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カノープス、HD対応リアルタイム編集システム『HDWS-1000』を発売――HD/SD混在でもスムーズなリアルタイム編集を実現

2004年01月21日 23時49分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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カノープス(株)は21日、東京・日本橋の東京ショールームで記者説明会を開催し、放送局や映像編集プロダクション向けのHD(High Difinition:高解像度)対応リアルタイム編集システム『HDWS-1000』を今月下旬に発売すると発表した。価格は430万円。なお、同時に発表された一般ユーザー向けの低価格ハードウェアMPEG-2エンコーダー付きTVチューナーカード『MTVX2004』については、こちらのニュース記事を参照いただきたい。

初期投資の低減と豊富なSD素材の再利用で
キー局のサブシステムや地方局をターゲットに

『HDWS-1000』
右側のタワー型の本体が『HDWS-1000』。なお、中央の液晶ディスプレーや左のモニター用ディスプレーなどはオプション

記者説明会には、プロフェッショナルビデオ事業戦略室 室長の伊藤祐二氏、製品企画部の有富 豊(ありとみゆたか)氏らが出席し、HDWS-1000の開発の背景や狙いについて説明した。

HDWS-1000を投入したカノープスの狙い 将来はHDVが一般ユーザーへの普及
HDWS-1000を投入したカノープスの狙いを説明する資料当初はプロユースのHD編集システムだが、将来的にはHDV対応カムコーダーなどの登場により、HD編集が一般ユーザーにも広まり、ターゲット層が広がると予測している

伊藤氏は「昨年9月にビデオ機器各社から高解像度のビデオフォーマット“HDV”規格が発表され、カノープスも賛同を表明した。これは民生機器向け規格ではあるが、当初はプロ(TV局や映像編集プロダクションなど)が利用すると予想している。また、昨年12月から東名阪の一部地域で地上デジタル放送が始まり、キー局各社はHD対応の編集システムを導入しているが、設備使用料が高価で制作したHDコンテンツも従来より割高になる。理想的には、HD対応カムコーダーで撮影した素材をHDのまま編集し、必要に応じて最終的にSD(Standard Difinition:標準解像度)映像にダウンコンバートしたいところだが、HD映像の編集コストがかさむため、先に素材をSD映像にコンバートして編集するという従来の手法を採るケースが多いと聞く。さらに、地方局や映像編集プロダクションでは、初期設備投資に数千万円といった大きな予算を割けない現実問題もある。こうした現場にHDWS-1000を売り込んで行きたい」と話し、コストパフォーマンスの高さや将来的にも需要が見込めることをアピールした。

HDWS-1000の位置づけ 将来のシステム拡張
HDWS-1000の価格面での位置づけ。SD対応の編集システムと同じ価格帯でHD対応編集システムを実現したというHDWS-1000の将来的なシステム拡張を示した資料。アナログ入力用ブレイクアウトボックスや、ネットワーク経由でのコンテンツ管理・配信、MPEG-4エンコーダーなどの拡張を予定している

HDWS-1000は、CPUにインテルXeon-3.0GHz×2のデュアルプロセッサー、メモリー2GB、HDDはシステムに80GB、映像用に320GB(ハードウェアRAID-0、HDコンテンツで5時間分)、OSにWindows XP Professionalを搭載したワークステーションに、カノープス独自のソフトウェアHD CODEC(最高1/7圧縮)/DV CODEC(最高1/5圧縮)、およびビデオ編集ソフト『EDIUS Professional』をプレインストールした“ターンキー”システムとして提供される。ソフトウェアCODECを搭載した理由として、プロフェッショナルビデオ事業戦略室の久木 海氏は「CPUをはじめとした処理能力の向上に合わせて編集機能を拡張できるほか、将来のCODECの追加も簡単に行なえる。現在、リアルタイム編集可能なスペックは、映像2トラックとタイトル1トラック、および音声トラック(2チャンネル出力)となっているが、2月には音声出力を最大8チャンネルまで拡張する(無償アップデート)。将来Xeonプロセッサーがさらに高性能化すれば、リアルタイム編集可能な映像トラック数も増やせるだろう」と、コスト低減以外でのソフトウェアCODECのメリットを説明した。

ビデオ編集システムとしての特徴は、映像素材のフォーマットの違い(HD/SD/DV)に関わらず、取り込み時に自動的に非圧縮のHD素材にアップコンバートして、同一タイムライン上で編集、リアルタイム映像出力が可能(一部フィルター/トランジションおよびタイトルのアニメーション効果などは、プレビュー前にレンダリングが必要となる)。VTRコントロール用にRS-422A端子を備え、精度±0で制御および映像の取り込みが行なえるという。

EDIUS Professionalで編集中の画面
HDWS-1000のEDIUS Professionalでリアルタイム編集を行なっているところ。ボートの屋根が緑だったり、本来黄色のパーカーが紫に映っているのは、カラーコレクションによるフィルターリングを掛けているため

入力端子はBNC×1(HD-SDI/SD兼用)、出力端子はBNC×2(同)、およびDV入出力端子としてIEEE 1394(6ピン)×2。HDモードの対応フォーマットは1080/60iで、オプションで720/60iなどにも対応予定。本体サイズと重量は幅190×奥行き524×高さ433mm/19.2kg。ワークステーションに接続する操作用ディスプレー、およびモニター用ディスプレーはオプション。

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