舞台挨拶に登場した監督とキャスト。左から犬童一心監督、内山理名さん、忍成修吾さん、竹中夏海さん |
(株)キャスティと(株)角川書店は16日、17日から“TEPCOひかりコンテンツサイト casTY”で配信開始となるオリジナルショートフィルム『手を握る泥棒の物語』の完成披露試写会を都内で開催した。 同サイトは東京電力(株)と吉本興業(株)が作った光ファイバー向けコンテンツサイトで、会員登録(無料)をすれば全て無料で視聴可能。ショートフィルム上映は昨年2月に配信された『ミツワ』に次ぐもので約1年ぶりとなる。データ転送レートは2Mbps(光専用)、256Kbpsの2種類が用意されるという。映画は3話構成で全50分。1週間で更新されていくが、第3週以降は5月末まで全話が視聴可能となる予定だ。
17日から“TEPCOひかりコンテンツサイト casTY”で配信開始となるオリジナルショートフィルム『手を握る泥棒の物語』 |
原作は若手作家の乙一(おついち)氏の最新短編集『失はわれる物語』(角川書店)に収録されている同名小説。冴えない青年デザイナーが叔母のハンドバックを盗むために旅館の壁に穴を開け、手を突っ込む。しかし手を入れた瞬間にはめていた腕時計をうっかり落としてしまう。あわてて彼が穴越しに探った時につかんだものは、部屋にいた女性の手。奇妙なひとときが互いに寂しさを抱えた2人の距離を縮めていく…というストーリー。監督は映画『ジョゼと虎と魚たち』を手がけるなど注目の犬童一心氏。部屋の女性・流花(るか)に内山理名さん、壁に穴を開けるデザイナーの青年・圭介に忍成修吾さんといったキャストをはじめ、古手川祐子さん、寺島進さん、ピエール瀧さんなど総々たるメンバーが顔をそろえている。また、他に助演女優として竹中夏海さんも登場。竹中さんは昨年9月からサイト上で開催されたインターネット投票によって、1500人のなかから選ばれた現役大学生だ。
当日の試写会では監督の犬童一心氏、内山理名さん、忍成修吾さん、竹中夏海さんが舞台挨拶を行った。自分と同じ女優という職業のなかで葛藤している女性を演じた内山理名さんは、「私も16歳のころからこの職業をやってますが、いろんな葛藤が波のようにあって流花の悩みや前向きになるその姿勢とかも分かりました。その(気持ちの)切り替え方もすごく好きでしたね」「自分と似てるところがたくさん出てきたし、好きな台詞も多かった」とコメントした。また、忍成修吾さんは「すごくやりたいことを持っているだけど、今一歩前に進めない人たちに見てもらいたい作品だなと感じました」と話した。竹中夏海さんは子役の経験があるが、演技をするのは6年ぶり。挨拶では映画のオーディションを振り返った。「以前は恥ずかしいほど芝居の自覚もなく物心もついてない状態。今回は自分からやりたいと思ってオーディションに応募したので、その時点から役への執着がすごくありました。ロケ中の寒さを我慢するのも楽しいっていう気持ちは今までなかった」などと話した。またサイトで選ばれたことについては「よく自信はあったのか?って聞かれるんですけど、逆に不安でした。最終審査まで時間が1ヵ月近くあったし、私はどう思われているのかなって…。審査でも芝居に関係ない質問をされるので…(笑)」
「普通のドラマと違って、短期間で撮影しました。本当に心の動きを綺麗な映像にしてくれて、私的にはやりたかった作品」 | 「手を握るってことは腕を組むよりもドキドキすること。手を握るだけでいろんなことが伝わるっていうのは、すごく分かる気がする」 | |
舞台挨拶後に行われた内山理名さんの囲み取材風景 |
最後に犬童監督はブロードバンド配信について「この作品はブローバンドでやるんですが、そこでしかできない、普段テレビとかではやれないものを作ることができる場として考えていた。いい言い方をすれば自由に作ったし、悪く聞こえるかも知れないけど肩の荷を軽くして作ってみた。そのほうが面白いものができるような…ひとつの映像を見せるジャンルとしてブロードバンドを考えている。実験的でにできるチャンスの場なんじゃないかな」とコメントした。