2月3日、インテルは90nmプロセスによる次世代Pentium 4、コードネーム“Prescott(プレスコット)”を発表した。製品も追って秋葉原などに登場するはずだ。動作クロックは3.4GHzにアップ、さらに、現行Pentium 4(Northwoodコア)の512KBの2倍に当たる、1MBもの大容量2次キャッシュを搭載する期待の新製品だ。PART1の今回は、その特徴とパフォーマンスを検証していくことにする。なおPART2では、SSE3の話題を中心にお届けする予定だ。
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Prescottとは何か:ハードウェア編
Prescottは、現行の0.13μmプロセスによるPentium 4(Northwoodコア)の後継となる新CPU。プロセスが微細化すると、高クロックへの対応、消費電力の低下、ダイサイズの縮小(またはより大規模なキャッシュや回路の搭載が可能)、といいことずくめなのはよく知られている。
しかし、Prescottは、以前Pentium 4がWillametteコア(0.18μm)からNorthwoodコア(0.13μm)に移行したときのような、2次キャッシュを倍増しただけの単純なプロセス移行ではなく、さまざまなファインチューニングや新機能の組み込みが行なわれている。今回は、2次キャッシュの倍増に加え、
・1次データキャッシュを8KBから16KBに拡大
・13の新命令セット「SSE3」の内蔵
・セキュリティ機構「LaGrande」に対応
・かけ算命令(imul)の高速化
・ライトコンバイニングバッファの増設
といった強化がなされているためだ。そのため、WillametteからNorthwoodではトランジスタ数はプラス1300万と、キャッシュの256KB増加分から予想される1280万にぴったり符合した数だけしか増えていないのに、今回は5500万から一挙に1億2500万と、2倍以上にアップした。キャッシュ512KB増加分は2600万くらいだから、そのほかの機能に4500万ほどもの膨大な数のトランジスタが費やされていることがわかる(もっとも、既存の回路を高クロック対応にするために、追加でトランジスタを必要とした可能性もあるのでなんとも言えないが)。
このような大きなコアの機能拡張が行なわれているため、PrescottはPentium 4ではなく新しいネーミングがなされるという観測もあったが、実際に登場したPrescottは、Pentium 4の名前を踏襲、見分けるには製品名末尾の「E」または「A」という記号を頼りにするしかないという、地味なデビューとなった。一方で、あとは消えゆくのみと思われたNorthwoodコアに新たに3.4GHz版が登場したり、Extreme EditionはNorthwoodコアのままであるなど、妙にNorthwoodの存在感が高いのも目につく。まるで、まだまだNorthwoodでも行くぞ、と言いたげである
理由のひとつに、熱設計電力の問題が考えられよう。Prescottは2.8GHz/3GHz版で89Wと、NorthwoodのPentium 4-3.2GHzの82Wを上回り、3/3.2GHz版に至っては103Wと、ついに3ケタのワット数を必要とする。従来のマザーボードは、89Wまで対応のFMB 1仕様のものが多い。Prescottで置き換えてしまうと、差し替えの選択肢が3GHzまでに抑えられてしまうし、FMB 1以前のマザーではそもそも選択肢がなくなってしまいかねない。
だがそれにしても、同クロックのNorthwoodとPrescottの価格が同じであるというのは納得しずらい。Prescottは1次、2次キャッシュの倍増という強化がなされ、周波数換算で300MHz分くらいは性能が上がっていい。当然Prescottのほうが高価であるべきではないか。確かに、FSB 400のPentium 4とFSB 533のPentium 4も、今までは周波数が同じ場合には同じ値段で売られてはいたが、今回はコアがまったく別物なのだ。