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バッファロー、セキュリティー設定をボタン1つで自動的に行なう無線LANソリューション“A.O.S.S”を発表

2003年11月10日 21時24分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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(株)バッファローは10日、都内で記者説明会を開催し、家電機器への導入を目的とした簡単操作でセキュリティー設定を行なう無線LANソリューション“AirStation One-Touch Secure System(略称:A.O.S.S)”を開発、12月より同社の既存無線LAN製品の対応ファームウェア配布や、組み込み用無線LANモジュール&ファームウェアの提供などを開始すると発表した。

代表取締役社長の牧 誠氏 ブロードバンドソリューションズ事業部長の西岡孝行氏 ブロードコム ジャパンの代表取締役社長のニック・シャムルー氏
代表取締役社長の牧 誠氏ブロードバンドソリューションズ事業部長の西岡孝行氏ブロードコム ジャパンの代表取締役社長のニック・シャムルー氏

発表会には、代表取締役社長の牧 誠(まきまこと)氏、取締役 ブロードバンドソリューションズ事業部長の西岡孝行氏、ブロードコム ジャパン(株)の代表取締役社長のニック・シャムルー(Nick Shamlou)氏らが出席した。

A.O.S.Sのビジネス全体像 A.O.S.Sの特徴
A.O.S.Sのビジネス全体像A.O.S.Sの特徴。接続の簡易さや、デバイス追加時の設定変更の自動処理などを具体的に挙げている

A.O.S.Sは、ホームネットワーク市場のさらなる成熟に合わせてパソコンのみならず家電機器などにも一層の普及(標準搭載)が期待される無線ネットワークについて、“パソコンを使わず”“パスワード入力などの初心者に難しい操作もなしに”“30秒以内(目標値)でセキュアーな無線接続環境を実現する”技術および製品(構想)の総称。A.O.S.S対応機器同士(無線LANアクセスポイントと無線LANコンバーター、あるいは無線LAN内蔵機器)では、特定のボタンを押すと一定時間暗号化した状態で周辺にある接続可能な機器を検索し、対応機器を検出するとESS-ID(無線LAN機器同士を接続する識別名)の設定や、その無線LAN機能が持つ最も堅固なセキュリティー機能を自動設定するというもの。64bit WEP/128bit WEP/TKIP/WPAなどをサポートし、暗号化キーは自動生成されるため、ユーザーは暗号化キーを考えたり自分で入力する必要がない。

A.O.S.Sのコンセプト A.O.S.S開発キット
A.O.S.SのコンセプトA.O.S.S開発キット

A.O.S.Sは、IEEE 802.11bに準拠するブロードコム ジャパンの1チップ無線LANコントローラー『BCM4317』とメルコが開発したA.O.S.S対応ファームウェアをセットにした開発キットの形で家電メーカーなどに提供するほか、すでに発売しているメルコのIEEE 802.11b/g準拠の無線LAN対応ブロードバンドルーター『WBR-G54』『WHR-G54』、IEEE 802.11b/g準拠の有線LAN→無線LANメディアコンバーター『WLI-TX1-G54』、およびIEEE 802.11b準拠の無線LAN対応ブロードバンドルーター『WBR-B11』、IEEE 802.11b準拠の有線LAN→無線LANメディアコンバーター『WLI-T1-B11』については、A.O.S.Sに対応するファームウェアを順次公開予定。また、A.O.S.Sを採用した企業向けに電話や訪問設定などによるサポート/アフターサービス業務を提供する“Baffalo Service Alliance(略称:BSA)”を準備しているという。なお、A.O.S.Sは基本的にソフトウェアで実現する技術なので、「当初はブロードコム ジャパンとの協業でスタートするが、将来的には他社の無線LANコントローラーにも対応できる」(エグゼクティブ・エンジニア 石徹白 敬(いしどしろ たかし)氏)とのこと。

A.O.S.S対応製品(ファームウェア配布)のロードマップ A.O.S.S事業のロードマップ
A.O.S.SのコンセプトA.O.S.S事業のロードマップ

発表会で、牧氏は「今年12月の地上デジタル放送開始によって、ホームAV市場の活性化が予想される。さらに、白物家電もネットワークにつながってインターネット経由で制御できる時代になるだろう。そうなると、無線LANは従来のように“パソコンが使える人だけのもの”ではなく、パスワードの設定や入力を知らない一般ユーザーでも使えなければならない。デジタルデバイド(ITに関する予備知識の差)の解消が必要となる。その一方で、セキュリティーの重要性は一般にも広く浸透している。今回のホームネットワークインフラの整備によって、ユーザーは“豊かで便利な社会を享受”し、家電メーカーは“ネットワーク家電市場の早期形成を実現”できる。そしてバッファローは“ホームネットワークのデファクトスタンダードの地位を得る”だろう」と自信を見せた。

クライアントはノートパソコンだが、ソフト起動後は一切キーボードやマウスに手を触れずに、自動的に接続&セキュリティー設定が行なわれて、ウェブブラウザーからバッファローのウェブサイトを閲覧するデモが実演された
A.O.S.Sを実演しているところ

西岡氏は、「A.O.S.Sは既存のセキュリティー技術を応用したもので、すでにある製品への拡張が容易なのも特徴。また、接続する無線LANデバイスを増やしていった場合には、すべてがサポートするうちで一番強固なセキュリティーを選択して自動(再)接続設定を行なう。例えば、2台のデバイスがAESで接続しているところに、3台目の128bit WEPのみサポートする製品を接続しようとすると、自動的にすべての製品を128bit WEPで接続しなおす。3台目の使用を止めると、再びAESで自動接続する。ターゲットは地上デジタル放送に対応した新型TVやプリンター、DVDレコーダー、ゲーム機など。現在は普及のための活動を始めたところで、各メーカーに声掛けを始めたばかりだが、“早速アライアンスを組みたい”と乗り気の企業も出てきている」と同社の取り組み姿勢を報告した。

なお、会見後のQ&Aで売上目標ついて質問されると、牧氏は「スタート直後(2004年ごろまで)は業界への働きかけやインフラ整備(既存製品のファームウェア配布、A.O.S.S対応製品の充実)が中心で売り上げは見込めないないかもしれないが、将来(2005年、2006年ごろ)はA.O.S.S事業で200~300億円程度、関連製品を含めると500億円程度(バッファロー全体の売り上げの半分近く)を見込んでいる」とスケールの大きな目標を掲げた。

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