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“SAPPHIRE '03”、独SAPのCEOが基調講演――IT予算削減は続くが、イノベーションへの投資は必要

2003年07月04日 00時32分更新

文● 編集部 栗山博行

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SAPジャパン(株)は3日、千代田区丸の内の東京国際フォーラムにおいてプライベートショー“SAPPHIRE '03”を開催した。基調講演には、独SAP社の会長兼CEOのヘニング・カガーマン(Henning Kagermann)氏が登壇し、同社の今後の戦略を説明した。SAPPHIRE '03は4日まで開催される。

責任ある体制で、持続的な開発体制を

藤井清孝氏
SAPジャパン代表取締役社長 藤井清孝氏

基調講演では、始めにSAPジャパン代表取締役社長の藤井清孝氏が登場し、同社がターゲットとする企業アプリケーション市場の現状について言及した。それによると「合併、買収など最近の業界再編には、単一ソリューションから統合ソリューションへという流れの中で、足りない製品を相互補完する。開発費用の増大に対応するため、スケールメリットを追求する。世界のERP市場の成長鈍化にともなう顧客基盤の奪い合い、といった背景がある。しかしこれらを中期的に見ると、製品開発やサポートの点で顧客への視点が欠落していると言える。当社には、企業アプリケーション市場のリーダーとして責任ある体制を持ち、永続的な進化をとげられる、顧客の真のパートナーたりうる企業体質がある」とした。

シャイ・アガシ氏
独SAP社エグゼクティブ・ボード・メンバーのシャイ・アガシ氏

独SAPのテクノロジー戦略の立案、遂行に関する責任者で、エグゼクティブ・ボード・メンバーのシャイ・アガシ(Shai Agassi)氏も講演の中で「当社は、今後10年間存在し続けることを皆様にお約束します」と述べており、同社の差別化戦略において、アプリケーション開発の継続性の保証が、大きなアピールポイントとなっていることがうかがえた。

成長にはイノベーションが必要――しかし、企業のIT予算の削減は続く

ヘニング・カガーマン氏
独SAP社会長兼CEOのヘニング・カガーマン氏

ヘニング・カガーマン氏は、「私が会った政治家や経営者は、みな成長が必要だと言っている。しかし成長にはイノベーションが必要だが、今後も企業のIT予算の削減は続くだろう。これからは成長性と関係のないシステムの統合費用や、日常のオペレーションのコストを削減し、イノベーションの予算を増やす必要がある」と述べ、システムの統合が自己目的化し継続的な課題となっている現状を改善するため、統合化されたアーキテクチャーの必要性を強調した。

現在と3年後の企業のITコスト構造の推移
同社が変革を目指す、現在と3年後の企業のITコスト構造の推移

コスト削減の具体策としては、ハードウェアメーカーと協力して、システムの空きリソースを有効活用する“アダプティブ・コンピューティング・インフラストラクチャ”を実現することで新規システムの購入を抑制するほか、企業アプリケーションをパッケージとして提供することによる導入、統合費用の削減などにより、合計で20~30%のTCO(Total Cost of Ownership)削減効果があるとした。

削減可能なTCOの内訳
削減可能なTCOの内訳

同社では、「予算が削減されても、ITサービスのレベルを向上させることで、企業のCEO、CIOの課題を解決したい」という。

CEOの課題 CIOの課題
同社が認識している、企業CEO、CIOの希望と課題

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