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【最新パーツ性能チェック(Vol.16)】Pentium 4 Extreme Edition登場直前徹底研究

2003年10月25日 20時41分更新

文● 週刊アスキープラス編集部 野口岳郎

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P4EEは買いか?

性能的には大きな向上を見せたP4EEだが、これが“買い”かどうかは、「いつ発売されて、いくらで販売されるか」という点に加え、Pentium 4後継のPrescottがいつ、いくらで出てくるかも考えなくてはならない。Prescottがすぐに、安価に出てきて、しかも高速であったなら、P4EEを買った人は目も当てられないからだ。そのP4EEの具体的な発売予定が、まったくわからない。60日以内というBurns副社長の約束が守られるなら、タイムリミットは11月13日ということになるが、発売予定日や価格については現時点では公式の見解は得られなかった。

P4EEを買えるシナリオとしては、インテルがこれをP4-3.2GHzの上位モデルとして投入し、従来モデルは値下げ、P4EEは7~8万円でデビューする、という場合。さらに、Prescottの登場が少し先──Webでウワサされているように、2月以降になるのであれば、P4-3.2GHz→P4EE→Prescottという推移図が成立するので、「この年末に最速CPUを買う」という判断ならP4EEということになる。

しかし、ゲーマー向けの特別バージョンという触れ込みや、その性能からして、P4EEはAthlon 64FXに対してぶつけているのは確実だ。そのAthlon 64FXは、10万円弱ときわめて高価である。歴史的に、インテルのCPUは、同クラスの性能のAMD製品より高価だ。ブランド力と信頼感がこの値付けを可能にしてきた。とすれば、ほぼ同クラスの性能を持つP4EEを、Athlon 64FXより安価に提供するとは考えにくい。Webでは一部に925ドルという説が飛んでいるが、これも妥当な線だろう。このような価格だとすると、遅くとも来年3月ごろまでにはPrescottが、おそらくはより安価に登場すると考えられる以上、P4EEを購入する動機付けはかなり弱くなると言わざるを得ない。

記念すべき「サーバCPUのデスクトップ進出」

今回対決しているP4EEとAthlon 64FXは、どちらも“普通でない”製品である。Athlon 64FXは、当初のAthlon 64とOpteronという2つの製品群の間にいかにも急遽設置されたものだし、スペック的にはOpteronとほとんど同じだ。一方のP4EEは、名前こそPentium 4だが、実際はXeon MPの転用である。要するに両社とも、サーバ向けの高性能プロセッサを、ハイエンドユーザー向けのデスクトッププロセッサとして投入して、性能競争を勝ち抜こうとしているわけだ。

以下は推測でしかないが、AMDは、Athlon 64-3200+だとP4-3.2GHzに対して決定的な差がつかないので急遽Opteronを衣替えしたAthlon 64FX-51を追加投入し、それに対して、対抗馬を出さないでいるのはマイナスだと判断したインテルが急遽Xeon MPを衣替えして投入したのがP4EE、というのがこの秋の騒ぎの舞台裏ではなかろうか。ただ、元がサーバ用なので、アスロン64FXではソケットとメモリの非互換性が生じ、P4EEでは消費電力の大幅アップと製造コストの大幅アップ(=インテルとしては大量にそこそこの価格では供給しにくい)というジレンマを抱えてしまった。結局、どちらも性能は高いものの、買うには敷居が高い。

とはいえ、従来ならば高価なサーバ用マザーと高価なサーバ用CPUとを買わなければ入手不可能だった最速CPU環境が、なんとかがんばれば手に入るところに降りてくると考えれば、これは画期的なことかもしれない。性能の割にはずいぶん高い、と思われるかもしれないが、すべてのCPUはいずれ陳腐化する。メインストリームの最速モデルは、いずれ低価格のバリューCPUとなる。その点、P4EEは違う。なにしろこの中身はPentium 4ではない。P4の3倍以上の1億7000万トランジスタを集積したXeon MPだ。その存在感は、たとえ性能面で見るべきものがなくなった後でも、単にひとときメインストリームの最速モデルだっただけのCPUとは比較になるまい。そこに価値を見いだせるかどうかが、P4EE購入のポイントとなるだろう。

なお、10月25日に発売の自作専門誌『週刊アスキープラスVol.10』では、たくさんのベンチマーク結果もふまえた4ページの特別企画でPentium 4 EE情報をじっくりお届けするほか、『パソコン静音化最終テクニック』『PCパーツ代えどきマニュアル』『RADEON徹底研究』など、すぐ役に立つ自作情報を満載です。ぜひ書店にてお買い求めください。

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