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チャータード・セミコンダクター、90nmのSoC製造プロセス“NanoAccess”とアライアンスの説明会を開催

2003年09月30日 00時00分更新

文● 編集部

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シンガポールのチャータード・セミコンダクター(Charterd Semiconductor Manufacturing)社は30日、米国時間の18日に発表した90nmのSoC(システム・オン・チップ)製造プロセス“NanoAccess(ナノアクセス)”のファウンドリー・サービス、およびそれをサポートする企業連合“NanoAccessアライアンス”に関する記者説明会を都内で開催した。

同社は半導体製造のファウンドリーでは世界の上位3社に入る企業。“NanoAccess”は、米IBM社と共同開発している90nmプロセスのプラットフォーム(IBMでの呼称は“Ready for IBM Technology”)、ならびにIBMと独インフィニオンテクノロジー社と共同開発している65nmプロセス技術をベースとするプロセス技術。“NanoAccessアライアンス”は、それをサポートする企業連合で、ライブラリー、EDA(電子回路自動設計)、IPプロバイダーに関連した企業で構成される。主な参加企業は、英アーム社、米アーティサン コンポーネンツ社、米ケイデンス・デザイン・システムズ社、ポルトガルChipIdea Microelectronics社、IBM、米メンター・グラフィックス社、米Monolithic System Technology社(MoSys)、米QualCore Logic社、米シノプシス社、米Virage Logic社で、半導体デザイン会社の米フレクトロニクス・セミコンダクター社や米Qthink社、製造サービスの大日本印刷(株)、凸版印刷(株)ほかも参加している。

記者説明会では、チャータード・セミコンダクター副社長ワールドワイド・マーケティング・アンド・サービス担当のケビン・メイヤー(Kevin Meyer)氏が“NanoAccessアライアンス”について、同じく副社長ストラテジック・アライアンス・アンド・パートナーシップ担当のジョン・マーティン(John Martin)博士が“NanoAccess”のテクノロジーについて説明を行なった。

製造コストの占める比率が低下
開発コストにおいて、すでに製造コストの占める比率が低下。トランジスターの単価は毎年30%下がっているという

メイヤー氏は、開発コストにおいて、8年前はトータルコストに占める“マスクコスト”と“設計コスト”は13%に過ぎなかったが、今年は60%を超えると予測されていることを示し、今後、メモリーやアナログ回路を集積しなければならなくなるだけでなく、高集積化にも対応しなければならず、それに対して“リソグラフィー”だけでは対応できないため、システムレベルでのアプローチの必要性挙げた。そして、NanoAccessアライアンスにより、スタンダードセルから、組み込みメモリーIP、アナログIP、デジタルシステムIP、デザインシステムまで、デザイン環境を共通にすることで、開発期間の短縮からトータルコストの低減、リスク回避を図ることができることを強調した。

90nmで提供する3種類のトランジスター
90nmで提供する3種類のトランジスター

続いて、“NanoAccessテクノロジー”についてマーティン博士が説明した。同社の90nmプロセスは、ポリシリコン1層、金属配線層9層で、すべてCu(同)配線となっており、トランジスターには通常/高性能/低消費電力の3タイプを用意していることを紹介。動作電圧は1.0Vと1.2Vが中心で、トランジスターのタイプにより、“Nominal(N)”と呼ぶベースとなる“コア・ロジック”のほか、“高速ロジック”、“低消費電力ロジック”の3種類を用意していることを示し、コア・ロジックでは層間絶縁膜にFTEOS(フッ化シリコン・ガラス)を採用した90nmプロセスの提供に続いて、2004年第2四半期から第3四半期にかけてLow-k(低誘電率)材料による90nmプロセスを提供、2005年第4四半期には65nmプロセスを目標としているとした。高速ロジックでは、2004年第3四半期にLow-k材料の90nmプロセスを提供、低消費電力ロジックについては2004年第2四半期から第3四半期にかけてLow-kの90nmプロセスを提供するというロードマップを提示した。

シームレスに移行
シームレスに移行

また、同社が300mmウエハーによる90nmプロセスにシームレスに移行するために、すでに40nmプロセスを視野に入れて、IBMと単一のチームで開発を行なっていることを紹介。建設中の製造施設“Fab 7”に関しては、建物そのものは完成しており、90nmプロセスでの製造を年内に開始する計画で、2005年から2006年にかけて量産に対応することを説明した。なお、デザインの受注は10月に開始するという。

Fab 7
チャータード・セミコンダクターが建設中の“Fab 7”

質疑応答で記者の質問に対し、メイヤー氏は、同社を利用するメリットについて、ファウンドリーとして、IBMの2倍の生産能力を持つことや、スケールメリットを生かせること、小規模生産に対応できることなどを挙げた。

最後に、ゲストとして列席していたアーム(株)代表取締役社長の石川滝雄氏を始めとして、NanoAccessアライアンスに参加している内外の主要企業の関係者が紹介された。

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