このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

【絵で分かるキーワード】Palladium(ぱれいでぃあむ)

【絵で分かるキーワード】Palladium(ぱれいでぃあむ)

2003年06月29日 00時00分更新

文● 後藤 弘茂

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ベースになるのは公開鍵暗号

Palladiumの仕組み
図2 Palladiumの仕組み。

 Palladiumパソコンが普及すると、パソコンやインターネットの使われ方も変わる。

 オンラインショッピングでは、クレジットカード番号や住所などの重要データが、Palladiumによって暗号化されるため、安全性が高まる。安全性が高まれば、トランザクションの手続きを自動化するプロトコルも抵抗なく普及するようになる。そうすれば、オンラインショッピングはもっと手軽で使いやすいものになるだろう。

 個人間のメールも変わる。重要な内容を暗号化してメールするといった使い方だけでなく、メールに様々な設定ができるようになる。例えば、受信側が一度しか開けないメールや、特定の日にならないと開けないメールなどが可能になる。また、Palladiumが浸透すれば、電話のナンバーディスプレーと同様に、認証された署名のないスパムを自動的にはじけるようになる。

 企業の社内ネットワークに、社員が社外からアクセスする場合のセキュリティ対策も高まる。企業側は、アクセスしているのが、本物の社員のパソコンかどうかを特定できる。また、逆に社員は、自分のパソコン内の個人データに、会社側がアクセスできないようにブロックできる。

 コンテンツ保護も変わる。Palladiumで利用者のパソコンを特定することで、配信側は今より細かな設定でコンテンツ保護ができる。例えば、映画なら、購入後1年間は2次コピーできないが、その後はできるとか、追加料金を払えば2次コピーができるとか、様々なサービスが可能になる。

 現在コンテンツ配信にとって、障害になっているのは、著作権保護がパソコンの上では難しいことだ。しかし、Palladiumによって、確実な著作権保護ができるようになると、音楽、映画、ソフト、ゲームなどの有料配信が広まる可能性がある。

プライバシー侵害の懸念も指摘される

 Palladiumは良いことばかりではないかもしれない。セキュリティとプライバシーが相反する場合が多いからだ。実際、Palladiumがプライバシーや自由を脅かすという批判が専門家から相次いでなされている。

 例えば、Palladiumパソコンでは、海賊版ソフトや違法ポルノ画像は削除または利用できないようにされてしまうかもしれない。Wordで作成した文書はMicrosoft製品だけがアクセスできるキーで暗号化され、他社のワープロ製品では文書が読めなくなるかもしれない。こういった批判が出ている。

 Microsoftは批判に反論しているが、問題は、一般の人々が、Palladiumによるセキュリティ強化によって、プライバシーや個人の自由を侵害されることがありうると不安を抱くという、そのこと自体が障害になる可能性があることだ。そのため、MicrosoftはPalladiumを普及させるために、今後、Palladiumの必要性を訴え、不安を取り除く啓蒙活動を展開する必要があるだろう。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン