このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

【特別企画】DB2UDB Version 8.1

2003年12月08日 06時33分更新

文● 小橋 一 日本IBM株式会社 証券システム部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 IBMのDB2は、2002年10月に新しいバージョンであるv8.1がリリースされた。その後、買収したInformix製品の新しいバージョンも含め、本年度の第2四半期までにほぼ出揃った、IBMのデータベース製品ラインナップについて整理して紹介しよう。

IBMのデータベース製品

 IBMのデータベース製品群は、コアとなるDB2 Universal Database(以下DB2UDB)と各種拡張製品、多様なデータベース統合を実現するDB2 Information Integrator(以下DB2II)、データウェアハウス向けの製品、メディアデータや帳票などのコンテンツ対応用の製品など、細かく分けられている(Informix製品は独立した位置付けとなっている)。必要に応じて、各種製品と目的に適したグレードを選択することとなるので、実際に製品を購入する際にはIBMへコンタクトしてほしい。なお、見積は日本IBMのWebサイトからも簡単な記入で可能となっている。

主要な特長

 DB2UDB v8.1の特長を簡潔に言い表すと、「オープンかつスケーラビリティのある可用性の高い基盤としての役割」というRDBMSとしての必要条件に加えて、「自律型コンピューティングとデータグリッドへの対応により実現する、オンデマンドビジネスを支える基盤」となるだろうか。よりクダいて言えば、必要なときに必要なだけ、さまざまなデータを多様に利用できるデータベースを「お気楽」に管理できる仕組みの基盤ということ。
 では、いくつかのキーワードをもとにDB2UDBの特長について少し詳しく見ていくことにしよう。

■自律型コンピューティング

 DB2UDBの自律型コンピューティング(Autonomic Computing)への対応として、管理とチューニングをDB2UDB自身によって行う、SMART(Self Managing And Resource Tuning)と呼ばれる機能が挙げられる。
 SMARTは、自己構成・自己最適化・自己防衛・自己修復という4つのエリアによって構成される。表1は各エリアに対応するDB2のコンポーネントの一覧だ。このうち、DB2 Performance Expert、DB2 Recovery Expert、DB2 Query Patrollerは拡張製品として、そのほかはDB2UDBのパッケージに含まれるツールとして提供され、コントロールセンターという管理ツールから一括管理される。

【表1】
DB2の自律型コンピューティング対応 エリアDB2コンポーネント
自己構成(Self Configuring) 構成アドバイザー
自己最適化(Self Optimizing) オプティマイザー
設計アドバイザー
DB2 Performance Expert
自己防衛(Self Protecting) DB2 Query Patroller
ヘルスセンター
メモリービジュアライザー
DB2 Performance Expert
自己修復(Self Healing) 自動インデックス再編成機能
DB2 Recovery Expert

■データグリッド対応

 DB2UDB v7.2の頃から存在したFederated Databaseという機能がある。これはOracle、Sybase、Informix、MS SQLといったDB2以外のデータベースに、DB2と同様なアクセスを実現するミドルウェアとして位置づけられていた。当時はデータの読み取りのみをサポートし、書き込みに関しては将来のバージョンで対応する旨の記述がマニュアルにはあった。
 この機能は、DB2UDB v8.1のリリース後に、DB2 Information Integ ratorという独立した製品としてリリースされることとなった。読み取り/書き込みのサポート機能は最終的にはレプリケーション機能となり、異種データベースが混合するシステム構成を繋ぐことが可能となった。多種多様なデータをDB2UDBで集約的に利用することから、レプリケーションハブという捉え方もできる。

■エクステンダ

 DB2UDBは扱うデータの種類によって必要な拡張を行って対応する。これがエクステンダと呼ばれるモジュールである。全文検索用のNet Search Extender、地図情報検索用のSpatial Extenderがオプション製品として用意されており、Audio、Videoなどのメディアデータ用のエクステンダおよびXML用のXMLエクステンダはDB2UDBパッケージに標準で付属する。

■オープン性

 オープン性の高いRDBMSという点では、対応プラットフォームの多さが挙げられる。IBMのUNIXであるAIX 4.3/5Lに加えて、Linux、Solaris 7/8/9、HP-UX、Windows NT/2000/2003、メインフレーム系のz/OSとOS/400でも稼動する。
 アプリケーション開発のための選択自由度が大きいことも特徴のひとつだ。テクノロジーとしてはJ2EEとMicrosoft .NETのどちらにも対応しており、JDBC(Type2~4)、ODBC/DAO/OLE DB/.NETによる接続が提供されている。また、Borland社との提携により、Delphi/C++Builder/Kylix/C#Builderでのアプリケーション開発支援体制も取り組まれている。特に Linuxでは唯一のRAD(Rapid Application Develop ment)ツールであるKylixを使ったアプリケーション開発においては最適なRDBMSといえる。

■可用性

 DB2は高可用性を誇り、アイドルスタンバイ形式とアクティブスタンバイ形式の両方に対応する。
 障害発生時からの復旧時間は、クラスタ構成の設定やダウンの瞬間のトランザクション量にもよるため一概には言えないが、数十秒から数分の間で引き継ぐことができる。さらに高機能なストレージシステムとのコンビネーションにより、オンメモリ上のトランザクションロストは限りなくゼロとなる。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ