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日本サムスン、電源以外の調整ボタンを全て省いた17インチ液晶など新製品5機種を発表

2004年01月21日 16時14分更新

文● 編集部 小板謙次

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日本サムスン(株)は20日、同社本社にて今後の製品戦略と液晶ディスプレーの新製品についての説明会を開催した。冒頭挨拶にたったDigital Products事業部長 常務取締役の黄春澤氏は、昨年はSARSなど市場に影響を及ぼす不安定な要因はあったが、サムスングループにとって飛躍した年になったと挨拶。「サムスングループのなかで中核となるサムスン電子は、日本円で4兆3000億円の売り上げを達成することができた。「今年はコンシューマ向けにあわせて法人向けのBtoB市場の開拓に力点をい置いた営業活動をしていく」と話した。

2004年の販売目標は2800万台

続いてDigital Products事業部IP営業Team次長の金周一氏は“液晶ディスプレー市場概要とサムスンのビジネス概況”と題した説明を行なった。世界市場については「ディスプレー市場は2002年度は1億400万台の市場規模だったが、昨年は1億1000万台を突破。今年は1億1600万台に上ると思う。また、そのなかで液晶ディスプレーが6400万台に達すると予想される」と紹介し、同社にとって大きなチャンスになるのではないかと期待を表した。サムスンの販売台数としては、液晶ディスプレーの伸びが顕著で2003年には2000年の10倍にあたる800万台を販売したことが紹介された。2004年の販売目標は、液晶ディスプレー(Liquid Crystal Display )は1200万台を掲げているという。

Digital Products事業部IP営業Team次長の金周一氏
Digital Products事業部IP営業Team次長の金周一氏
2002年から2003年のディスプレーの世界市場規模と2004年の見込み
2002年から2003年のディスプレーの世界市場規模と2004年の見込み。2004年は1億1600万台に達する(資料:IDC)
サムスンのワールドワイドでの販売台数、市場シェア推移
サムスンのワールドワイドでの販売台数、市場シェア推移。液晶ディスプレーは2003年には2000年の10倍にあたる800万台を販売した

日本市場については(社)電子情報技術産業協会(JEITA)の資料をもとに、2004年は580万台の市場規模になると予測。また昨年12月に17インチの液晶ディスプレーがはじめて過半数を超えたことを紹介。パネルサイズで見た場合、2004年は46%が17インチの製品が市場を占めるようになるだろうと予測した。この状況を踏まえ同社では「ごく一部の量販店向けの製品を除き、全部17インチ以上にシフトしていく予定」ということを明らかにした。

日本市場の規模
日本市場の規模。2004年は580万台の規模になると予測する

50周年を記念して移転の六本木新社屋“T-Cube”

また、同社が昨年11月下旬に移転、営業を開始した新しい社屋についても簡単な説明がなされた。サムスングループの海外法人として東京事務所を開設して以来50周年を迎え、次の50年につなげるインフラ作りの一環として、これまで関東5ヵ所にあった事業所を集約する形で本社を六本木に移転した。地上27階、地下1階で延床面積1万8697坪のビルは三井不動産と日本サムスンによる共同開発で進められた。事業主は三井不動産(株)と日本サムスンで、1~3階が店舗、5~15階が富士ゼロックス、16~20階が日本サムスン、22~27階が住宅となっている。このビルは六本木T-Cube(ティーキューブ)と呼ばれているが、「“キューブ”が3乗を意味し、日本サムスン(三星)、三井不動産、六本木三丁目(住所)、三角形(土地)など3にまつわる事柄が多いビルで、それらが相乗効果を発揮していくことを願った名称」であるとのこと。「六本木はこれまで飲食店が多く、若者の街というイメージがあったが、これからは先端のビジネス街に変わっていくだろう」と紹介された。

新社屋概要 2階のエレベータホールの大型液晶ディスプレーが
新社屋概要2階のエレベータホールの大型液晶ディスプレーが

業務用32インチ液晶など新製品5機種を発表

この日は、新製品の発表も行われた。同社の製品ラインナップは大きく、“業務用大画面モデル”、21インチ以上で狭額縁デザインを採用した“高精細スリムラインモデル”、液晶パネルと台座部分にヒンジを埋め込みチルト角と高さの無段階調節を可能にした“デュアルヒンジモデル”、19インチまでに狭額縁デザインを採用した“スリムラインモデル”、“テレビチューナー内蔵モデル”に分類される。紹介された製品はデュアルヒンジモデルの新製品『SyncMaster173P』、『SyncMaster193P』、業務用大画面モデルの『SyncMaster323T』、高精細スリムラインモデルの『SyncMaster243T』。そして新たに加わった“保護ガラス採用モデル”として『SyncMaster173VG-T』といった全5製品だ。

『SyncMaster173P』『SyncMaster193P』

17インチの『SyncMaster173P』と19インチの『SyncMaster193P』は、同社得意のデュアルヒンジ機構を採用するほか、業界ではじめてメイン電源以外のボタンを省いたボタンレスデザインを採用しているのが大きな特徴だ。従来のディスプレイでは、ベゼルのまわりにあるボタンを操作してユーザーがテスト画像を出しながらオンスクリーンディスプレイで画質調整などを行なっていたが、同製品では付属のユーティリティソフト『MagicTune』によって、キーボードとマウス操作で調整を行なうことができる。また、『MagicTune』により精度の高いカラーキャリブレーションが可能となっている。これについて新製品の説明にあたったDigital Products事業部IP営業Team課長の宮田隆氏は「色の標準化が業界で進められているが、液晶においてはバックライト、ビデオカードなどの組み合わせによって、ガンマカーブは曲線が蛇行してしまっているのが現実。ガンマカーブの蛇行によって、グレースケールへの色のにごり、中間色の色の表示が不正確になるなどの影響がでる。こうしたガンマの蛇行は従来のソフトウェアのように一点でグラフ曲線を動かしても補正できないという問題があった」と従来のソフトの欠点を指摘。『MagicTune』では、6点の補正ポイントにより精度の高い補正されるようになっていると話した。

SyncMaster173PSyncMaster193P
『SyncMaster173P』『SyncMaster193P』
『MagicTune』を起動したところ
テキスト、インターネット、エンターテインメントなどに最適なパラメーターがプリセットされボタンひとつで最適な画像調整を行なう“MagicBright”機能は従来の機種でも搭載されていたが、今回は『MagicTune』に統合された
MagicBright
『MagicTune』では6点の補正ポイントにより精度の高いガンマ補正が可能

『SyncMaster173P』は輝度が270cd/m2、コントラスト比700:1、視野角は水平178度/垂直178度、応答速度は25ms。サイズは幅382×奥行き236.2×高さ395.2mm、重量6kg。『SyncMaster193P』は250cd/m2、コントラスト比800:1、視野角は水平178度/垂直178度、応答速度は20ms。サイズは幅423×奥行き236.2×高さ412.7mm、重量7.1kg。また、両製品とも水平同期周波数は30k~81kHz、垂直同期周波数は56~75Hz、解像度は最大1280×1024ドットで最大表示色数は約1677万色の“PVA方式”のパネルを採用。入力端子はミニD-Sub15ピン、DVI-Dの2系統、消費電力は最大40W。高さ調整は50mm、チルトは前5度、後ろ最大90度、スイーベルは350度、VESA規格に準拠した75mmのマウントを装備し、ピボット機能を搭載する点は共通だ。『SyncMaster173P』の販売価格は6万9800円で、20日から同社直販サイトのサムスンダイレクトほか法人販売のみが行なわれており、量販店での販売はされていない。『SyncMaster193P』の販売価格はオープン(編集部予想実売価格は9万9800円)で、法人販売および量販店で2月下旬に発売される。

デュアルヒンジ機構を採用
デュアルヒンジ機構を採用。スタンドを取り外すことなく壁掛けにできる

『SyncMaster323T』

業務用ディスプレーの市場規模については昨年は約5万台、今年は6万5000台が見込まれるとして、昨年から市場が急速に拡大してきている分野だと紹介された。そんななかで今回同社が発売する『SyncMaster323T』は1280×768ドット(WXGA)対応のワイドパネルを採用した32インチ液晶ディスプレーで、昨年夏に発売された業務用液晶ディスプレー『SyncMaster403T』に続くバリエーションモデルだ。輝度450cd/m2、コントラスト比500:1、視野角が水平170度/垂直170度の“PVA方式”の液晶パネルを採用。解像度は最大1280×768ドットで、最大表示色数は約1677万色。水平同期周波数は30k~70kHz、垂直同期周波数は50~85Hz。応答速度は23ms。入力端子はミニD-Sub15ピン×1、DVI-D×1に加え、業務用途対応にアナログRGB×1(BNC×5)、ビデオ入力としてコンポーネント入力(BNC、Y/Pb/Pr)、RCA×1、S端子×1を装備。出力端子はアナログRGB×1(BNC×5)、ビデオ出力としてRCA×1、S端子×1、コンポーネント出力×1(BNC、Y/Pb/Pr)を装備する。さらに、パソコンから複数のディスプレーの遠隔操作を可能にするためRS-232Cも装備。画面のなかに子画面表示を可能にするPIP(ピクチャー・イン・ピクチャー)機能も搭載している。価格は44万8000円で、同社直販サイトのサムスンダイレクトほか法人販売のみの取り扱いとなっており、1月下旬に発売。

SyncMaster323T
『SyncMaster323T』
RS-232Cを搭載し、複数台の個別ID設定で遠隔操作も可能となっている
RS-232Cを搭載
業務用大型ディスプレー市場は拡大し、2004年には6万5000台の市場規模になる(資料:富士キメラ総研)

『SyncMaster243T』

『SyncMaster243T』は24インチの液晶ディスプレーで、輝度300cd/m2、コントラスト比500:1、視野角水平170度/垂直170度で、最大解像度は1920×1200ドット(WUXGA)、最大表示数約1677万色に対応の“PVA液晶”パネルを採用している。水平同期周波数は30k~81kHz、垂直同期周波数は56~75Hz。応答速度は30ms。入力端子はミニD-Sub15ピン、DVI-Dの2系統。電源は内蔵タイプで消費電力は最大75W。本体サイズは幅586.6×奥行き246.1×高さ514.2mm、重量13kg。マウントはVESA規格準拠の100mm。チルトは前5度、後ろ30度、スイーベルは左右45度。高さ調整は50mm。ピボット機能を搭載する。「同等クラスの他社製品では、ピボット機能を持ったものはない」とピボット機能搭載を強調するとともに、DTPやCADなどの業務用途に向いた製品として紹介された。マウントはVESA規格準拠の100mm。価格は29万8000円でサムスンダイレクトほか法人販売製品として、2月下旬に発売になる。

yncMaster243T
『SyncMaster243T』

『SyncMaster173VG-T』

『SyncMaster173VG-T』は同社製品ではじめて強化ガラスによる保護フィルターを装備した製品。宮田氏は「学校、図書館などでは子供が多いので、どんな使い方をするかわからない。場合によっては鉛筆でつついたりすることもある。この製品はお客さんのから保護フィルターを要望する声が多く、その声に応えるべく商品化したものだ」と紹介した。パネルには輝度270cd/m2、コントラスト比450:1、視野角水平150度/垂直135度の“PVA方式”のパネルを採用。最大解像度は1280×1024ドットで最大表示色数は約1619万色、応答速度は12ms、入力端子はミニD-Sub15ピン。サイズは幅384.6×奥行き201×高さ392.8×mm、重量6.2kg。消費電力は最大42Wとなっている。VESA規格に準拠した75mmマウントを装備する。価格はオープン(編集部予想実売価格は5万9800円)で、量販店および法人販売で2月下旬に発売となる。

SyncMaster173VG-T
『SyncMaster173VG-T』

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