16日に発売された『Turbolinux 8 for AMD64』。17日、ぷらっとホーム(株)店頭で同製品のデモが行なわれており、ターボリナックス(株)のエンジニアである吉田尚樹氏に話を聞くことができた。
『Turbolinux 8 for AMD64』デモマシン。デスクトップはKDE 3.1。さらに、32ビット版『StarSuite』も動作しており、見た目にはこれまでの製品と変わらないように見える |
ぷらっとホーム店頭でデモが行なわれていたマシンは、ぷらっとホームが『#orderconf A8131』として同社Webサイトおよび店頭で販売する予定のもので、マザーボードに(株)リオ ワークスの『HDAMA』を採用、Opteron 240を2基搭載し、4GBのメモリ、40GBのハードディスクを搭載していた。製品はBTO方式で、搭載するCPUやメモリ搭載量、ハードディスク容量などを変更可能だ。発売日、および価格は未定。
デモに使用していた『#orderconf A8131』 | 『#orderconf A8131』の概要 |
開発者が気に入ったアーキテクチャ
デモに立ち会っていたターボリナックス(株)のエンジニアである吉田尚樹氏によると、そもそも開発を始めたのは「エンジニアがAMD 64のアーキテクチャを気に入ったのが始まり」だといい、エンジニア主導で製品化を進めたそうだ。開発に際しては、「多少ライブラリ周りやmakefile、configureスクリプトなどで苦労しましたが、64ビットのノウハウはAlphaアーキテクチャなどで蓄積がありましたから、割とスムーズにポーティングできました」とのことだ。
ディレクトリ構成で特徴的なのはライブラリの配置で、32ビット用の共有ライブラリは/lib以下に、64ビット用の共有ライブラリは/lib64以下におかれている。gccでコンパイルする際には、標準では/lib64以下のライブラリを呼び出すように設定されており、“-m32”オプションなしでコンパイルすると64ビットのバイナリが生成される。収録パッケージについてもすべて64ビットでコンパイルされている。
何も変わっていないのが一番すごいことです
『Turbolinux 8 for AMD64』の最大の特徴について吉田氏にたずねると、「何も変わっていないことです」との答がかえってきた。「見た目や使い勝手には大きく変わったところはありません。これまでと同じ感覚で、普通に4GB以上のメモリを利用できたり、大容量のファイルを扱えるのが最大の特徴です」とのことだ。
おもな用途としては、「最初は大学や国の研究機関など、科学技術計算系のお客様が利用され、そのあとで、データベースやグラフィックといった用途に使用されると思います」とのこと。とはいえ、特に用途を指定するつもりはないそうだ。「なによりも、64ビットアーキテクチャを普及させることが目的です。米AMDやマザーボードベンダーなどと協力して、低価格で製品を提供し、より多くの方に利用していただきたいです」という。
今後については、「米Oracleのデータベースなどが対応するようですが、すでに我々の製品の中ではPostgreSQLが64ビットで動いており、高いパフォーマンスを出していますので、これについては別途製品化する可能性があります。また、Athlon64が登場すれば、本格的に64ビットワークステーション向けの製品も登場するかもしれません」といい、企業向けだけでなく、個人向けの64ビットPCに向けた取り組みも行なわれるようだ。
PC向けのOSとしては、現在のところWindowsが大きなシェアを持っている。Windowsとの違いについては、「確かに、デスクトップPCのOSではWindowsが多いです。しかし、WindowsがWindows 3.1から現在のバージョンまで10年近くかけて進んできたところを、Linuxはここ1~2年で追いつくところまで来ています。64ビット化によって大きく関係が変わるわけではないでしょうが、Linuxの使い勝手も認められてきていると考えています」との回答を得られた。
【取材協力】