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ソニー(株)副社長 高篠静雄氏/月刊アスキー編集主幹 遠藤諭 特別対談

ソニー(株)副社長 高篠静雄氏/月刊アスキー編集主幹 遠藤諭 特別対談

2003年11月27日 01時38分更新

文● 月刊アスキー編集部・遠藤

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QUALIA 007

Q007-SCD/スーパーオーディオCDシステム
Q007-SCD/スーパーオーディオCDシステム/メインユニット:80万円/スピーカ:70万円

高音質に加えて視覚的な美しさを重視したディスクローディングシステムを備えたSACDプレーヤ。左側の銀色のトレイ部にディスクを置くだけで、自動でディスクをセンターに移動したうえで中空に持ち上げ、アーム状のピックアップがCDをつかんで宙に浮いたまま再生を行う。

人間が感動するところは、
安いだけの製品からは生まれない

[遠藤] 今までの話の中に、QUALIAに関わる部分がたくさんありますね。
[高篠氏] 出井(ソニー会長兼CEO)は時計や車が好きなんです。僕は楽器が大好きなんですが、そういう物に対する感動って共通点があるんですよ。例えば、なんであんな手巻き式の時計がいまだに売れるのか。
[遠藤] 今すごく人気があるらしいですね。時計職人の名前を冠した製品が。
[高篠氏] 量を追わない、マーケットシェアを追わない。十分手間をかけて相応の値段をつけて、しかも根強いファンがいる。正確さから言えば、1000円のクオーツのほうがよっぽど正確です。でも作り込んだすごさとか、人間が感動するところは、ただ安くて正確なだけというクオーツの時計からは生まれない。

 我々は企業ですから、いい物を作るというのは基本ですが、売り上げとかマーケットシェアとかいろいろな要素がある。だから技術屋さんが「もうちょっとやりたい」というところを、ある程度で妥協しなくてはならない。コストの問題もある。

 そういう制約がある中でも、各カンパニーが持っている最上位機種の中にはQUALIA的な物がポツポツとある。今回の4製品の中のQUALIA016というカメラなんかは、デジタルカメラのカンパニーでやればやれるんですけれども、今の経済効率から考えると、ビジネスとしては商品化はできない。それならQUALIAの製品としてやろうと。でも今各カンパニーが持っている最上位機種を、そのまま持ってくればQUALIAになるわけではないところが難しい。

 私の担当は物作りという分野ですが、出井のコンセプトというのは「ソニー全体のQUALIA」。これは映画も音楽も、サービスも販売そのものも含めたソニーグループ全体の活動のこと。「QUALIAというのはソニー全体のドライビングフォース」と言っています。いろいろなことを通じて、お客様に感動を与え続ける。ソニーがソニーであり続けるための1つのドライビングフォースがQUALIAなんです。
高篠氏
[遠藤] その最初の商品群が、今回のこの4つの商品だと。だから機械だけがQUALIAじゃない。
[高篠氏] そういうことです。「QUALIAってなんなの?」というと非常に難しいのですが、まずは商品で示していこうと。やはりソニーは元々技術の会社ですから、技術を駆使して設計者が妥協をせずにとことん追い込んで。そういう魂が入った物なしには感動はない。中国で安く作ってという物は、お客様は買いやすいですが、本当にそれが感動されるものかというとね。


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