このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

【最新パーツ性能チェック(Vol.10)】Opteron 1.6GHz+MSI“K8D Master-F”世界で初めて明らかになった秘密も登場!

2003年05月03日 19時55分更新

文● 週刊アスキープラス編集部 野口岳郎

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

個人向けにはもう一段のクロック向上が必要

 DivX/XvidのテストやSuperπ、あるいはSSE2オフ時のTMPGEncの性能などからすれば、Opteron-1.6GHzは、SPECint/fpから予想される「Pentium 4-2.68GHzオーバー」の性能は達成できていると言える。GCAのように飛び抜けて速いテストもある。したがって、現行Opteronの最上位、1.8GHz版(Opteron 244)がXeon/Pentium 4-3.06GHzを上回る可能性は高い。最高性能のデュアルCPUマシンを作るという意味で、Opteronは確かに筆頭候補である。
 ただ、シングルで使うCPUとしては話が変わってくる。というのは、シングル利用の場合は、現状インテルの最高峰はXeon/Pentium 4-3.06GHzではなく、6.4GB/秒という莫大なメモリ帯域を活用できる、Pentium 4-3GHz(FSB800MHz)だからだ。こちらは、ここまでのベンチマークのグラフで見てきたように、DivXやXvidのエンコードでOpteron-1.6GHzより28%弱、ハイパースレッディングがよく効くWindows Media Videoでは50%も高速だ。これでは、クロックで12.5%の向上しかないOpteron-1.8GHzでは追いつけない。WMVは別にしても、DivX系の28%のビハインドをチャラにするだけでも、最低限、クロックで25%アップの2GHz版が必要となろう。
 しかもOpteronのシステムは、通常の(アンバッファード)DDRモジュールの2倍する、レジスタードモジュールを必要とする点で、たとえCPUの性能と価格が同じで、システム価格的にPentium 4やAthlon XPに比べて大きく不利になる。シングルOpteronが魅力的な選択肢になりうるのは、

・早い段階でOpteron-2.1GHz(Opteron 147/247?)以上が登場して、シングル利用でも最高性能のCPUとして君臨できる場合
・シングルCPUシステム用のOpteron 100シリーズに2GHz版(Opteron 146?)が5万円台で提供され、アンバッファードDDRモジュールが利用可能になり、シングルOpteronのAGPマザーが2万円程度で提供される場合
・今すぐ64bit Linuxを使いたい、あるいは、64bit Windowsに必ず移行するので32bitシステムを今から買いたくないので、コスト面の不利は黙認する場合

といったケースに限られるだろう。

デュアルで使うならどうか? Athlon 64の性能は?

 結局、マルチプロセッサシステム向けに設計されたOpteronをシングルで使おうとするのは、Xeonをシングルで使おうとする場合と同様の、コスト面での不利がつきまとう。シングルでPen4やAthlon XP以上の性能のマシンを作りたい方は、Opteronのもう少し高いクロックのバージョンが出るか、デスクトップ用に設計されたAthlon 64を待つことになる。ただ、メモリインターフェイスを2チャンネル持つ点でAthlon 64より有利なはずのOpteronでも、2GHzを超えないとP4-3GHzに対抗できないとなると、Athlon 64はそれ以上のクロックを要求されることになる。今回テストしたのはPentium 4が比較的得意とするエンコード系が中心なので、3D系も含めたトータルの評価は、AGPスロット付きのOpteronマザーが登場した時点で代わってくる可能性もあるとはいえ、Athlon 64に課せられたノルマは大きい。
 Pentium 4がCPUの評価基準を、オフィスアプリの性能からエンコーディングと3DをPCの評価軸に変えたように、Opteron/Athlon 64は、64bit OS下で力を発揮する、新しいPCの使い方、魅力を提案できるかどうかが、飛躍的に評価を高めるためのキーといえるだろう。

 以上、今回は新しいCPUの性能の特徴と、Athlon 64の性能予測もかねて、シングルOpteronについて研究してきたが、OpteronについてはXeon同様、安価なローエンドモデルでデュアルCPUシステムを組み、ヘビーな2つのアプリケーションをスムーズに同時駆動させたいとか、マルチスレッドに対応したエンコードソフトなどで力を発揮させる、というアプローチが正攻法の使い方であろう。アーリーレポートとして、デュアルOpteron 242でのTMPGEncとWindows Media Video 9のテスト結果をグラフ8に掲げる。どちらもシングル時に比べ、かなりの性能向上を見せていることがわかる。Xeonとの性能比較、コストメリット等については次回のレポートでお届けする予定である。

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ