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「次期モデルには『Red Hat Enterprise Linux WS』を採用する」──日本HPのLinuxワークステーション担当者インタビュー

2003年08月07日 20時43分更新

文● 編集部

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Linuxワークステーションのターゲット市場

[編集部] ワークステーション市場で、Linuxはどの程度利用されているのでしょうか。
[松本氏] Linuxワークステーションについては、サーバ市場と異なり、調査会社のような機関からの調査結果は公開されておりません。そのためどの程度利用されているかは表現しにくいです。WindowsもUNIXも含めたワークステーション販売実績に関しては、売り上げベースでHPがずっと伝統的に1位をとっています。分野的には、たとえばUNIX版だけを見るとサン・マイクロシステムズ(株)が1位だとか、Windowsだけで見るとデルコンピュータ(株)が台数的には上であったりしますが、両方に加えてLinuxワークステーションもあり、すべてを含めると今現在HPが売り上げ1位となっています。
販売台数的にはWindowsが圧倒的です。確実な数字はありませんが、比率的にはUNIXを1とすると、Windowsが7とか8、場合によっては10くらいになるかもしれません。また、Linux版を1とすると100くらいはWindows版です。
単価そのものは、Windows版もLinux版もほとんど変わりありません。UNIXワークステーションと比べると非常に安価です。普通のデスクトップパソコンは、大体10万円台前半から、若干ハイエンドで20万~30万くらいが中心だと思います。一方ワークステーションのWindows版になりますと、大体10万円台後半~50万円くらい、ビジネスパソコンの1.5~2倍の価格帯が中心になり、ハイエンドになると100万円近くになります。UNIXのワークステーションはほぼその2倍~3倍の価格帯、つまり100万~300万くらいが中心の価格帯になっています。
[編集部] 御社ではUNIXワークステーション、Windowsワークステーションも販売されていますが、Linuxワークステーションは主にどのような分野で使用されているのでしょうか。
[松本氏] 1つの例として、半導体設計やLSIなどの電子設計を行うEDAマーケットはもっともLinux化が進んでいます。数百あるほとんどのアプリケーションのLinux対応版があります。
特徴としては、この分野ではシミュレーションの計算も非常に大きく、大規模なシミュレーションになると1週間解析を回して、結果を商品作りに使うといったことが行なわれます。ですから、ちょっとのミスが非常に致命的になることがあります。ここでは従来はSolarisやHP-UXなどのがほとんどだったわけですが、Linuxに変わっていく理由としては、単純にいうと2つに絞られて、1つは圧倒的にUNIXよりも速いこと、それから従来のUNIXマシンより圧倒的に安いことです。
ほかにも、米エネルギー省パシフィック・ノースウェスト国立研究所では、化学技術計算システムでItaniumを搭載したLinuxクラスタを導入している事例があります。1400CPUで、700台程度のマシンで構成されており、8.3Tflopsの計算能力がありますが、このシステムはスーパーコンピュータの世界ランキング“TOP500”でも8位にランクされています。
デジタルコンテンツ系では、アメリカの大手映画会社さんを中心にLinuxが進んでいます。もともとUNIXマシンを使っている環境が多かったので、今までの環境をそのまま安価に、そして自由に動かせるということで、LinuxがHPとの組み合わせで使われています。DreamWorksさんとWalt Disneyさんが有名ですね。日本ではこの分野ではあまりLinuxは利用されていません。日本ではほとんどWindowsアプリケーションを利用しているからです。
同じように、Windows中心の世界が、3次元CAD系の世界ですね。この分野は最大手のベンダーである米Parametric Technologyさんが、米国では製品版として、日本では試用版でLinux版のCADツール『Pro/ENGINEER Wildfire』を発表しています。イベント会場などでは、使ってみたいというお客様もいらっしゃいました。

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