【CEATEC JAPAN 2003 Vol.7】お好きなほうに電波をどうぞ!? 指向性を制御する“シンプル・スマートアンテナ”を出展――村田製作所
2003年10月10日 20時17分更新
(株)村田製作所のブースでは、ドーム型のアンテナ(2.4GHz帯)の周りをおもちゃの機関車がPDAを載せて走るという不思議な展示が行なわれている。これは無線LANなどの電波送受信に任意の指向性を持たせることで、情報の漏洩や電波の干渉防ぐ“シンプル・スマートアンテナ”のデモンストレーションだ。
巨大なきのこのような“シンプル・スマートアンテナ” |
シンプル・スマートアンテナは中央に電波の送受信を行なう給電アンテナ、その周囲6方向に可変抵抗素子に接続された無給電アンテナアレイを配置し、抵抗素子を変化させることで指向性のパターンを変化させるというもの。デモでは、レールに沿ってアンテナの周囲を動くPDA(実際にはPDAの後ろに発信機を連結していた)の方向を検知して、その方向を赤色LEDで示していた。このように、ターゲットを決めてその方向へのみ電波の送受信を行なえば、意図せず薄い壁や扉越しの電波を通じて機密情報が漏れる、といった心配が減るし、近い周波数帯を使う電波送受信デバイスがある場合には、その方向への送信を避けることもできる。
5GHz帯対応品(右)は一回り小型になっている。赤いLEDが点滅している方向に電波を送受信する |
このデバイスは、(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と村田製作所の共同開発で、来年には製品化を目指すという。会場では動作デモが見られなかったが、5GHz帯のより小型な製品も開発している。