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「ペンギンに適切なスーツとネクタイを」──コンピュータ・アソシエイツがLinux戦略を発表

2003年05月23日 16時44分更新

文● 編集部

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コンピュータ・アソシエイツ(株)は22日、同社のLinux戦略を紹介するプレス向けセミナーを“Linux World Expo/Tokyo 2003”会場となっている東京ビッグサイトで開催した。

同社はシステム管理ツール『Unicenter』やバックアップソフト『BrightStor ARCserve』などで、Linux対応のソリューションをリリースしている。今回のセミナーで明らかにされたのは、Linux対応のアクセス管理ソフトウェア『eTrust Access Control』を中心に、『eTrust Web Access Control』や『eTrust AntiVirus』といったセキュリティ管理ソリューションを順次Linux対応にすることだ。

セミナーではまず、米Computer Associates InternationalのLinux技術グループ 上級副社長であるSamuel J Greenblatt氏が、Linux市場の動向とワールドワイドでのComputer Associatesの取り組みについて紹介した。

米Computer Associates InternationalのLinux技術グループ 上級副社長であるSamuel J Greenblatt氏
米Computer Associates InternationalのLinux技術グループ 上級副社長であるSamuel J Greenblatt氏

Greenblatt氏はまず、LinuxアプリケーションはこれまでWebサーバやファイルサーバ、プリントサーバといった小規模のシステムで使われていたが、今後はIAハードウェアのクラスタを利用し、次世代のWebサービスやグリッドコンピューティングのプラットフォームとして使用されるであろうとした。

その上で、メインフレーム、ブレードサーバ、デスクトップ、組み込み、グリッドの5分野についてLinuxを使用するメリットを紹介。メインフレームについては、サーバ統合によるコスト削減が可能なこと、ブレードサーバについては高可用性クラスタシステムや、CPU性能を必要とする分野でLinuxのスケーラビリティと組み合わせることで高性能のシステムを構築できること、デスクトップ分野は米国ではすでに検討段階に入っており、オフィススィートやメーラー、ブラウザ程度の利用であれば問題ないことなどを紹介した。

組み込み分野については、ネットワーク機器などに多く使われているほか、コンシューマー機器でもゲーム機やセットトップボックスなどで利用されていること、また、注目すべき事例として、独Daimler Chryslerや独BMW Group、米Ford Motorなどが自動車用電装品の制御にLinuxを採用していることを紹介した。グリッドについては、米国だけでなく、中国の学術機関でも研究が進められていること、米国の気象庁でグリッドシステムを導入し、気象予測時間を4時間から26分に短縮できたことなどを紹介した。

同氏は最後に日本市場についても触れ、「日本でもLinuxが普及するのは間違いないが、どこで誰がどのようにやるのかは明確になっていない。我々はRed Hat Linux、MIRACLE Linux、Turbolinuxといった主要ディストリビューションをサポートしており、LinuxといえばCAといわれるように、ブランディングや戦略策定を行なう」と語り、Linux技術グループがワールドワイドで8000万ドル(約94億円)を投資したことや、Linuxカーネルの可用性や信頼性、パフォーマンスの改善に取り組んでいることを紹介した。また、今後については「Linux向けの製品からLinuxを活用した信頼性の高いソリューションを提供する」と語った。

引き続き、コンピュータ・アソシエイツ(株)のLinux@CAJプロモーションプロジェクトオーナーである大西彰氏が、同社のLinux戦略について紹介した。

コンピュータ・アソシエイツ(株)のLinux@CAJプロモーションプロジェクトオーナーである大西彰氏
コンピュータ・アソシエイツ(株)のLinux@CAJプロモーションプロジェクトオーナーである大西彰氏

大西氏はまず、Linuxのエンタープライズ利用について「これまではコミュニティでカジュアルに開発されていたLinuxが、ビジネスシーンでも使われるようになってきた。我々はLinuxのペンギンに適切なビジネススーツとネクタイを提供する」と挨拶した。

今後の製品展開については、これまでのストレージ管理システム“BrightStor”シリーズに加え、今後はセキュリティソリューションを提供する予定だという。アクセス権限を細かく設定し、たとえ管理者権限を奪われても一定のセキュリティを保つことを可能にする『eTrust Access Control』などの製品をLinux市場で展開する予定であると紹介した。

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