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NTT東日本、NTTと慶応大学、43Gbpsの高速回線運用実験を開始――映画1本を1秒で転送可能!!

2003年10月23日 20時23分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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慶応義塾大学(慶応大学)、東日本電信電話(株)(NTT東日本)、日本電信電話(株)(NTT)は23日、都内で記者説明会を開催し、慶應大学の矢上キャンパス(横浜市港北区日吉)と湘南藤沢キャンパス(藤沢市遠藤)を43Gbpsの高速回線で結ぶ運用実験を24日に開始すると発表した。

徳田英幸氏(左)ら
慶應大学の環境情報学部教授兼政策・メディア研究科委員長の徳田英幸氏(左)ら

説明会には、NTT東日本の法人営業部担当部長の浮田豊明(うきたとよあき)氏、NTTの未来ねっと研究所所長の市川晴久(いちかわはるひさ)氏、慶應大学の環境情報学部教授兼政策・メディア研究科委員長の徳田英幸(とくだひでゆき)氏が出席し、実験の目的や背景について説明した。

共同実験のシステム構成図 高速伝送実験装置の概観
共同実験のシステム構成図慶応大学2地点に配備された高速伝送実験装置の概観

このプロジェクトは、今年7月15日に3者で共同実験に関する調印を行ない、構築準備を進めてきたもの。主な目的は、43Gbpsの高速回線を使って、“文部科学省 21世紀 COEプログラム(※1)”の一環として慶応大学が進める“次世代メディア・知的社会基盤”などのプロジェクトで必要とされる大規模アプリケーションの運用・評価(慶応大学)、および高速回線の保守・運用のノウハウの蓄積(NTT、NTT東日本)など。

※1 文部科学省 21世紀 COEプログラム 国内の大学が世界各国の大学と並ぶ、教育および研究水準に向上し、創造的な人材を育成・送出することを目的として、研究・実験のための国や関連機構・団体が補助金を提供する支援プログラム。審査・評価は“21世紀COEプログラム委員会”が行なう。

高速伝送実験装置の仕組み OTN伝送装置で送受信される信号のフォーマット概要
高速伝送実験装置の仕組みOTN伝送装置で送受信される信号のフォーマット概要

具体的には、慶応大学の2キャンパスにNTT未来ねっと研究所が開発した43GbpsのOTN(オプティカル・トランスポート・ネットワーク)多重化装置を設置し、中継伝送路を経由して光信号を送受信するというもの。中継機は80kmごとに設置され、NTT未来ねっと研究所の試算では500km程度離れた拠点間でも43Gbpsの転送速度を実現できるとのこと。慶応大学では、研究開発用サーバーと研究成果データベースの連動や、ストリーミング映像配信、P2P(1対1)データ通信、GRIDコンピューティング(分散並列計算処理)などの実験・検証を行なう。

この実験の技術的な課題としては、

  • 広域分散IPストレージ技術の評価と送出
  • 超高速ネットワークにおけるQoS(クオリティー・オブ・サービス)制御
  • 高速トランスポートプロトコルの評価と送出
  • デジタルシネマなどの大容量コンテンツの配信
  • eラーニング/電子政府/eスペース(慶応大学で取り組んでいる現実の地形や住居、写真情報を組み合わせた仮想空間)などの実証実験

などを挙げている。特に、広域分散IPストレージ技術と高速トランスポートプロトコルについては、32チャンネルのGbE(Gigabit Ethernet)の低遅延直接多重伝送と、誤り訂正符号の不可、光の波形ゆがみを自動補償するなど、新たな技術を盛り込んだ伝送装置をNTT未来ねっと研究所が開発した。

この実験は来年11月まで続けられ、その間にアプリケーションの追加や開発、各種データ収集と検証・評価を重ね、2005年3月までにデータを取りまとめる。

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