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米Click2learn会長兼CEOケビン・オークス氏に聞く、“eラーニング”米国の現状と日米の違い

2003年08月19日 18時04分更新

文● ライター 遠竹智寿子

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[遠竹] オークス氏は、いつぐらいからeラーニング分野に関わり始めたのですか?
ケビン・オークス氏米Click2learn社のケビン・オークス会長兼CEO
[オークス氏] 以前はデザインコンテンツを中心としたサービス企業に在籍していまして、C2LのCEOには1998年に就任しました。業界が活気付く直前にCEOになったわけです。この業界には10年ほどいますが、10年前のラーニングコンテンツはレーザーディスクが中心で、その後、CD-ROM、ウェブへと移行してきました。
[遠竹] その10年間において、企業のeラーニングはどのような変化をとげましたか?
[オークス氏] 一番の変化は、企業におけるビジネス・プロシージャーに見られると思います。例えば、弊社の顧客であるマイクロソフトやボーダフォンは、社員のスキル/能力の管理をすることで、社内教育の成果が向上し、企業全体のパフォーマンスが高まることを深く理解しています。今やマイクロソフトでは、新製品の展開を行なう前に、eラーニングを使って社員の製品知識を高めることが当たり前になっています。

eラーニングは
どのような組織に利用されているのか?

[遠竹] 企業の業種/業態によって、eラーニングの効果を受けやすい業界はありますか?
[オークス氏] 金融業界やハイテク産業など、ナレッジワーカーのいる企業ですね。製造業などには、そのニーズに応じてゆっくりとeラーニングが浸透していくと思います。
[遠竹] 米国内での教育分野におけるeラーニングについての現状と、C2L製品の浸透率などを聞かせてください。
[オークス氏] 米国内では、あらゆる規模の教育機関において何らかのウェブサービスが提供されています。特にフェニックス大学は、世界中でも類をみない遠距離学習の成功例を持っています。
我々の顧客ターゲットは企業であり、教育機関への営業はそれほど積極的に働きかけていませんが、効果を見て先方から我々にコンタクトをとってくるケースも少なくありません。すでに100大学で、弊社のeラーニングプラットフォームが使用されています。eラーニングの管理システムは教育業界でも企業と同じように必要とされているわけです。
[遠竹] 政府関係はどうですか?
[オークス氏] 政府は、我々の大きな顧客の一つです。eラーニングは、パートタイマー向けに短期間で効果的に人材教育を行なうため、あるいは米軍や海軍でコンセプトやシナリオを学習させるためなど各方面で利用されています。
軍の中には、eラーニングの施設があり、そこで生徒は個々にクラスを受講できます。また、eラーニングを使用して海外や基地から大学などへの授業参加が可能なため、軍活動と並行して大学卒業等の資格を得ることもできます。軍にとっては、こうした教育キャリアを与えることが入隊者をリクルートする際の売り文句の一つになっています。

C2Lの戦略――
今後3年間が勝負

[遠竹] C2Lは世界各地47ヵ国に販売所や事業所を展開していますが、最近特に動きが感じられるのはどこですか?
[オークス氏] ヨーロッパ地域、南アフリカ、オーストラリア。アジアではシンガポール、香港、韓国が有望です。
[遠竹] 今後のC2Lの目標があればお聞かせください。
[オークス氏] まず、お客様に選ばれるeラーニング・プラットフォームのリーディング企業であり続けたい。シーベルがCRM業界を作り出したように、我々もまたこの分野をしっかりしたものにしたいと考えています。今後3年間が、勝負時だと思います。

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