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マイクロソフト、“Microsoft Office System”のテクニカルセミナーを開催――『InfoPath 2003』などのXML関連機能を解説

2003年06月04日 21時32分更新

文● 編集部 内田泰仁

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マイクロソフト(株)は3日、“Microsoft Office System”に関するプレス向けのテクニカルセミナーを新宿の本社オフィスにて開催した。今回のセミナーでは、これまでに開催された説明会などでもたびたび取り上げられてきたXML機能がテーマとされた。“Microsoft Office System”でXML機能が強化された『Word 2003』『Excel 2003』『Access 2003』と、XMLデータの取り扱いを専門とする新規アプリケーション『InfoPath 2003』のデモンストレーションと解説が行なわれた。

今回のセミナーで解説を行なったマイクロソフト(株)製品マーケティング本部オフィス製品部のシニアプロダクトマネージャ、細井智氏
“Microsoft Office System”の各アプリケーションで強化されているXML関連機能を利用するシナリオ例

セミナー前半は、『Word 2003』『Excel 2003』『Access 2003』のXML新機能に関する解説とデモが行なわれた。ここでは、3月の“Information Worker Day 2003”や、4月の“Microsoft Office System Reviewer's Workshop”でも取り上げられた、各アプリのドキュメントをXMLデータとして扱う方法や、ユーザーが自由に設計できるXMLスキーマー“カスタム定義スキーマ”などが改めて詳しく紹介された。

『World 2003』。企業などでよく見られる住所変更届のようなドキュメントの各項目に対し、全てXMLスキーマーが設定され、ユーザーが入力した各項目のデータをXMLデータとして取り出すことが容易になっている『Excel 2003』。シート内の各項目にはXMLスキーマーがそれぞれ割り振られており、ここでも各項目に入力されたデータをXMLデータとして取り出すことが可能『Access 2003』では、XMLデータのインポート/エクスポートの機能が強化された。画面は、全レコードをXMLデータして出力する際、特定の項目のみを抜き出してXMLデータにエクスポートする作業のもの
『Word 2003』『Excel 2003』『Access 2003』の画面写真(各画面は“Microsoft Office System Reviewer's Workshop”で配布されたもの)


XMLデータの収集に威力を発揮する新規アプリ『InfoPath 2003』

セミナーの後半は、プレスや導入を検討している企業などからの質問が最も多かったという新規アプリ『InfoPath 2003』の解説にあてられた。

テンプレート作成画面データの入力画面
大きく分けて2つの顔を持つ『InfoPath 2003』。左は入力フォームを設計する“開発ツール”モード、右はユーザーがデータを入力する“入力ツール”モードの画面

『InfoPath 2003』は、XMLデータを収集するためのインターフェース(フォームを使ったテンプレート)を作成する“開発ツール”という面と、開発されたインターフェースを利用してデータを入力する“入力ツール”という面の両方を持ったアプリケーション。マイクロソフトは、フォームにデータを入力させる“テンプレートソリューション”という面が大きいが、テンプレートを作るだけではなく、XMLスキーマーやXMLスタイルシートを作成するツールとしても活用できるアプリケーションだとしている。

ユーザーにデータを入力させて情報を収集する場合、ExcelやWordのテンプレートに必要事項を入力させるのと、『InfoPath 2003』のテンプレートでデータを入力させるのとでは、大きく異なる特徴がある。ExcelやWordのドキュメントでは、入力されるデータと、質問項目などの文書内容や書式の設定、レイアウトの情報などがすべて一体となったドキュメントファイルが1個できあがるのに対し、『InfoPath 2003』の場合は、文書や書式、レイアウト、フォームのデザインなどが記述されたテンプレート情報のファイルと、ユーザーに入力させる項目の設定である“カスタム定義スキーマ”、入力されたデータを格納したXMLファイルが“それぞれ別のファイルとして”保存される。XML化されていないExcelやWordのドキュメントから必要なデータのみを取り出すのは手作業でのコピーなどが必要だが、『InfoPath 2003』の場合はデータ部分が最初から独立したXMLデータファイルとなっているので、別の業務システムやアプリケーションで再利用するのが非常に容易だ。また、1つのデータに対して複数のテンプレートを割り当てることもできるので、例えば、A部門では全項目に対して入力を求める、B部門では特定の項目のみ、というように、用途に応じてテンプレートのみ切り替えることが可能となっている。

画面右側の“作業ビュー”に表示されているのが、現在編集中のテンプレートに対して割り当てられているXMLスキーマーである“カスタム定義スキーマ”。このツリー表示されている各スキーマーを作業ウィンドウ中にドラッグ&ドロップすると、即座に新しいフォームが追加される

テンプレートの作成では、『Word 2003』『Excel 2003』『Access 2003』と同様に、既存のXMLデータファイルを読み込ませ、そのデータからXMLスキーマーを予測し、“カスタム定義スキーマ”を自動生成する機能が装備されている。また、ウィンドウ右側に表示される作業ビューにツリー表示される“カスタム定義スキーマ”をツリーのルートからまとめてテンプレートにドラッグ&ドロップすると、各スキーマーに設定された情報に基づいて、自動的にフォームが生成される。あとはWordなどで文書を作るようにレイアウトなどを調整していけば、新しいテンプレートを手早く作成できる。テンプレートの作成時は、基本的にはコードやスクリプトを手書きする必要はなく、誰でも簡単にテンプレートの作成ができるという。また、ローカルやファイルサーバーに置かれたXMLデータファイルだけでなく、データベースやウェブサービスなどのバックエンドにある業務システムと連動させたテンプレートの設計も可能となっている。

“Microsoft Office System”の機能概念図。今回のOfficeでは、単なるドキュメント作成ツールという役割よりも、各Officeアプリがバックエンドにある業務システムのフロントエンドツールとなりえるという点が強調されている

今回のセミナーは、XML関連の機能強化を進めたことにより、“Microsoft Office System”の各アプリは“最終的に紙に印刷するためにデータを成形するアプリケーションではなくなる”と締めくくられた。なおマイクロソフトは、今年第3四半期を予定している“Microsoft Office System”の発売に向け、新機能や特徴にフォーカスしたテクニカルセミナーを毎月開催する予定だという。

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