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日本IBM、エンタープライズ向けサーバーの最上位モデル『IBM eServer zSeries 990』を発売

2003年05月14日 23時52分更新

文● 編集部 阿蘇直樹

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日本アイ・ビー・エム(株)は14日、エンタープライズ向けサーバーの最上位モデル『IBM eServer zSeries 990』(以下、z990)の販売を同日付けで開始すると発表した。

『IBM eServer zSeries 990』『IBM eServer zSeries 990』

z990は、8基の計算ユニット(※1)を搭載したMCM(マルチチップモジュール)『CMOS 9S-SOI with Copper』を最大4基搭載するメインフレーム。旧モデルの『IBM eServer zSeries 900』と比べ、計算ユニット数が2倍になったこと、計算ユニットの動作クロック周波数が向上したこと、スーパースカラー設計を採用したことなどにより、最大で約3倍の処理能力(約9000MIPS)を実現したという。

※1 実際にはチップ上に12基の計算ユニットが搭載されるが、そのうち2基は予備で、またI/O処理に2基の計算ユニットを使用するため、ユーザーが使用できるのは8基の計算ユニットとなる。

そのほか、LPAR(論理分割)のパーティション数が従来の2倍(30区画)、搭載メモリ量が従来の4倍(256GB)、Gigabit Ethernetポート数が従来の2倍(48ポート)、LPAR間を接続するハイパーソケット数が従来の4倍(16)といった性能向上が図られている。

基本ソフトウェアについては、『IBM eServer zSeries』用OS『z/OS』のほかLinuxが対応しており、シカゴ大学のThe Globus Projectが開発しているグリッドコンピューティングのミドルウェア『Globus Toolkit』などを利用できるようになった。これにより、z990内で複数のLinuxシステムを稼働させ、単体のハードウェアでグリッドシステムを利用できるほか、既存のグリッドシステムにz990を組み込むことが可能になっている。

また、新たに1日単位で計算ユニットを増減できるサービス“On-Off キャパシティ・オンデマンド”に対応した。これにより、ユーザーはシステム導入時にピーク時の負荷を想定した余分な計算ユニットを用意することなく、必要なときに1日単位で計算ユニットを追加/削除でき、コスト削減が可能になる。ソフトウェア使用料金についても、これまでは平均約250MIPS以上の計算量でなければワークロードに応じた料金体系を利用できなかったが、18MIPS以上の計算量から利用できるように改められた。

z990の価格は、ハードウェア、保守料金合計で月額約1900万円から。出荷開始は6月16日からとなる。また、z990のLinux専用モデルも用意される。Linux専用モデルの価格は約1億円からとなる。

レガシー+αを提案できるシステム

同日、日本IBM箱崎事業所で行なわれた記者発表会では、同社常務執行役員 BP&システム製品担当の橋本孝之氏が、サーバー製品の戦略を紹介した。

日本IBM 常務執行役員 BP&システム製品担当の橋本孝之氏
日本アイ・ビー・エム(株) 常務執行役員 BP&システム製品担当の橋本孝之氏

橋本氏は、同社のサーバー製品群を、ローエンドモデルとハイエンドモデルに分け、ローエンドモデルについては低価格と独自のテクノロジーを組み合わせ、ハイエンドモデルについては価格は据え置きながら性能を向上させるという戦略をとっていることを紹介。一方、サーバー製品全体の戦略については、以下の3点を中心に進めると語った。

  • “e-Business on Demand”に基づくインフラの提案
  • サーバー統合によるTCOの削減
  • 他社からの置き換えを促進

z990については、「9000MIPSもの計算資源はレガシーのシステムではなかなか使い切らないもの。単純に他社メインフレームからの移行を進めるだけでなく、レガシーのシステムとウェブシステムを同時に利用でき、サーバー統合が可能であることや、レガシーからウェブシステムへの移行をスムーズに行なえるといったことを強調して、流通や製造、自治体などをターゲットに販売する」と語った。

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