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「メモリーカードスロットはコミュニケーションツールとして不要!」――『チェキ』用フィルム活用の携帯電話用デジタルプリンター開発者を直撃!

2003年09月20日 17時51分更新

文● 編集部 小板謙次

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今年末に発売予定の『NP-1』
今年末をめどに発売予定の『NP-1』

富士写真フイルム(株)は年末をめどに『チェキ』のフィルムを使える携帯電話用プリンターをリリースする。同製品はヒット商品『チェキ』とならぶ戦略商品に位置付けられるものだ。『チェキ』の簡単さをそのまま受け継ぎながら、接続する相手となる機器を携帯電話に絞り込んだ。ただ、接続すると言ってもデータのやりとりには赤外線通信を使う。したがって携帯端末側に赤外線通信機能は必須となる。編集部ではすでに7月9日の記事【WIRELESS JAPAN 2003 Vol.2】の記事で紹介済みだが、今回は、『NP-1』発売に先立ち富士写真フイルム本社にてインタビューを実施した。インタビューにはインスタント写真部技術グループ主任技師の青崎耕氏、電子営業事業部開発部技術主席兼営業部新規ビジネス統括主席の羽田典久氏、イメージング営業本部インスタント写真部業務課主査の中台薫氏に出席いただいた。



インスタント写真部技術グループ主任技師の青崎耕氏
インスタント写真部技術グループ主任技師の青崎耕氏
イメージング営業本部インスタント写真部業務課主査の中台薫氏
イメージング営業本部インスタント写真部業務課主査の中台薫氏
電子営業事業部開発部技術主席兼営業部新規ビジネス統括主席の羽田典久氏
電子営業事業部開発部技術主席兼営業部新規ビジネス統括主席の羽田典久氏
[編集部] 『NP-1』の開発はいつからはじまったのでしょうか?
[青崎] インスタントカメラとデジタルプリントという組み合わせは大分前からやってるんですよ。4年前に、デジカメのなかにプリンタを内蔵した『プリンカム』という商品を出したんです。「カメラが夢見たカメラ」というのがキャッチコピーで、デジカメで撮影した画像をそのままプリントアウトできるという、当時としては夢のようなものだったんですね。しかし、定価が9万9800円であった上に大きく、プリントアウトするのに35秒かかった。それで大ヒット製品にはいたらなかったんですけど…。チェキのフィルムはISO800でかなり高感度なんです。非常に弱い光を当てるだけでスーっと露光できる。他のサーマルヘッド方式というのは熱を加えたり、RGBを3回スキャンしなければいけない。それらに比べれば、インスタントというかなり高感度の感材を使うというのは有利でモバイルに適しているのではないかと考え、いかにすれば安く小さくできるかということをずっと考えながら要素開発を続けてました。その結果、マッチした製品が今回の『NP-1』になったわけです。
[編集部] 携帯の画質が良くなったというのは最近の話ですよね。それとの連携はあらかじめ考えられていたんですか?
[青崎] 私はインスタント写真部に所属してますが、羽田の方が実は携帯関係の映像についてのビジネスをずっとやってきたわけです。そういう意味で社内の横串のアライアンスのなかで生まれてきました


『NP-1』が接続する機器は携帯電話。赤外線通信によってのみデータのやりとりを行うため、筐体からはカードスロットも省かれている。
15秒で画像書き込み完了という短さ
[羽田] もともとは、デジカメ用にするとかいう話だったんですよね、コレは。で、カードのスロットもつけて…という話があったんですけど、我々は3年くらい前から携帯のビジネスをずっとやってますので、この時期に出すんだったら携帯電話をターゲットにしたほうがいいと。富士写真フイルムもハニカムCCDを作って三菱電機さんに供給してますけど、すでに携帯電話のカメラがメガピクセルになるのは分かってましたからね。しかし製作がはじまると、やっぱり「デジカメ用の機能もつけたほうがいい」とか、「ケーブルでつなげたほうがいいよね」とかっていう、色んな意見があがってきたんです。でも、ユーザーの立場に立って考えた時に、じゃあ実際にケーブルつないでやりますか?とかメディアを取り出してやりますか?っていうと、そうではない。メディアを出す、出すとしまわなければいけない、出すと今度は選ばなければいけない、いろんな操作が発生しますから…。だったら撮影して送るという機構が分かりやすいのかなと。ただ、その時に長所と短所ってあるんですよね。長所は撮影したその場で送ってプリントアウトできると。逆に問題点としては全部の携帯電話に赤外線がついているわけではないということがある。どっちをとるかということに関して喧喧諤諤の議論があったんですね。やっぱり商品としては分かりやすくて今までなかったものというのが一番のポイントだったんじゃないでしょうか?
[編集部] 今回の製品は『チェキ』と比べられないでしょうか?
[羽田] 実際に『チェキ』と比べられるんですよ。比べられる時にポジティブに比べられるかネガティブに比べられるかというと、結構ポジティブに比べられるんですね。市場調査をしているとチェキのいい面をむしろ引き継いでいる。チェキと同じだよねという声が多い
[青崎] 自分の携帯に仕掛けをしていないのに、簡単に『NP-1』と繋がってしまう点ですね。「あなたの携帯だってできるよ」って話して、ぱっぱとやってあげるとすごく驚かれる。今の人たちって、携帯電話のインターフェースが一番馴れてるんですよね。携帯電話というのがお客さんにとって一番フレンドリーなGUIだとすれば、そいつで操作してもらって、プリントするのは一番いいですよね


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