2.7μmの画素サイズになった。“フレームトランスファー方式CCD”は、光センサー領域を電荷転送領域として利用できる素子構造のCCDで、画素全面が受光部(フォトダイオード)で面積当たりの信号電荷量が多くなるため、モジュールを小型化するのに適しているという。さらに、薄い光学レンズの搭載や“ウエハレベルパッケージ”などの高密度実装技術を組み合わせることにより、モジュールの厚みが、競合製品の主流が9~11mmという中で、7.6mmになった。

同社は、このCCDに対応した低消費電力カメラ用の画像処理システムLSI『LC99810』を同時に開発。“高効率チャージポンプ方式CCD駆動用電源回路”の搭載や、アナログ/デジタル信号処理部への低消費電力化技術の採用などにより、消費電力を低減。QVGAサイズ/毎秒7.5フレーム(fps)での動画撮影時において、競合製品の消費電力は500~600mW台が主流であるのに対し、120mWになったという。また、電源を含むCCD周辺回路が1パッケージになり、2.9Vの単一電源駆動にも対応した。

IGT99353M-STの構成 フレームトランスファー方式CCDの特徴 画素混合技術の特徴
IGT99353M-STの構成フレームトランスファー方式CCDの特徴画素混合技術の特徴

また、CCD内部で3画素ぶんの信号を加算する“画素混合技術”とこれらの信号を画像に変換するためのカラー処理方法を開発し、感度が従来の約3倍になった。高速で動いている被写体を撮影する時や自分が動きながら撮影をする時に全画素の露光時間が同一となる“グローバル電子シャッター方式”を採用し、ゆがみの少ない撮影が可能になった。携帯電話機向けCCDモジュールとして初めてメカニカルシャッターを搭載し、非常に明るい光源があるときでもスミア(ある画素に強い光が入力されると細い直線のようなノイズが入る現象)のない画像が撮影できる。レンズ構成は3枚(プラスチック製)。レンズのF値は3.5で、2段絞り機能によって、F値を7.0に自動で変更することが可能で、オートフォーカス機能を搭載しなくてもピントの合った画像が撮影できるほか、マクロ機能の切り替えがなくても接写ができるという。モジュールサイズは、幅17.0×奥行き11.0×高さ7.6mm。

HyperEyeシリーズで現在最も売れているのは、31万画素/11万画素クラスの製品。IGT99353M-STの月産数は非公表だが、同製品の発売後には、「HyperEyeシリーズ全体で、月産250~300万個の規模に拡大する」(技術開発本部 CCDプロジェクト マネージャー 秋月 誠氏)と予想している。なお、既に200万画素クラスのCCDモジュールを搭載した携帯電話が発売されているが、200万画素クラスのCCDカメラモジュールの開発は市場の動向次第としながら、「要素技術の開発を進めている」(セミコンダクターカンパニー CCDビジネスユニット部長 渡辺 透氏)とした。

渡辺 透氏
セミコンダクターカンパニー CCDビジネスユニット部長の渡辺 透氏


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