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エッジ、『LindowsOS 4.0 日本語版』発表!秋には“クライアントLinux PCコンソーシアム”設立

2003年07月23日 18時31分更新

文● 月刊アスキー編集部 吉川大郎

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発表会全体を通して、対Microsoft、対Windowsという雰囲気が色濃く感じられた。Windowsとの互換性を強調した製品説明や、Michael Robertson氏の談話などにそれが現われている。つまり、「Windowsの安い代替手段がLindowsOS」というのが全体を通しての主張だ。Microsoftだけではなく、大手ソフトウェアメーカーによるライセンス監視が厳しさを増す中、「大手を振ってソフトウェアを使っていただける」(堀江氏)のがLindowsOSだ、というメッセージもある(誤解のないように言っておくと、堀江氏はなにも、違法コピーがはびこっていると明言したわけではない。「そういうことがあると、人づてに聞いたことがある」という前置きを付けて語ったひと言だ)。確かに、たとえば自宅に3台のPCがあって、すべてのマシンにオフィススイートまでインストールするというのはなかなか贅沢な行為ではあるわけで、LindowsOSならば、1万4800円でそれが可能になる。

対Windowsとしてはもうひとつ、初期導入コストのメリットも挙げた。エッジは今回の発表会で、強烈な比較をしていた。500台のクライアントPCを導入する際、Windowsマシンをクライアントにした場合、“仮に”Windowsクライアントが13万円で、LindowsOS搭載マシンが2万円だった場合、

Windowsマシン=13万円×500台=6500万円
LindowsOSマシン=2万円×500台=1000万円

というわけで、初期導入コストの差額が5500万円になるという。Windowsマシンの13万円という根拠は、仕事に使えるスペックのハードウェア+ライセンス料金で、LindowsOSマシンの2万円の根拠は、リサイクルPC+ライセンス料金ということだ。「いくらなんでもそれは……」とも思えるが、値段だけの比較であれば、こうした状況が起こる可能性は否定できない。もっとも、初期導入コストに関するWindowsとLinuxの比較は、サーバ分野においてさんざん言われてきたセールストークであり、マイクロソフトはこうした主張に対し、ランニングコストではWindowsのほうが下回るから、長い目で見るとWindowsのほうが得だとしている。

発売日は8月29日。OS単体のパック『LindowsOS 4.0 日本語版』が6800円、OSとCNRの1年間ライセンスがセットになった『LindowsOS 4.0 日本語版 Plus』が1万4800円、CNR単体の1年間ライセンスが9800円となっている。また、OEMに関しては、エムシージェイほか5社、2003年中に20社程度のパートナーへのOEMを考えているという。

■まとめ

「エッジがLindowsOSを日本で売る」というインパクトのあるニュースが日本を駆けめぐったのが5月初旬。それから2カ月半を経て正式な発表会が行なわれたわけだが、製品そのものも、販売戦略も固まり、準備は着々と進んでいるようだ(発表会場では、プレス向けにベータプログラムの配布も行なわれたので、今後は試用レポートなどもメディアをにぎわせることだろう)。久々に登場するディストリビューションは、ハードウェアの設定やソフトウェア(パッケージ)管理を簡単に(というよりもユーザーから隠蔽)するなど、従来のディストリビューションと同一線上には置けない存在であり、むしろシャープのザウルスに搭載されているLinuxに近い、ハードウェアをブラックボックス(言い方が悪いのは分かるし、もちろんLinuxだからブラックボックスにはならないのだが)化して初心者への利便性を上げようと言うアプローチを採るものだ。また、前述したとおりエッジの鼻息も荒い。ひょっとすると本当に、LindowsOSは急速に普及するかもしれない。もっとも、対応ハードウェアの問題や“簡単なインストール”に失敗するユーザーにどのように対処していくかなど、ハードルも多い。サポートの泥沼をエッジがどのようにさばいていくのか? OSの機能もさることながら、エッジの企業戦略にも注目したい。

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