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【特別企画】商工会の記帳システム『ネットde記帳』

2003年12月22日 18時45分更新

文● Linux magazine編集部

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 商工会は、主として全国の町村の行政単位に、地域商工業の総合経済団体として自主的に組織されてきたが、昭和35年に地域の小規模事業者(従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下)の経営改善普及事業(記帳、金融、税務、経営、取引等に関する相談・指導事業)を担う組織として商工会法が制定され、法律に基づく団体となった。それに伴い、当該事業については国県から補助を受けることとなった。類似の組織に、商工会議所があるが、商工会議所は市部を中心に組織化されているのに対して、商工会は町村部の地域を中心に組織化し指導地域としている点が異なり、組織の性格は基本的には全く同一で、法律上両団体の地区の重複が禁じられている。

 現在全国の商工会の会員数は約100万(全商工業者に占める比率は、約63%)で推移している。これらの町村レベルの商工会を指導・統括する組織として各県ごとに都道府県商工会連合会(県連)があり、その上に全国商工会連合会(全国連)がある。

 商工会では、1972年から記帳機械化事業を開始し、1995年からは全国連・県連が共同開発したPCで動く記帳システムを導入した。現行記帳システムは、小規模事業者から受け取った各種伝票データを入力して、各事業者の経理処理や経営指導のための統計データ作成に使われている。各商工会で入力したデータは、県連のサーバに集約して事業ごとの各種帳票が作成されるとともに、統計データにまとめられる。小さな事業所では、自分たちの経営状況を客観的に分析できるデータを簡単に入手できない。商工会を通して得られる同業他社の経営状況の統計データは、小規模事業者にとって、自分たちの事業状態を客観的に把握するための重要な情報源となる。

 ところが2001年に、この記帳システムの開発のベースとなったOSのWindows 95に対するマイクロソフトの保証がなくなってしまい、ついに従来の記帳業務システムの動作保証が受けられなくなった。全国商工会連合会としては新しいシステムの検討を迫られる事態となった。

 そもそも商工会は非営利団体であり、国や地方自治体の補助等により運営されている。現在、中央、地方ともに財政難で補助金や予算が削減される傾向にある中で、よりOSなどに左右されない低コストでメンテナンスフリーのシステムが必要になってきた。

 新システム導入に先立ち、一部の県では記帳機械化事業そのものの存続が厳しい状況が出はじめていた。
 全国連では、このような中、なんとか全体が便利に使えるシステムの模索を始めた。

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