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【特別企画】UNIXとWindowsをシームレスに統合~最新PC Xサーバ製品群

2003年05月17日 00時02分更新

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WindowsマシンとUNIXマシンをシームレスに統合し、混在環境でもさまざまなアプリケーションを実行可能とするPC Xサーバ。ここにきて、各社から最新機能を備えた新バージョンが続々と登場している。IPv6への対応やセキュリティ機能の強化、操作性と安定性の向上など、さらに進化したPC Xサーバ製品群を紹介しよう。

次世代インターネットプロトコルIPv6へもいち早く対応

 PC Xサーバとは、UNIXの事実上の標準ウインドウシステムとなっているX ウインドウシステムを利用して、Windowマシン上からUNIXマシンを操作できるようにしてくれるサーバソフトである。UNIXとWindowsマシンが混在しているネットワーク環境において、Windowsの操作性をそのままにUNIXのアプリケーションを実行できてしまうところにメリットがある。あわせて、各社からリリースされているPC Xサーバの最新バージョンでは、Windowsマシンとの親和性が高められているほか、操作性も向上している。
 最新のPC Xサーバの特徴のひとつは、UNIXのX ウインドウシステムにおいても次世代のインターネットプロトコルとして注目されているIPv6への対応が進められていることを受けて、PC XサーバもIPv6への対応が図られていることである。Xプロトコルにおいて、IPv6での通信がサポートされた場合には、例えば、「Solaris 9」付属のXクライアントをはじめとする各種のIPv6対応のXクライアントをIPv6経由で接続することができるのである。セキュアシェルプロトコルにおいてもIPv6での通信がサポートされている製品がリリースされているため、「OpenSSH」などのIPv6に対応したセキュアシェルサーバに接続して、Xクライアントを起動させることも可能となっている。
 また、Windowsマシンとの親和性もさらに向上し、WindowsのGUI環境に100%準拠したPC Xサーバも登場しているほか、マイクロソフト WindowsのMS-IMEによるスムースな日本語入力環境も実現されている。UNIXとWindowsという基本ソフトの違いを意識することなく、スムースに使いこなせるだけでなく、各種のアプリケーションを利用する際にWindowsの「ウィザード形式」をそのまま使って設定したり実行したりできる機能など、WindowsとUNIXの混在環境での利便性をさらに高めオフィスでの業務効率を向上してくれる、さまざまな機能が備わっているのだ。PC Xサーバを複数、同時に起動できる機能なども搭載され、WindowsとUNIXの混在環境下でも自由自在にアプリケーションを使いこなせるようになっているのが特徴だ。

OpenGLのアプリの高速描画もPC Xサーバの基本機能になりつつある

 また、三次元描画を行う機械系やCADアプリケーション、技術計算のプリ・ポストアプリケーションなどで多く利用されている、OpenGLのアプリケションを高速で表示できるようになっているのも、最近のPC Xサーバの特徴いえるだろう。PC Xサーバの製品によっては、GLXエクステンションと呼ばれる、X ウインドウシステムの3次元グラフィックスで使われる描画命令に標準で対応することで、OpenGLアプリケーションの高速描画を可能としているほか、別売りのアドオンソフトを導入することでOpenGLへの対応を図っている製品もリリースされている。
 一方、暗号化などセキュリティ機能が高められていることも、最近のPC Xサーバでは、もはや「常識」となっている機能といえるかもしれない。通常、X ウインドウシステムで利用されるXプロトコルは、暗号化については考慮されていないが、PC Xサーバのユーザーからは、X ウインドウシステムをネットワーク経由でもセキュアに利用したいというニーズが高まっている。そこで、多くのPC Xサーバが、セキュアなプロトコルを用いてUNIXのホストマシンと通信することにより、Xのセッションを暗号化できるようにしているのである。
 セキュアな通信が可能となったことで、オフィス内での利用だけではなく外出時など外部のネットワークを経由してアクセスした場合にもセキュリティが確保されることとなり、安心してPC Xサーバを利用できる。つまり、オフィス内でも、外部からネットワーク経由でもWindowsとUNIXの混在したネットワーク環境を問題なく使いこなせる。
 ちなみに、シリアルやモデムといった低速なネットワーク環境でのPC Xサーバの利用は、従来、通信速度の遅さが大きな問題となっていたが、最近のPC Xサーバではこれらの問題も解決されていることにも注目しておこう。

VPNやNATへの対応強化で社外からもセキュアに利用可能に

 一方、最近では、営業社員がノートパソコンを持ち歩いて社外からPC Xサーバを使用するなど、PC Xサーバの利用スタイルも多様化している。そのため最新のPC Xサーバでは、モバイル環境でのPC Xサーバの利用についても、さまざまな工夫がなされている。
 例えば、ユーザーがIPネットワークでVPNを構築した場合や、NAT機能を利用してホストに接続する場合などには、NAT機能でプライベートIPアドレスとインターネット側のグローバルIPアドレスが変換される。その際に、変換されるアドレスの設定を自動化できる機能を備えたPC Xサーバもリリースされている。この機能を利用すれば、社内でPC Xサーバを使う場合はもちろん、モバイル環境からでもシームレスに社内のUNIXホストに接続して、アプリケーションを使用することが可能となる。社内、モバイルと利用者の環境に応じて、PC Xサーバの使い勝手が大きく向上しているのだ。
 実際にPC Xサーバ上でアプリケーションを使用する場合だけではなく、PC Xサーバのインストールから運用・管理までの「作業の手間」も考慮し、「扱いやすい」PC Xサーバとなっているのも特徴のひとつだ。最新のPC Xサーバの中には、インストール配布支援機能を備え、企業など大規模な環境での管理運用を、より強力に支援してくれる機能も追加されている製品も登場している。小規模なオフィスやSOHOなどでPC Xサーバを導入する場合には、インストールや運用・管理などの手間はさほど問題とはならないかもしれないが、大規模なオフィスにPC Xサーバを導入する際には大きなメリットとなるだろう。
 現在、各社から、さまざまな新機能が搭載されたPC Xサーバの最新バージョンがリリースされているが、利用者にとって最も重要となるのは、やはり「使いやすさ」と「信頼性」といえるだろう。利用者にとっては、まず、WindowsとUNIXの混在環境を意識することなく、スムースに使いこなせることが大切である。その点では、最近のPC Xサーバは、例えば、オンラインヘルプも完全に日本語化され、Windowsと同じスタイルで利用可能となっているなど、どの製品もWindowsとUNIXの混在環境でユーザーに余計な負担をかけることなくシームレスに使いこなせる製品に仕上がっている。UNIXマシンとWindowsマシンが混在した環境をシームレスに、高い信頼性を維持しながら統合してくれるPC Xサーバ。WindowsマシンとUNIXマシンとの操作性の違いを意識することなく使いこなせるため、SOHOや中小企業をはじめ、大規模なオフィスでも、その有効性は実証済みといえる。新たな機能が次々に追加された最新のPC Xサーバの導入を検討してみてはいかがだろう。

IPv6への対応も実現したASTEC-Xの新バージョン


IPv6への対応やOpenGLアプリの高速描画など、新機能が追加されている。
製品名:ASTEC-X 4.00
企業名:アステック・プロダクツ
価格:7万8000円
問い合わせ先:03-5804-1853
http://www.astec.co.jp/

 アステック・プロダクツのPC X サーバ「ASTEC-X」の最新バージョン。従来の 「ASTEC-X」の機能に加えて、GLXエクステンションに対応することでOpenGLアプリケーションの高速表示が可能になったほか、次世代の通信プロトコルとして注目されるIPv6にも対応するなど、新機能が追加されている。
 GLX エクステンションとは、Xウィンドウシステムの3次元グラフィックスで使われる拡張命令セットのこと。GLXエクステンションに対応することにより、三次元描画を行うCADアプリケーション、技術計算のプリ・ポストアプリケーションなどの、OpenGLアプリケーションの高速描画が可能となった。GLXエクステンション対応機能は本体に内蔵されているので、アドオンモジュールなどは必要ない。
 一方、XウィンドウシステムでもIPv6化の検討が進められていることを受け、ASTEC-X4.00もIPv6対応となった。IPv6での通信をサポートしているプロトコルはXプロトコル、セキュアシェルプロトコル、rexecプロトコルなどで、Xプロトコルをサポートしたことで、「Solaris 9」付属のXクライアントをはじめとするIPv6対応のXクライアントをIPv6経由で接続可能となった。また、「OpenSSH」などのIPv6に対応したセキュアシェルサーバに接続して、Xクライアントを起動することもできるほか、「Solaris 9」に付属の「in.rexecd」など、IPv6に対応したrexecサーバに接続し、Xクライアントを起動させることができる。IPv6対応のフォントサーバーに接続してフォントを受け取ることも可能だ。
 また、実際の利用者との重要なインターフェースとなるコントロールパネルのGUI が変更されたことも見逃せない。従来の「ASTEC-X」と比べると、「XDMCP/REXEC」パネルにあった接続方法に関する設定がそれぞれ分離されたほか [一般]パネルと [その他]パネルにあった、ウィンドウモードに関する設定も分離され、より使いやすくなっている。コントロールパネルから[ヘルプ]が呼び出せるようになり使い方を調べながら設定を行うこともできる。
 従来の「ASTEC-X」にあった、セキュアシェルプロトコルによる暗号化通信やX11フォワード機能に、転送データ圧縮の機能も追加された。Universal Plug and Play (UPnP) 対応のルータを制御して自動的に通信経路を確保するなど、特徴的な機能もそのまま。使いやすさ、機能性ともに向上した新しいPC Xサーバへと生まれ変わった。





金融機関から官公庁まで信頼性の高いPC Xサーバ


UNIXとWindowsのアプリを1台のPCで同時に利用可能。Xプロトコル X11R6.6に対応している
製品名:Exceed V8.0J
企業名:(株)マクニカ
価格:7万8000円
問い合わせ先:045-476-1960
http://www.networks.macnica.co.jp/

「Exceed V8.0J」は、Windows 98/Me/NT4.0/2000/XPの画面上でUNIXのXウィンドウ画面を開くことを可能にするPC Xサーバ。CAD/CAM/CAEエンジニアから金融機関のディーリング業務、官公庁や教育機関など、幅広い業務・分野で多くのUNIXユーザから支持され、業界トップクラスのシェアを誇る信頼性の高いPC Xサーバである。
 「Exceed V8.0J」は、Xアプリケーションの正確な描画機能と業界最高水準の高速処理、優れた動作安定性といった機能面の特徴をはじめ、マイクロソフト WindowsのMS-IMEによるスムースな日本語入力環境や日本語のWindows TrueTypeフォントも利用できるなど、操作性に優れているのも魅力だ。Xプロトコル X11R6.6に準拠している。
 「Exceed V8.0J」を従来の「Exceed」と比較してみると、機能や操作性における特徴がより明確になるかもしれない。従来と比べて設定画面のインタフェースが刷新され、ウィザード形式による簡単設定が可能となったほか、マルチモニタ・マルチスクリーンにも対応。Gnomeに準じたマルチワークスペース機能やX Rending Extensionのサポート、XDMCP Query接続のショートカット機能、Xサーバ複数同時起動の機能などが強化され、より利便性が高められている。別売りの「Exceed 3D」によりOpenGLにも対応でき、OpenGLアプリケーションの高速描画も可能となった。
 また、ファイアウォールやVPN、NAT環境への対応も強化され、別売りのアドオンソフトを利用すればセキュアシェルセッションのサポートも可能となっているほか、Kerberosを利用したユーザ認証など、セキュアな接続環境を構築するためのセキュリティ機能も豊富に備えられている。インストール配布支援機能である「Sconfig」も強化され、企業など大規模な環境での管理運用を、より強力に支援してくれる機能も追加されている。
 その他、Logi Cad 3D入力デバイスのサポート、ロードバランス接続機能、フォントサーバデータのキャッシュ機能、Xサーバリソース自動調整機能などの特徴的な機能を備え、リモート管理ツール「Xconfig Management Console」やハイパフォーマンス日本語TELNET/FTPなどの豊富な周辺ツールも用意されている。



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