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日本ストレージ・テクノロジー、“BladeStore”にシリアルATAベースの新製品を追加

2004年02月12日 23時06分更新

文● 編集部 小板謙次

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日本ストレージ・テクノロジー(株)は12日、ディスクサブシステム“BladeStore”シリーズの新製品『B220』と『B280』、ローカルとリモートでデータのレプリケーションとミラーリングを行なう『MirrorStore』を発表した。

『B220』と『B280』は、同社ではじめてとなるシリアルATAベースのシステム。『B220』は4ポートの2GB/秒のファイバーチャネル・ホストポートに加え最大112台のシリアルATAディスクドライブをサポートする“B220コントローラーモジュール”と“B200シリアルATAディスクアレイ・モジュール”から構成。一方の『B280』は8ポートの2GB/秒のファイバーチャネル・ホストポートと最大224台のシリアルATAディスクドライブをサポートする“B280コントローラーモジュール”と“B200シリアルATAディスクアレイ・モジュール”から構成される。“B200シリアルATAディスクアレイ・モジュール”は、HDDにシリアルATAインターフェースを採用した米マックストア社(以下Maxtor)の『MaXLine Plus II』 (250GB、7200rpm)、シリアルATAインターフェイスカード、ファイバーチャネルとシリアルATA変換ボードで構成される。『B220』には最大8台、『B280』には最大16台接続可能だ。これらは、ストレージ管理ソフトウェアの“SANtricity”で管理可能となっている。価格は3.5TB構成の場合で『B220』が745万円、『B280』が1549万3000円となっている(両製品とも“SANtricity”を含む)。サポートするOSは、Windows 2000、Solaris、IRIX、Linux。

B280『B280』

同社では従来から“BladeStore”シリーズとして『BC84』をラインナップとして持っているが、これは5台のATAディスクをひとつのブレードという構造にして高密度を達成している製品。1ブレードあたり1.25TBなので、基本的に大容量構成向きの設計。同社では10TB以上の構成ニーズに最適なシステムとしている。これに対して、今回の『B220』と『B280』は、最小で750GBからの構成が可能で、しかも250GB単位での増強が可能な小規模構成向き製品。10TB以下の容量のニーズに最適な製品といえる。

全世界におけるデジタルコンテンツの容量 レプリケーションやバックアップ分野でATAディスク需要が増える
全世界におけるデジタルコンテンツの容量は、2005年には99.5EB(エクサバイト)に増えるが、そのなかの80%は複製されたコンテンツレプリケーションやバックアップ分野でATAディスク需要が増える

『BC84』に加えてATAベースのディスクシステムのラインナップを増やした背景について、マーケティング本部シニア・スエシャリストの藤田剛氏は次のように話している。「デジタルコンテンツは2005年には99.5EB(エクサバイト)に増えるが、そのなかで80%は複製されたコンテンツ。オリジナルコンテンツは20%にすぎない。またATAディスクがレプリケーションとバックアップ領域でハイパフォーマンステープなどの肩代わりをはじめるようになってきている。この傾向はさらに進行するだろう」と話した。

ATAディスクはバックアップで需要が高まっていくと予想される容量重視・コスト重視の製品として、従来の“Dシリーズ”、“Vシリーズ”とは区別される
ATAディスクはバックアップで需要が高まっていくと予想される『B220』『B280』は容量重視・コスト重視の製品として、従来の“Dシリーズ”、“Vシリーズ”とは区別される

また、「アクセス重視のストレージと容量重視(コスト重視)のストレージでは格納されるべきデータ、要求されるパフォーマンスも異なる」として、今回の新製品を容量重視(コスト重視)の製品と位置づけた。藤田氏は「仮想ストレージ“Vシリーズ”などはアクセス重視でプライマリー(データ)として最新データ、かつ頻繁に更新されるもの。一方のセカンダリデータはプライマリーデータの複製データで保存目的、データ保護であったり別アプリでの使用が目的ということになる」と話した。

もうひとつ新製品として発表されたのが『MirroStore』だ。これはローカルおよびリモートでデータのレプリケーションとミラーリングを行なうアプライアンスで、主に以下のような特徴を持っている。

『MirrorStore』
『MirrorStore』
・データ保護のためのローカル&リモートリプリケーション、ミラーリング(ファイバーチャネル経由/IP経由)
・ホストとストレージから独立し、柔軟性と容易な導入を提供するSANレベル・アプライアンス
・異機種混在ストレージを一元管理し、コストやパフォーマンスを最適化
・異機種混在サーバー&ストレージ既存環境へのシームレスな適合

ハードウェア仕様は2Uサイズで、2.4GHzのDual CPU(非公開)、4GBのメモリー、ファイバーチャネル×6およびEthernetポート×2をサポート。OSにはLinuxを搭載している。ソフトウェア仕様としては同期・非同期のミラーリング、スナップショット機能をサポートしている。ミラーリングに関して、氏は「ミラーリングというのはデータ保護というよりはプライマリーのストレージが障害を起こしたときに迅速に切り替わってデータアクセスを連続させるというデータの連続アクセス保障という目的が一番高く、データ移行をリアルタイムで行なうという用途も考えられる。MirrorStoreではミラーリングの同期型と非同期型のミラーリングの両方提供している。非同期型だと回線コストやミラー側に使うストレージのランクを下げられるという経済的な優位性ももっているので、これら同期型・非同期型というのは顧客の業務によって変わってくる」と解説。

IP経由のミラーリング構成例
IP経由のミラーリング構成例。左側がプライマリーのサイト。プライマリーデータは高機能・高価格なストレージに格納しておく。ここでミラーストアを導入し、ひとまず同期型のミラーリングでデータ保護を行なう。加えてIP経由のリモートサイトにもミラーストアを置き、比較的低価格で低速なストレージに非同期ミラーリングを構築し完璧なデータ保護を行なう

レプリケーションについても「レプリケーションの場合はデータ更新の反映は随時になる。普通スケジューリングされて一定期間ごとのあるタイミングで同期化される。データの転送の大域幅は小さくできるので、より経済的なディザスターリカバリーが可能になる」とメリットを強調した。また、スナップショット機能というのは、一定の時点でのデータイメージをとっておくことができるもので、「たとえばウィルスにおかされてしまって1週間前の状態に戻さないとウイルスが排除できないという場合には、かなり前のスナップショットのイメージからもとに戻すことが可能。そしてリカバーするというケースも考えられる」と紹介した。

IP経由のリモート・レプリケーション構成例
IP経由のリモート・レプリケーション構成例。ミラーリングとそれほど変わらない。プライマリーのほうに書き込まれたデータのリプリケーションがIPのネットワークを通じてストレージに保存される。タイムマークというオプションを使ってある時点のイメージを残しておけば、かなり前の状態に戻すことも可能

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