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シャープ、3D液晶搭載ノートパソコン『PC-RD3D』を発表――当初は英語版OS&キーボードで開発者向けに

2003年09月11日 17時25分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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シャープ(株)は11日、都内で記者説明会を開催し、めがねなしで立体視が可能な同社独自の“3D対応液晶”を搭載したノートパソコン『PC-RD3D』を10月27日に発売すると発表した。当初は、3D表示アプリケーションや携帯電話用コンテンツの開発者向けに販売され、英語版OS(Windows XP Professional SP1a)と英語キーボード搭載での出荷となる(追って日本語化を予定)。価格はオープンプライスで、編集部による予想実売価格は35万円前後。

『PC-RD3D』
『PC-RD3D』

PC-RD3Dは、今年5月に発売された『PC-RD1-D3U』をベースに、液晶ディスプレーを15インチXGA表示の3D対応液晶パネルに変更したA4オールインワンノートパソコン。3D表示のパソコン用アプリケーションや携帯電話用コンテンツの開発者から、開発環境を求める声が寄せられたために設計したという。2D/3D表示は、キーボード奥のボタンで切り替えられるほか、ソフトウェアから表示の切り替えも可能。

本体には、米Dynamic Digital Depth社の3D動画再生ソフト『TriDef Movie Player』、3D画像表示ソフト『TriDef Photo Viewer』、シャープの3D画像作成/表示ソフト『Smart Stereo Photo Editor/Slide Show』、富士通(株)(Fujitsu America)の分子化合物モデリングソフト『Personal CACHe for Windows』など、3D表示を体験できるソフトをプレインストール。加えて、3Dアプリケーション/コンテンツの開発環境も、シャープから有償/無償で提供予定となっている。

『Personal CACHe for Windows』の画面
『Personal CACHe for Windows』の画面

主なスペックは、CPUにPentium 4-2.80GHz(FSB533MHz)、チップセットはSiS 645DXを採用し、メモリーはPC2100対応DDR SDRAM512MB(最大1GB)、グラフィックスアクセラレーターに米エヌビディア(NVIDIA)社のGeForce4 440 Go(メモリー64MB)を搭載する。HDDはUltraATA/100接続の約60GB、光ドライブはDVD MULTIドライブ(DVD-RAM2倍速/DVD-R2倍速/DVD-RW等速/CD-R16倍速/CD-RW8倍速/CD24倍速/DVD8倍速)、および3.5インチFDDを内蔵する。

本体サイズと重量は、幅352×奥行き296×高さ53(最薄部46)mm/約4.6kg。バッテリー駆動時間は約1.3時間。

情報機器事業本部 パソコンモバイル事業部事業部長の中村 眞氏 SST推進センター所長の谷口 実氏
情報機器事業本部 パソコンモバイル事業部事業部長の中村 眞氏SST推進センター所長の谷口 実氏

発表会には、情報機器事業本部 パソコンモバイル事業部事業部長の中村 眞氏とSST推進センター所長の谷口 実氏が出席し、開発の背景や狙いについて説明した。

中村氏は、伊藤忠商事(株)、ソニー(株)などと共同で3D立体表示市場の拡大を目指して今年3月に立ち上げた任意団体“3Dコンソーシアム”に触れながら、「現在は3D表示というとゲーム/エンターテインメントや医療、研究分野など一部でしか使われていないが、今後は市場の拡大や新しい産業の創出が目指せる分野だと考える。主なターゲットユーザーは、3D表示の各種アプリケーションやコンテンツの開発者、特にワールドワイドにコンテンツを発表したいデベロッパー、および業務で3D関連データを扱う企業、3D CGに興味がある中上級者ユーザーになる」と製品の位置づけを語った。PC-RD3Dは日本と米国で同時発売され、欧州でもサポート体制が整い次第、販売していく予定だという。

谷口氏は、自身が3Dコンソーシアムの中核メンバーであることを紹介し、「新市場を開拓するには、ハードだけ、コンテンツだけが先行しても立ち行かない。ハード/ソフト/コンテンツがスクラムを組んで、スパイラルを形成することで産業が立ち上がる」と話す。また、3Dディスプレーの活用例として、

  • 博物館や美術館で展示品がよそに貸し出されている際にもバーチャル体験できる
  • 衛星画像を用いた立体地図で都市開発のシミュレーションを行なう
  • 医療研修や解析シミュレーションを立体表示にすることで、直感的に情報を捉える
  • 教育や科学の現場で、生き物の生態をリアルに再現する

などを紹介。また、eコマース(電子商取引)でも商品を立体的に見せることで、購入希望者に質感や臨場感を与えられるなど、具体的に例を挙げながら立体表示による新たな可能性を示した。

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