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進化するIntel Application Accelerator

進化するIntel Application Accelerator

2004年01月07日 10時08分更新

文● 鈴木 雅暢

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進化するIntel Application Accelerator

インテル

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IAAからIAARへ
RAID機能にフォーカス

IAAR 3.5管理ツールのHDDおよびRAIDボリューム情報画面
画面1 IAAR 3.5管理ツールのHDDおよびRAIDボリューム情報画面。ここで見えるのはシリアルATAに接続したHDDのみ。

 Intel Application Accelerator(以下、IAA)はアプリケーションの動作を高速化するIntel 800シリーズチップセット向けのユーティリティとして、2001年の9月から配布されてきた。時代とともに少しずつバージョンアップを重ねていたが、最終的(IAA2.3)には次のような機能をもつものになっていた。

  1. OSのロードタイムの短縮による起動時間の高速化
  2. 特にマルチメディア関連ソフトウェアにおけるアプリケーションレベルでのディスクI/Oの高速化
  3. Pentim4を搭載したシステムにおけるデータプリフェッチ処理のパフォーマンス向上
  4. 137GB以上のHDDをサポート(Big Drive対応)

 そして、ICH5Rの登場を機に、IAAはその性格を大きく変える。バージョンナンバーはそれまでの2.3を引き継いで3.0となったものの、名称は「Intel Application Accelerator RAID Edition(以下、IAAR)」にリニューアルされ、シリアルATAのRAIDドライバ兼RAIDボリュームの管理ユーティリティという性格をもつソフトウェアとなっている。

RAIDボリュームを構築
画面2 すでにデータが記録されているドライブをソースディスクにしてRAIDボリュームを構築している間の画面。

 IAARは前述したような従来IAAがもつ機能はいっさい持たず、従来のIAAを惜しむ声もあるが、Intelの開発者向けサイトのQ&Aでは、ICH5RのRAID 0機能を利用してRAID 0ボリュームを構築したほうが、これまでのIAAを使うよりも大きな性能向上が得られるためだと説明している。

 IAARがサポートするOSはWindows XP Home Edition/Professionalのみ。ICH5Rを搭載するシステムで、かつシリアルATAのRAIDファンクションを有効にしている場合のみ利用できる。ICH5、およびそれ以前のICHを搭載しているシステムにはインストールすらできない。また、ICH5Rを搭載していてもRAIDファンクションを無効にした場合にもインストールできない。パラレルATAにも非対応で、ICH5RでパラレルATAのHDDを利用している場合もシリアルATAのRAIDファンクションを有効にしてさえいればインストールすることはできるものの、管理ツールからはパラレルATAのドライブはいっさい見えない。ちなみに2.3以前のIAAは、ICH5やICH5Rを搭載したシステムにはやはりインストールできないようになっている。

IAAR 3.5からはRAID 1にも対応
マザーボードのBIOS対応に注目

 さて、IAARは2003年7月に大きなバージョンアップが施され、バージョンが3.0から3.5(現在はバグフィックス版の3.51)に上がり、これまでのRAID 0(ストライピング)に加えて、RAID 1(ミラーリング)がサポートされた。IAAR 3.5はICH5Rを搭載しているマザーボードで使用することができるが、新たに加わったRAID 1を利用するためには当然ICH5R側の対応も必要だ。つまり、マザーボードのBIOSを、IAAR 3.5対応のものにアップデートする必要があるので注意したい。現在のところIAAR 3.5対応BIOSをリリースしているのはIntelとASUSTeKのみ。最近ICH5Rを搭載した新製品はあまりリリースされていないが、ASUSTeKの848Pチップセット搭載マザーボード「P4P800S-E」などは、あらかじめRAID 0/1をサポートした状態でリリースされるようだ。

 ICH5RでのRAIDボリューム構築作業は、システム起動中に「Ctrl」+「I」を押すことで入れるRAID BIOSで行うこともできるし、Windows上で動作するIAARの管理ツールからも行える。管理ツールではこのシリアルATAに接続したHDDの詳細情報やRAIDボリュームの情報を見ることができる。また、IAARの最大の特徴といえるのが「RAID Ready」というフィーチャーだ。これは、すでに使用しているシリアルATA HDDと後から追加したATA HDDでRAIDボリュームを構築できるというもの。ドライブがシステムドライブとして使用されている場合でも可能で、使用しているHDDのデータ内容はそのまま維持することができる。これは、RAID 1に関しては市販RAIDカードでも当たり前のように行えるが、通常まっさらなHDDを2台用意して行うRAID 0で、使用中の、それもOSもインストール済みのHDDでできるのはきわめて珍しい。ICH5RおよびIAARならではのアドバンテージといえる。もちろん、RAIDボリュームの構築はバックグラウンドで行え、その間も他の作業は行える。信頼性を考えればあまりディスクアクセスが発生するような作業はしないほうがよいが、Webブラウザやメール送受信などの作業ならそれほどストレスなく行える。


 これまでのIAARはRAID 0のみしかサポートしていなかったため利用できるユーザーが限定されていたが、新たにRAID 1をサポートしたことで、かなり実用的になってきた。ICH5RのRAID機能はPCIバスの帯域をまったく使用しないという点で性能面でもメリットがある。これまではあまり利用されている印象のないIAAのRAID機能だが、今後どこまで利用されるようになるのか興味深いところだ。

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