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ERP業界、変革期の訪れか?――米オラクルが米ピープルソフトの買収計画を表明

2003年06月09日 13時27分更新

文● 遠竹智寿子

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米オラクル社は現地時間の6日、米ピープルソフト(PeopleSoft)社の全株式の買収計画を発表した。同社のアナウンスによれば、1株あたり16ドル(約1900円)で、総額51億ドル(約6100億円)の公開買い付けが、9日付けで開始される予定。この計画が実現すれば、米オラクルは独SAP社と肩を並べて、エンタープライズソフト業界の2大勢力となる。

テレカンファレンス方式で行なわれた米オラクルの記者会見は質疑応答を含めて1時間に及んだ。その中で、オラクルは今回の買収計画を発表、また、第4四半期の利益は1株あたり14から15セント(17~18円前後)と予想した。第4四半期の業績についての詳細は、17日に行なわれる定例のテレカンファレンスで公開される予定。

オラクルの会長兼CEOのラリー・エリソン(Lawrence J. Ellison)氏は、この買付についての話し合いの書状をピープルソフトの取締役会に提出済みであるとしている。同氏は「オラクルはピープルソフト製品へのサポートは行なっていくが、同製品を新規顧客に積極的には売ることはしない」と言及し、ピープルソフト製品の機能を次期バージョンの『Oracle E-Business Suite』へ取り込むことも示唆した。

米ピープルソフトは、2日に米ジェイ・ディ・エドワーズ(J.D. Edwards)社を17億ドル(約2040億円)で買収したことを発表したばかり。大企業向けERP分野でオラクル、SAPと競合の立場にあるピープルソフトが、マイクロソフトや米シーベル・システムズ(Siebel Systems)社と激しい競争化にある中堅企業分野でのリーダー企業J.D.エドワーズを抱えることにより、世界第2位の地位を確立できるとして、業界でも話題となっていたところだ。しかし、今回のオラクルの声明によれば、「オラクルによるピープルソフトの買収が完了された場合、J.D.エドワーズ買収についての取引をサポートする意向はあるものの、その時期を含め中身の見直しもありうる」としている。

米国のビジネス界では、この話題が週末トップクラスのニュースとして報じられ、アナリストたちによるコメントも次々発表されている。エリソン氏は、買収計画において「両者の有益性を求める」と強調しているが、現時点では、ピープルソフト側は、はっきりとした嫌悪感を示す。それは、あるインタビューで、CEOのクレイグ・コンウェイ(Craig A. Conway)氏が「ラリー(エリソン)は、ショットガンを突きつけながら、結婚しろと言っているようなもの」とコメントするほどだ。

日本オラクル(株)の広報によれば、日本法人の関係がどうなるかは、現段階ではすべて未定としている。

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