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インテル、“ITは重要でない”に反論!――今年最後のエンタープライズ・ソリューション戦略説明会で

2003年12月12日 21時06分更新

文● 編集部 小板謙次

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インテル(株)は11日、“インテルのエンタープライズ・ソリューション戦略について”と題した記者会見を開催、米インテル社のセールス&マーケティング事業本部副社長兼ソリューション市場開発事業部ディレクターのデボラ・コンラッド(Deborah Conrad)氏が、現状を説明した。

■カール氏の論文“IT Doesn't Matter”に反論

米インテル社のセールス&マーケティング事業本部副社長兼ソリューション市場開発事業部ディレクターのデボラ・コンラッド氏
米インテル社のセールス&マーケティング事業本部副社長兼ソリューション市場開発事業部ディレクターのデボラ・コンラッド氏

コンラッド氏は、ニコラス・カール(Nicholas Carr)氏がHarvard Business Review誌に発表した“IT Doesn't Matter(ITは重要ではない)”という論文がマスコミを賑わせたことについて触れ、「ITは成長が見込めない、ITはイノベーションしない」というカール氏の見解は間違いであるということを、説明の中でたびたび取り上げた。「(ITの成長に関しては)2つの見方があり、ひとつは“グラスの水が半分しかない”という考え。これはつまり、企業が十分にITに投資してきて、これからの生産性向上やコスト低減は見込めないという考え方。もうひとつは“グラスに水は半分埋まった”とする見方。これは、イノベーションは始まったばかりで、これからもっと成長がもたらされるという考え方だ」と話し、インテルはコンピューターのパワーをユーザーに提供しながらコストを下げていくことが重要と考え、“ITは重要だ”との考えを示した。また、「そのために、新しいプロッセッサーをどんどん市場に投下し続けるだろう」と付け加えた。



Itaniumサーバーを使ったものに移行するという現象が世界中でおきておりエキサイティング」であるとコンラッド氏
「Itaniumサーバーを使ったものに移行するという現象が世界中で起きており、エキサイティング」であるとコンラッド氏。パートナーと一緒に標準化を進めながら、今後もコスト削減は可能になるとした

ただ、市場には問題がないわけではないという。氏によるとIT需要は拡大しているが、企業のIT予算は平坦化しているとのこと。「企業がITに払える予算は限られている。英語では“Share of Wallet”というが、どれだけ財布の内訳をとることができるかという状態だ。この2年間を見ていると、エンタープライズソフトのライセンス料の更新に費用がかかるようになっている。また、ハードの運用上での基本的なコストが非常に大きな割合を占めるようになってきており、それゆえ企業はなかなかIT部門で革新的な事にお金が使えなくなっている。そればかりか、“試してみる”ことさえできなくなってきた」という現状を挙げた。そのため、同社ではパートナーと一緒に、IT向けのイノベーションを低いコストで提供できるよう努力している話した。氏が例に挙げたのは金融業界の例だ。「金融業界は積極的にIT分野にイノベーションを取り入れている業界のひとつだ」と話し、UFJ銀行などがLinuxとインテルアーキテクチャーを組み合わせることで、TCOを削減しながらも高い競争力を維持することに成功していると話した。

■企業のパソコンの買い替えサイクルを健全化することが大切

また、氏によるとインテルが注目している事項として

  • PCの入れ替え
  • モビリティ
  • 企業コンピューティング

という3点に触れた。PCの入れ替えでは、企業のパソコンの買い替えサイクルが、昔は2~3年であったものが、景気の悪化とともに4~5年と長くなってきており、なかには6年もオフィスで同じパソコンを使い続けている企業もあるという同社の調査結果を紹介。「この状態は生産性の問題を生じるだけでなく、セキュリティー面でもリスクがある。さらに、昔のコンピューターは3.8年くらい経過すると実際に維持するのが難しくなり、しかも却って高くつく」とした上で、「新しいコンピューターを買ったほうが安いということがわかってきた」との分析を示した。インテルではIT部門に対して、競争力、コスト節約の両面からクライアントコンピューターをアップグレードしたほうがいいと啓蒙してきた。その結果、買い替えサイクルの健全になってきていると話した。インテルは今年5月に、“インテル社内のIT戦略とパソコン(PC)の戦略的利用”についての記者会見を開催している。このときは、上位機種の購入でTCO削減に成功した自社の例を示していたが、今回の主張も基本的に変わらない。

モビリティに関してはワイヤレスがひとつの成長の触媒となっているとし、小売業、医療分野において、実際にワイヤレスデバイスでコミュニケーションしている例を挙げた。編集部に話した例として氏は、「個人的には医療分野が楽しみだ。医師や看護婦は常に動き回ることから、ワイヤレスデバイスの利用が広がってきている」と説明した。日本では、あまりそのような例は公開されていないがと聞くと「この動きははじまったばかりだ」として、「イギリスの世界最大規模の医療保険団体では、様々な関係機関との情報共有もはじまっている」と期待を示した。一方で小売業でも「新しい技術としてはRFID(Radio Frequency Identification)が活用され、“スマートタグ”が販売品目に付けられて追跡にも利用されている。それらがサプライチェーンマネージメントで把握できるようになっている」と話し、RFIDひとつとっても“ITの限界”を違う分野に広げている例として、これは「カール氏の見解が間違っていることの証明だ」とコメントした。

企業コンピューティングに関しては、コスト低減からLinuxとの組み合わせや、マイクロソフトのOSソリューションで積極的にインテルアーキテクチャーが活用され、Itaniumがハイパフォーマンスを提供していると話した。氏はRAMOND JAMESや中国石油、INGなどの具体的な企業名を挙げながら「今ままでのメインフレームから、分散モデルでItaniumサーバーを使ったものに移行するという現象が世界中でおきており、非常にエキサイティングだ」とした。インテルの標準アーキテクチャーを活用することで、競合製品よりもコストを1/3削減できるというデータを紹介した。



■エンタープライズ戦略ではパートナーシップが重要

インテルは単なるチップメーカーではないと繰り返しているが、今回の説明でもそれが繰り返された。氏が重視するのはトータルソリューションだ。そして、それを実現するためのパートナーシップを強調した。「おそらく世界中で5万社がインテルアーキテクチャーをベースにビジネスモデルを構築しているが、数年前からBEA、ORACLE、SAPなどと特定の関係も持ちつつ、企業側に儲けが出るビジネスモデルを進めている。一社ですべてのソリューションを出すことはできない」「最初はカスタム開発に近い形でソリューションが提供されるかもしれないが、カスタム部分を少なくして標準化されることが大切。そのためには、パートナーと一緒にコンセプトの証明、IT環境の導入など早い段階でかかわっていくことが重要。その上で同じ問題をかかえる企業に適用していく」という。

■SFAをベースに戦略を進める

インテルは、テクノロジーの刷新が期待できる分野として、資源エネルギー、製造業、通信、デジタル・メディア、金融サービス、小売業、行政、医療、ライフサイエンスと業界を分類し、専門の部隊を配置している。日本市場では、製造業、行政、金融サービスの3分野に特に力点を置いているという。さらに、その業種をSFA(Solution Focus Area)として分類している。これは、インテルがその業種のなかでも貢献できる部分、主要なテクノロジーを提供することができる部分ということになる。たとえば金融サービスでは、資産運用、電子決済、一貫したチャネルへのサービス、リスクマネージメント、取引運用の効率性といったSFAを設けているとした。

テクノロジーの刷新がが期待できる分野として、資源エネルギー、製造業、通信、デジタル・メディア、金融サービス、小売業、行政、医療、ライフサイエンスと業界を分類。インテルでは専門の部隊を配置している。★印は特に日本市場において注目している分野
インテルが各分野で貢献できる部分、主要なテクノロジーを提供することができる部分をSFAとして細分化
インテルが各分野で貢献できる部分、主要なテクノロジーを提供することができる部分をSFAとして細分化
採用曲線とSFAの対応グラフ
採用曲線とSFAの対応グラフ

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