カノープス(株)は4日、東京・日本橋の東京ショールームで記者説明会を開催し、入門者向けのリアルタイムビデオ編集システム『ACEDV(エースディブイ)』を20日に発売すると発表した。デジタル/アナログビデオ入出力インターフェースカードとビデオ編集ソフト『Let's EDIT RT』を組み合わせたもので、価格は5万9800円。
ソフトウェアエンコード/デコードで 低価格を実現
『ACEDV』に含まれるインターフェースカード | インターフェースカードの入出力端子 |
ACEDVは、DV入出力端子(4ピン)、アナログビデオ入出力端子(S-VIDEO×2、S→コンポジット変換ケーブル付属)、電源供給可能なIEEE1394端子(6ピン)、アナログオーディオ入出力端子(ステレオミニジャック)を備えるPCIスロット用インターフェースカードと、リアルタイムプレビューが可能なWindows 2000/XP用ビデオ編集ソフトLet's EDIT RTを組み合わせたもので、既存のパソコンを使って低コストにビデオ編集システムを構築したい入門者(ライトユーザー)向けのビデオ編集パッケージ。インターフェースカードは、カード長175mmのハーフサイズで、IEEE1394端子に電源供給するための内部電源供給端子(12V/1Aの4ピン端子)を持つ。アナログビデオ信号方式はNTST、デジタルビデオはDV/DVCAMに対応する。ビデオ入出力は、デジタルとアナログで排他使用。
Let's EDIT RTと、同社の“DVRex/DVStormシリーズ”の付属編集ソフトを比較すると、DVRex/DVStormのアドバンテージとして
- 各種プラグインへの対応(『Adobe Premiere』用のトランジションエフェクトやビデオフィルターなど)
- DV&アナログの同時出力(ACEDVはいずれか一方)
- MPEG-2&DVのハードウェアエンコード(付属ハードウェアの違いによる)
- プレビューウィンドウ表示の画質
- 非圧縮アナログビデオ出力のサポート
などが挙げられるが、「主要な編集機能はLet's EDIT RTでもサポートされ、インターフェースはより初心者向けに設計している」(開発者談)ため、DVRexユーザー向けにソフトウェアのみでも販売される。
- Let's EDIT RT for DVStorm
- DVStormユーザー向け
- 1万9800円
- Let's EDIT RT for DVRex-RT
- DVRex-RTユーザー向け
- 3万9800円
Pentium M-1.40GHz搭載のThinkPad X31をベースにした『Let's Station EX』 | モバイルCeleron-1.26GHz搭載のLaVie Nをベースにした『Let's Station ST』 |
また、ノートパソコンでビデオ編集をしたいというユーザーの意見に応えて、日本アイ・ビー・エム(株)の『ThinkPad X31』と日本電気(株)の『LaVie N』をベースに、Let's EDIT RTをプレインストールし、ビデオ編集システムとしてカスタマイズした『Let's Station EX』『同 ST』を、カノープスの直販サイト“Canopups Direct Shop”で8月末に発売する。価格はEXが39万8000円、STが19万8000円。価格の違いは、ベースとなるパソコン本体のスペックによるほか、EXのみリアルタイムDV出力が可能となっている。
駿台予備校が 講義のビデオ配信にMEDIAEDGEを採用
発表会に出席したカノープスの代表取締役社長の藤原睦朗氏(ふじわらむつろう)氏と、駿河台学園の駿台予備学校教務部部長の杉田一義氏(左) |
同時に、大手予備校の学校法人 駿河台学園(駿台)とカノープスは、多地点映像配信システム『MEDIAEDGE(メディアエッジ)』を利用して、現在衛星放送経由で高等学校に配信している衛星放送講座“駿台サテネット21”をデジタル動画で配信する新システム『MEDIAEDGE for school』を開発、8月中に配信サービスを開始し、2003年度末までにシステムの提供を開始すると発表した。
駿台では、10年前から衛星放送経由で全国各地への講義の映像配信を行なっているが、従来はこれをビデオで録画し、メディア(ビデオテープ)の運用・管理に人手と時間がかかっていた。MEDIAEDGE for Schoolの導入により、配信される映像の自動録画/メニューへの登録/視聴者(会員)が希望する時間に閲覧できる“オンデマンド配信”が可能になり、運用管理のコストは低く抑えられる(設置後は基本的に無人運用可能)と説明する。
『MEDIAEDGE for School』本体。3Uラックサイズの本体やスチールラックもカノープスオリジナル |
MEDIAEDGE for Schoolは、3Uラックサイズの受信/配信サーバーMEDIAEDGE本体にHDD 1TB(500GBのミラーリング)、衛星放送受信ボードを内蔵し、無停電電源装置、モニター用15インチCRTディスプレーなどで構成される。映像のキャプチャー方式はMPEG-2形式(720×240ドット/2Mbps)で、HDDの空き容量が少なくなった場合には古い映像から自動的に削除する機能を持つ(特定の映像を保存する設定も可能)。
MEDIAEDGE for Schoolの導入価格はオープンプライスで、参考価格として、基本システムにTVで視聴するためのSTB(セットトップボックス)2台とLAN工事費を合計すると130万~150万円程度になるという。