このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

ThinkPadはここで生まれ、ここで鍛えられている!!――IBM大和事業所見学ツアーレポート

2003年12月02日 22時43分更新

文● 編集部 佐久間康仁

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

講演の後は、ThinkPadがデザイン・設計される現場や、製造後に騒音/電磁波の漏えいを測定し、落下や液晶ディスプレーの開閉といった耐久テストが行なわれる“現場”を見学した。

カメラケースからわんさと出てくるThinkPadの“部品”!? UEDCの会議スペース
UEDCの工作スペースでは、主に紙材料を使ってデザインコンセプトのモックアップを作る。その際にコネクターなどの使いまわす部品(の紙材料)はこうしたフィルムケースに管理され、1枚ずつ取り出して貼り付けているのだそうだ。なんだか、意外なところに親近感を覚えるUEDCの会議スペースは実に開放的。机に1つずつ(合計2台)のプロジェクターがあり、奥の壁(ホワイトボードになっている)に投影して自分の意見やデザインコンセプトを説明していく。会議への参加は自由で、別のプロジェクトのデザイナーが口を出してくることもあるとか

UEDC(ユーザー・エクスペリエンス・デザインセンター)と呼ばれる、ThinkPadの開発・設計部門は、想像以上に明るく開放的な雰囲気で、会議スペースには仕切りがなく、プロジェクターと壁一面のホワイトボードに各デザイナーが考案した製品コンセプトを持ち寄っては、マーカーで意見や改良案を書き加え、具現化していくという。

液晶ディスプレー開閉耐久試験 開閉ロボット
液晶ディスプレーをロボットのアームがつかんで、繰り返し開閉する試験の模様。3万回の開閉に耐えるように設計されているが、テストは10万回以上行ない、実際に何回で壊れるかを確認しているという開閉のペースは調整可能。ロボットのアームが右上をつかむのは右利きのユーザーが多いためで、中央よりも右上を片手でつかんで、液晶パネルにひねりが加わるように開けるケースが多いから、とのこと
ストンピングの耐久テスト HDDのアクセス中に叩きつけ
液晶ディスプレーの中央付近、比較的たわむ部分を何度も押し付けるテスト。白いパネルは最小で500円玉大の部品に交換して、テストされる。満員電車などで指やひじが押し付けられても、本体に影響が出ないかどうかを試している御影石の台にHDDが動作中のThinkPadを叩きつけるテスト。厚みの異なる木片を挟んで、傾けた状態から床に叩きつけられる。このテストは人の手で行なうそうだが、叩きつけられるほうが人間だったら、間違いなく仕事を放り出しているだろう
落下衝撃テストの台 落下して衝撃を受けた後
ここでは30cmの高さから、8つの角をそれぞれ鉄板の床に落として、外装の凹みやひび割れ、内部への影響などを調べている。平面が当たるよりも角が当たったほうがパソコンにかかる衝撃は大きいという予想以上に大きな音を立てて落ちる。こうなると分かっていても、心臓がキュンとするテストだ。自分には起こらないように祈りたい

耐久テストルームは、こじんまりとした部屋の中にロボットのアームがThinkPadの液晶ディスプレーを無言で開閉し続ける台や、工事現場のような音を立ててThinkPadのフタ(本体上面)に繰り返しプレスをかける機械、ThinkPadの8つの角を一定の高さから容赦なく鉄の床に叩き落とす装置が鎮座するなど、ノートパソコンにとってはさながら拷問室の様相だった。

半無反響室の模様 残響試験室
くさび形のグラスファイバーを使った吸音材を張り巡らせた、半無反響室での騒音測定。平均的なユーザーの頭の位置と、前後左右の5点でパソコンが発生する音を測定する。実際の動作音に近い騒音を測定する発生する音の平均値を測定するための残響試験室。先ほどの半無反響室とは違って、音がすべての壁に跳ね返って逃げないため、ThinkPad自身が発生する“音の大きさ”を図ることができる
音量の基準となる騒音発生器 上部の巨大なパラソル
静電気による空気清浄機のようだが、タービンモーターによる猛烈な空気の振動を発生して、測定の基準となる音量(実際に部屋の中に居ると大音量!)を発生させる音量の基準機残響試験室には中央上部に巨大なパラソルがある。これは低周波の音が出る際にこのパラソルを回転させて音をカクハンしていたのだという。最近は高周波の音が多いので、回す機会はなくなったそうだ

騒音と電磁波の測定は、棟を分けた地下に設備を設けている。これは建物の揺れによる誤差を低減するためで、騒音測定室(半無反響室:床面を除く5面を吸音材で囲っている)は部屋自体を釣り上げることで地震の揺れも伝えないようにしているとのこと。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン