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アップル、WWDC 2003基調講演の上映会を開催――Power Mac G5、Mac OS 10.3“Panther”を披露

2003年06月24日 00時00分更新

文● 編集部 内田泰仁

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アップルコンピュータ(株)は24日、米サンフランシスコで開催されているWorldwide Developers Conference 2003で行なわれた米アップルコンピュータ社のCEO、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏の基調講演の模様を収録した映像を東京国際フォーラムで上映した。この中でジョブズ氏は、次期Mac OSである『Mac OS Xバージョン10.3』(開発コード名“Panther”)、開発環境『Xcode』、そしてこの日リリースとなった新デスクトップパソコン『Power Mac G5』の紹介を行なった。

米アップルコンピュータ社CEO、スティーブ・ジョブズ氏

『Mac OS Xバージョン10.3』の新しいフィーチャーは、

“Finder”の機能強化
ユーザーがよく使うHDDやフォルダー、リムーバブルディスク、iDisk、サーバーを1個所にまとめる機能や、ウィンドウに検索窓“インスタントサーチ”を追加し、ファイルの高速検索を実現
新デスクトップ“Exposé(エクスポゼ)”の採用
開いているウィンドウ全てをデスクトップ上にタイル表示し、その中から使いたいウィンドウを選択して最前面に表示したり、デスクトップ上のアイコンにアクセスするために全てのウィンドウを一時的に非表示にしたりできる。
『iChat AV』を標準搭載
インスタントメッセンジャー『iChat』に、ボイスチャットとムービーチャットを追加した新バージョン。Mac OS Xバージョン10.2ユーザー向けのβ版を本日より年末まで無償で提供、製品版は29.95ドル(約3500円)で提供予定(日本での価格は未定)。
QuickTime用新CODEC“Pixlet”装備
960×540ドット/24fpsのHD/2相当の動画CODECをサポート。
高速なPDFビューアー“Preview”を搭載
メールクライアントの強化、ファクス機能を標準搭載
ホームディレクトリのファイルを暗号化技術で保護する“FileVault”を搭載
ログアウトすることなくユーザーアカウントを切り替える“Fast User Switching”を装備

など、100以上に上るという。

“Expose”のデモ。開いている複数のウィンドウを瞬時に縮小・整列したタイル表示することが可能『iChat AV』のデモ。ムービーチャットのカメラには、この日発表された『iChat AV』対応の小型ムービーカメラ『iSight』を使用していた

また、Worldwide Developers Conference 2003の会場では、『Mac OS Xバージョン10.3』のデベロッパー向けのβ版が配布された。製品版の発売は年末を目指してるとのことで、価格は129ドル(約1万5000円)の予定だという。

Mac OS Xの新アプリケーション開発環境『Xcode』は、UNIXベースの開発環境に、使いやすく美しいというユーザーインターフェースを搭載した製品。“Panther”に搭載される“Finder”に似た操作性の高速検索、アプリケーションをテスト稼動させながらコードを変更する、バックグラウンドでコンパイルを並行して進めたりする、全ての開発ビルドからリンク作業をなくす“Zero Link”の装備、複数システムを利用してコンパイルを実行する“Distributed Build”機能など、開発作業時間の効率化や短縮を実現するという。発売は英語版および日本語版ともに9月15日。

64bitプロセッサー搭載の『Power Mac G5』

基調講演の最後には、この日最大の目玉である『Power Mac G5』が登場した。筐体デザインはこれまでの『Power Mac G4』から一新され、直線的なフォルムの総アルミ製となっている。放熱性能を高めるため、筐体には独立して制御される9つのファンが取り付けられており、前後のパネルにはメッシュ上の通風孔がある。ファンの回転を細かく制御するなどして静音化も図っているとのことで、駆動音は従来より1/3~1/2程度の35dBA程度になるという。

『Power Mac G5』
Power PC G5のブロック図

CPUには64bit CPUのPower PC G5(アップルとIBMが共同開発、米国IBMの工場で生産)を搭載し、クロック周波数は1.6GHz、1.8GHz、2GHzの3種類で、32bitアプリケーションの実行にネイティブ対応している。搭載可能なCPUは最大2個で、各CPUごとに独立した1GHzのFSBを持ち、メモリーにはDDR400対応の128bit DDR SDRAMを採用。サポートする最大容量は8GB。CPU-チップセット間の転送レートは合計最大16GB/秒、メモリー-チップセット間は6.4GB/秒となっている。インターフェースは、AGP 8X Pro、133MHz駆動のPCI-X、USB 2.0、FireWire、シリアルATA、IEEE 802.11g対応の無線LAN、Gigabit Ethernet、Bluetooth、光オーディオ入出力などを搭載。光ディスクドライブには全製品がDVD-R書き込み4倍速の“SuperDrive”を装備する。

側面カバーが外された状態の本体側面~後部。本体内を4ゾーンに分割し、前面吸気・後面排気を行なう空冷構造

製品ラインナップは、

Power PC G5-1.6GHz搭載モデル
256MBのメモリー、80GBのHDDを搭載し、ビデオカードにはGeForce FX 5200を採用。直販サイト“Apple Store”価格は1999ドル(約24万円)。
Power PC G5-1.8GHz搭載モデル
512MBのメモリー、160GBのHDDを搭載し、ビデオカードにはGeForce FX 5200を採用。“Apple Store”価格は2399ドル(約28万円)。
Power PC G5-2.0GHz×2搭載モデル
デュアルCPUモデル。512MBのメモリー、160GBのHDDを搭載し、ビデオカードにはRADEON FX 9600を採用。“Apple Store”価格は2999ドル(約35万円)。

の3モデルで、出荷予定はいずれも8月。

講演の最後にジョブズ氏は、「今年は『PowerBook G4』の発売やウェブブラウザー『Safari』のβテスト開始に始まり、本日は『Power Mac G5』や『Xcode』の発表も行なったが、まだ2003年は半分残っている」として、2003年後半に控える本日発表した製品の出荷に向けた意気込みを述べ、講演を締めくくった。

日本でも『Power Mac G5』は8月発売

基調講演ビデオ上映後には、日本法人の原田永幸社長が日本での『Power Mac G5』発売などについて説明し、日本の“Apple Store”での直販価格は、Power PC G5-1.6GHz搭載モデルが24万4800円、Power PC G5-1.8GHz搭載モデルが29万4800円、Power PC G5-2.0GHz×2搭載モデルが36万4800円で、出荷予定は米国と同じく8月、本日より受注を開始すると述べた。また、Mac OS Xバージョン10.2ユーザー向けの『iChat AV』については、米国での発売時に価格を決定するという。

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