(株)ニコンは22日、都内で記者会見を開催し、スポーツ写真や報道分野などのプロカメラマン向けに秒8コマで最大40枚の高速連写機能(JPEG)を搭載し、レリーズタイムを約37msに短縮したデジタル一眼レフカメラ『D2H』を10月下旬に発売すると発表した。ボディー本体とリチウムイオンバッテリー、充電器、USBケーブルなどをセットにしたキットの価格は49万円(レンズは別売)。
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デジタル一眼レフカメラ『D2H』。装着しているレンズはオプション | D2Hの背面。写真はオプションのワイヤレストランスミッターを装着したところ |
D2Hは、高速なデータ読み出し/記録を実現するために、ニコン独自で開発した撮像素子“LBCAST(エルビーキャスト)”を搭載し、レンズマウントに“ニコンFマウント”を採用するデジタル一眼レフカメラ。LBCASTは、Lateral Buried Charge Accumulator and Sensing Transistor array(横型埋め込み式電荷蓄積部を有する増幅型撮像センサー)の略。構造としては、CMOSセンサーと同様に画素ひとつずつに読み出し用のセルアンプ(増幅器)を持つ“X-Yアドレス型イメージセンサー”だが、セルアンプに構造が比較的単純な“JFET(Junction Field Effect Transistor:接合型電界効果トランジスタ)”を採用し、2チャンネルの同時読み出しにより、省電力化と高速読み出しを実現したという。
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ニコン独自開発の撮像素子“LBCAST(エルビーキャスト)” | LBCASTの説明パネル。セルアンプの構造が省電力化と高速化の鍵だという | LBCASTの2チャンネル同時読み出しを示す図 |
D2Hに搭載されたLBCASTは、約1.1インチサイズで有効410万画素。記録画素数は最大2464×1632ドット。記録フォーマットはRAW/JPEG/TIFFをサポートし、RAWとJPEGの同時記録が可能。記録ファイルはExif 2.2/DCF(Design rule for Camera File system)/DPOF(Digital Print Order Format)に対応する。
記録メディアはCF TypeII(マイクロドライブ対応)。背面には2.5インチ/21万画素の液晶ディスプレーを搭載。外部インターフェースとしてUSB 2.0ポートを装備し、オプションの『ワイヤレストランスミッター WT-1』(10月下旬発売予定、7万円)を接続することで、IEEE 802.11b準拠の無線LAN経由のデータ転送が可能。
電源はリチウムイオンバッテリー『EN-EL4』もしくは別売の専用ACアダプター『EH-6』を使用。バッテリーでの撮影可能枚数は未公表。本体サイズと重量は、幅157.5×奥行き85.5×高さ149.5mm/1070g(バッテリー、記録メディアを除く本体のみ)。
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『AF-S DX ズームニッコール ED17~55mmF2.8G(IF)』(22万円) | 『AF-S VR ズームニッコール ED200~400mmF4G(IF)』(98万円) | 『AF DX フィッシュアイニッコール ED10.5mmF2.8G(IF)』(9万8000円) |
同時に、デジタルカメラ向けに設計したというAFレンズ3種類も発表された。スペックと価格は以下の通りで、いずれも発売時期は未定。
- 『AF-S DX ズームニッコール ED17~55mmF2.8G(IF)』(22万円)
- 35mmフィルムカメラ換算時:約25.5~82.5mm相当
- 超音波モーター搭載
- 最大径 約85.5×長さ110.5mm/重量 約755g
- 『AF-S VR ズームニッコール ED200~400mmF4G(IF)』(98万円)
- 35mmフィルムカメラ換算時:約300~600mm相当
- 手ぶれ補正機能/フォーカスプリセット機能搭載
- 最大径 約124×長さ365mm/重量 約3275g
- 『AF DX フィッシュアイニッコール ED10.5mmF2.8G(IF)』(9万8000円)
- 35mmフィルムカメラ換算時:約16mm相当
- 最大径 約63×長さ62.5mm/重量 約305g
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ニコンの新しいブランドシンボルとブランドステートメント。シンボルマークには、光学機器メーカーらしく白い光の波が記されている | 常務取締役兼上席執行役員 映像カンパニープレジデントの木村眞琴氏 | 取締役兼執行役員 映像カンパニー副プレジデント兼開発統括部長の富野直樹氏 |
記者会見には、常務取締役兼上席執行役員 映像カンパニープレジデントの木村眞琴(きむらまこと)氏、取締役兼執行役員 映像カンパニー副プレジデント兼開発統括部長の富野直樹氏らが出席。木村氏は、自社のニコンの新しいスローガンである“At the heart of the image(映像の新しい価値を創り続け、人々が豊かな感性を育むことに貢献する存在でありたい)”を紹介。それを受けて富野氏は、スローガンを具現化する製品として、D2Hは撮像素子の段階から開発チームを結成して社を挙げて取り組んだこと、デジタルカメラに求められる3要素“きれい/速い/使いやすい”の中でも、特にD2Hではプロユーザーの要望が高い“速い”を追求した開発/設計したことなどを強くアピールした。
