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T-Engineフォーラムとマイクロソフト、Windows CE .NETをT-Kernel対応に――仕様も共同で策定

2003年09月25日 23時22分更新

文● 編集部

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ユビキタスコンピューティング環境のオープンな開発プラットフォーム“T-Engine(ティ・エンジン)”の規格推進団体である“T-Engineフォーラム”と、米マイクロソフト社およびマイクロソフト(株)は25日、マイクロソフトが同フォーラムに幹事会員として参加し、T-Engineプラットフォーム上でWindows CE .NETを動作させるための仕様などの策定を共同で進めることで合意したと発表した。

“T-Engineフォーラム”会長の坂村健氏と、米マイクロソフト社バイスプレジデントの古川享氏
“T-Engineフォーラム”会長の坂村健氏(左)と、米マイクロソフト社バイスプレジデントの古川享氏(右)。坂村氏が手にしているのはT-Engineの実装サンプル、古川氏が手にしているのは12月に提供予定の開発ツール

“T-Engine”(ティ・エンジン)は、ユビキタス機器やデジタル家電向けの開発標準プラットフォームで、“T-Kernel(ティ・カーネル)”と呼ばれるリアルタイムカーネルと、ハードウェアアーキテクチャーで構成される。今回の提携は、フォーラムの会員企業が250社を超え、組み込みシステムで世界の6割のシェアを持つ“T-Engine”にWindows CE .NETを対応させれば、ハードウェアリアルタイム処理が必要な用途への対応を強化できるうえ、Windowsの開発ツールやライブラリー、世界規模のサポート体制といった資産を生かせるメリットがあることから行なったもの。

都内ホテルで開催された記者発表会には、“T-Engineフォーラム”の会長を務める東京大学教授の坂村健氏と、米マイクロソフトのアドバンスト・ストラテジー&ポリシー担当のバイスプレジデントである古川享氏が出席した。

実装には“Type 2”を採用
実装には“Type 2”を採用。割り込みはT-Kernelが管理し、T-KernelとWindows CE .NETとの割り込み/スケジューリング/同期通信を“T-Bus”が行なう

20年以上リアルタイムOSの開発に携わってきている坂村氏は、OSのカーネルには、WindowsやLinuxなどの“情報系”OSのカーネルと、リアルタイムカーネルがあり、イベントドリブンによりマイクロ秒単位のスケジューリングが行なわれるリアルタイムカーネルと、ラウンドロビン方式でミリ秒単位のスケジューリングが行なわれる情報系OSカーネルでは用途などが異なると違いを説明した。情報系OSカーネルをハードウェアリアルタイム対応にするには、ゲストOSの管理する資源が分離されている“Type 1型(完全ハイブリッド)”、資源管理は両者で分割するが割り込みやスケジューリングはT-Kernel側が優先して行なう“Type 2型(部分ハイブリッド)”、ゲストOSのシステム全体をT-Kernelのタスクとして実装する“Type 3(Kernel in Kernel型)”の3種類の方式があり、今回、Windows CE .NETの実装ではType 2を採用。将来的にはType 3に移行するという。マイクロソフトは、12月に開催されるイベント“TRONSHOW”で今回の提携の成果を発表する。

実現されるユビキタス環境
実現されるユビキタス環境。デジタルカメラ/ビデオカメラからHDD&DVDプレーヤー、ホームゲートウェイ、デジタルテレビ、IP電話機ほかに実装できるとしている

坂村氏は、T-Kernelの最大の特徴として、シングルソースであることを挙げ、現在は会員企業だけに公開しているが、12月のTRONSHOW以降は一般にも公開することを明らかにした。“GPL”(The GNU General Public License)と異なり、改造した(書き変えた)部分を公開しなくてもよく、バイナリーのみの配布も可能であることから、組み込みシステムに適したライセンスであると説明。特に、T-Engineフォーラムがライセンスを管理するため、知的所有権(IP)がどこにあるのか明確にできることから、最近Linuxで問題になっている「知らないうちに知的所有権を侵害している」といったトラブルが起こらないことを強調した。

Q&Aセッションでは、古川氏が、T-Engineフォーラムへ今年2月に参加を申し入れた経緯について触れ、参加に際して米マイクロソフト会長兼チーフソフトウェアアーキテクトのビル・ゲイツ氏が、“エキサイティング”とコメントを述べたことを紹介。それには2つの意味、“技術的”と“市場性”があり、技術的にもひとつのチャレンジであり、市場のニーズに応じて新しいものを提供することも必要であることと説明した。同社では、ハードウェアリアルタイム処理が必要なアプリケーションに対してはT-Engineで、ラウンドロビンで処理できるアプリケーションには今まで通りの方法で対応するという。具体的な取り組みとして、東京都調布市にある技術センターと、米国内にサポートグループを用意していることを紹介した。

最後に坂村氏は、T-Kernelの信頼性が特に高いことを挙げ、コンピューティング環境は協調分散処理の方向に向かっており、1社ですべてを提供できる時代ではないことを強調したうえで、「協力できるところは協力する。戦うところは戦う」と締めくくった。

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