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ジャストシステム、エンタープライズ向けの知識活用プラットフォーム『GrowVision』を発売

2003年06月12日 21時05分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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(株)ジャストシステムは12日、東京・南青山の東京支社で記者説明会を開催し、仕事のプロセスや手順をデータとして管理し、実践モデル(プラクティス)の蓄積や共有化を図る組織・プロジェクトチーム向けの知識活用プラットフォーム『GrowVision(グロービジョン)』を7月11日に発売すると発表した。同社の関連するソリューションプロバイダーやコンサルティングファームなどを経由して販売され、サンプル価格は50シートで750万円から。対応OSはRed Hat Enterprise Linux AS/Windows 2000 Server(ほかのLinuxディストリビューションやSolarisなど導入先企業の運用システムに合わせて対応OSは順次増える見込み)。

代表取締役社長 浮川和宣氏 ビジネスシステム事業部長 長井定一氏 GrowVisionのコンセプト
代表取締役社長の浮川和宣氏ビジネスシステム事業部長の長井定一氏GrowVisionのコンセプトを示す図。既存のグループウェアによる情報共有を、一歩進めた戦略・戦術ツールの共有を図るソリューションだと説明

同社の文書情報検索システム『ConceptBase』が個人の情報を管理・活用するナレッジマネージメントツールであるのに対し、GrowVisionはサーバー単位でシステムを構築し、各クライアントから仕事の進捗状況や成功事例を入力・管理し、生産性の向上を図るエンタープライズ向けの情報活用ソリューション。既存のグループウェアによる情報共有を一歩進めて、戦略・戦術ツールの共有を図るツールだという。具体的には、個々の文書に関連する情報を付加し、XMLベースで1つのデータベース“ナレッジリポジトリ”に集約・管理する。そこから市場動向/顧客需要/組織(プロジェクトチーム)に応じて必要な情報を抽出、情報の関係性を可視化して、仕事単位での“プラクティス”(仕事の構造や関連する情報、情報交換の場、情報分析などの総称)を作成・運用する。このプラクティスを関連部署同士で共有・連携することで、競合他社への対策や顧客満足度の向上などを組織全体で図るとともに、過去の成功事例を参考にしながらプロジェクトの成功率を高める(あるいは、予想しうるクレームを未然に防ぐ)ためのツールとして利用する、というもの。

また、日本語入力システム『ATOK16』に機能追加し、特定のキーワード(例えば、“競合”)を入力すると、詳細情報の追加(メーカー名/製品名/製品スペック/日時、など)を求めるダイアログボックスが表示される『ATOK16 GrowVision エクステンション』も用意しており、同社が文字や文書での情報管理にこだわって開発している姿勢がうかがえる。

GrowVisionの画面
GrowVisionの画面。入力しておかなければならない項目などを、ガイドとして左側に表示できるほか、ATOK16と連携して、特定のキーワード(ここでは“競合”)を入力すると、詳細情報の記入を促す警告と定型文が自動的に書き加えられる

説明会には、代表取締役社長の浮川和宣氏、代表取締役専務の浮川初子氏、ビジネスシステム事業部長の長井定一氏、ナレッジ製品開発部部長の松家勝弘氏、ビジネスシステム事業推進室長の松田潤氏、技術戦略室長の植松直也氏が出席し、GrowVisionの特徴や概要、システムなどを紹介した。最初に浮川和宣氏は、「旧来の仕事のやり方では、諸先輩が蓄積した情報や成功事例、すなわちプラクティスをうまく使いこなせない。人間の活動や工夫をよりよくするために、“仕事のプロセスを文書ベースで管理して、知識化する”ことが、本製品を開発した目的」と述べた。

松田氏は販売方針について、「リストラによる組織のスリム化を果たし、これから成長戦略に基づく事業革新を進める企業や組織がメインターゲットになる。また、ConceptBaseをすでに活用しているユーザーにも積極的に働きかけていく。特に、少数精鋭でプロジェクトを運営している部署・プロジェクトであれば、セールス部門/エンジニアリング部門/企画・マーケティング部門など、業種を問わずに効率化が図れるだろう」と説明。

代表取締役専務 浮川初子氏
R&D事業について説明する、代表取締役専務の浮川初子氏

最後に本製品を生み出した同社のR&D事業の背景について、浮川初子氏が「ジャストシステムの言語管理テクノロジーと、他社(ナレッジプロデューサーやソリューションプロバイダー)/大学の専門家/研究機関などが共同して、知的生産の効率化を図るオープンな規格の開発に5年前から取り組んできた。GrowVisionも、構成するコンポーネントの多くがJavaベースで開発されている。今後も他業種との協業で、オープンな基盤技術開発を進めていく」と話した。

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