マイクロソフト(株)は24日、ゲーム専用機『Xbox』をテーマとしたプライベートカンファレンス“Xbox カンファレンス 2003 Summer”を開催した。“Xbox Live”の新機能、“Xbox Live Now”については、こちらの記事でお伝えしたが、ここでは、カンファレンスで説明された『Xbox』の日本市場での状況と2003年後半の事業計画、この日紹介された新作ゲームについてお伝えする。
![]() |
---|
米マイクロソフト社・ホームエンターテイメントディビジョンのコーポレートバイスプレジデント、ピーター・ムーア(Peter Moore)氏 |
カンファレンスでは、米マイクロソフト社・ホームエンターテイメントディビジョンのコーポレートバイスプレジデントであるピーター・ムーア(Peter Moore)氏がプレゼンテーションを行ない、まずは世界および日本市場における『Xbox』の販売状況について説明した。これによると、ワールドワイドでの2003年6月末までの『Xbox』出荷台数は940万台。内訳は、北米市場が620万台、欧州が220万台、日本を含むアジア・パシフィックが100万台で、日本での出荷台数は約45万台強だという。また、2004年6月末までの出荷台数目標はワールドワイドで1450万~1600万台を目指すとしている。また、オンラインサービス“Xbox Live”のユーザーは現在全世界で50万人以上。来年6月までには100以上の“Xbox Live”対応タイトルがリリースされる予定だという。
ソフトウェアは現在までに2500タイトルがリリースされており、2003年末までにはさらに150タイトル以上がリリースされる予定だという。日本市場における現状は、「(北米・欧州に比べると)なかなか難しいという面もある」と苦戦を認めつつも、“Xbox Live”を中心とした製品展開で巻き返しを目指していくという。日本でのゲームタイトルについては、マイクロソフトのソフトウェアブランド“マイクロソフトゲームスタジオ”から16タイトルがリリースされ、『Xbox』対応ソフトは合計81タイトルとなっているという。
ムーア氏が強調したのは、ソフトウェアアタッチレート(ハード1台あたりの所有ソフトウェア本数)で、ワールドワイドでは約5、北米では約5.4となっているという。ムーア氏によると、「デビュー1年のハードとしては異例の高さ」とのことで、マイクロソフトとしては今後もソフトウェアアタッチレートを高める努力を続けたいとしている。
“Xbox Live”によるコミュニティー形成を重要視
2003年の日本市場における戦略としては、既存ユーザー向けの施策、新規ユーザー獲得のための施策、そしてパートナー企業向けの施策、という3つの柱を立てるとしている。
既存ユーザー向けの施策としては、
- 顧客満足度の向上
- 『Xbox』の熱狂的支持者の育成
- 社交的なコミュニティーの形成
という施策を中心に据えている。
![]() |
---|
日本未発売の海外タイトルの販売に関するアンケート結果 |
(2)と(3)は密接な関係を持った施策で、『Xbox』の魅力を伝える“エバンジェリスト”的立場となるようなコアユーザーの育成することにより、新規ユーザーに『Xbox』を浸透させることも目的とするという。さらに、これらのユーザーの育成と交流に向けては、コミュニティーの形成が不可欠としており、マイクロソフト主催の“Xbox Live”ユーザー向けのオフラインイベントや、オンラインや店頭開催の対戦ゲームイベント“Xbox Championship”、マイクロソフトとユーザーの双方向のコミュニケーション(ユーザーの声を製品に反映する目的を含む)の設立を計画しているという。
新規ユーザー獲得のための施策としては、
- “Xbox Live”により注力し、対応タイトルやサービスの充実を図る
- 商戦期に合わせたキャンペーンの実施(キャッシュバックキャンペーンなど)
- バンドルモデルの創設
- 優良タイトル“AAAタイトル”の紹介
といった取り組みを行なうとしている。ここでも一番に登場するのが“Xbox Live”で、マイクロソフトが“Xbox Live”をコアとして、“ゲーム機+インターネット”による展開を最重要視していることがよくわかる。
![]() |
![]() | |
---|---|---|
“Xbox Live”の新機能“Xbox Live Now”の操作コンソール(“ダッシュボード”) | 従来の“Xbox Live”を利用したオンライン対戦の始め方と“Xbox Live Now”を使った場合の始め方の手順の違いを説明するスライド |
“Xbox Live”の新価格、新機能についてはこちらの記事でも紹介しているが、これらの最終的な目標としてポイントとなってくるのは既存ユーザー向けの施策の項でも述べられた“コミュニティーの形成”だ。前述したように、既存ユーザーの中に“エバンジェリスト的立場”のユーザーを育成していきたいとしているマイクロソフトは、このエバンジェリスト的ユーザーなどをコアにして、“Xbox Live”のコミュニティーを形成し、そのコミュニティーを広げていくことで『Xbox』のユーザー拡大を進めようと考えている。また、新たに追加される“Xbox Live Now”もこのようなコミュニティー形成に役立つ機能で、従来の遊ぶゲームにアクセスしているユーザーから遊びたい人を探すという使い方に加えて、まずはロビーにいる友達と相談などをしてからゲームを始めるという使い方もできるようにすることで、より“Xbox Live”利用者のコミュニティーを作りやすくしようという狙いが見える。
海外ソフトの国内販売拡大を望む声が多いというアンケートを先に紹介したように、マイクロソフトは“Xbox Live”によるユーザーの声の吸い上げも積極的に進めていくとしている。ピーター・ムーア氏は、ユーザーのフィードバックを以降の製品に活かすのはマイクロソフトがWindowsなどでも行なっている方法だと述べており、今回の“Xbox Live Now”の追加は、このようなユーザーからの反響を反映したものだという。
![]() |
---|
“エコシステム”の概念図 |
パートナー向けの施策としては、デベロッパー、パブリッシャー、流通チャネル、ブロードバンドパートナーの4者を一連の環とした“エコシステム”の改善を目標とし、開発や販売の支援、日本国内メーカーの海外展開の援助(マイクロソフト自身がパブリッシャーをつとめることも提案している)、日本国内ISPとの提携などを計画しているという。
プレゼンテーションの最後、ピーター・ムーア氏は現在の日本での事業について「決して成功しているとはいえない」としつつも、「過ちから学び、ユーザーの声から学ぶことで、マイクロソフトは現在の立場を築いてきた」と述べ、これらのことを現世代の『Xbox』の事業展開、そして次世代のXboxでの展開につなげていきたいとしている。質疑応答の中で次世代Xboxの投入時期について問われたピーター・ムーア氏は、「時期に関しては今はまだ何も言えないが、次の世代の製品では競合他社に絶対に負けない、ナンバーワンを獲る」と強く述べた。
![]() |
---|
プレゼンテーション終了後の質疑応答に参加した3名。右から米マイクロソフト社・エンターテイメントディビジョンの日本担当ジェネラルマネージャーであるパーミンダー・シン(Parminda Singh)氏、ピーター・ムーア氏、マイクロソフト(株)執行役員の泉水敬氏 |
