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【最新パーツ性能チェック(Vol.10)】Opteron 1.6GHz+MSI“K8D Master-F”世界で初めて明らかになった秘密も登場!

2003年05月03日 19時55分更新

文● 週刊アスキープラス編集部 野口岳郎

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テストによってはPentium 4-4GHz相当にも

 個人がハイエンドCPUのありがたみを一番感じるのは、3Dゲームと各種エンコードだろう。しかし、AMD8131マザーにはAGPスロットがないので、3Dのテストは行なえない。また、まだAMDから正式にIDEドライバが公開されていない(今までのチップセット用には用意されてきた)ため、HDD性能に大きく依存するテストもあまり適当でない。加えて、Winstoneのようなヘビーアプリケーションによるベンチマークでは、HDD以外にも、RAGE XLによる32bit画面表示のオーバーヘッドも気になる。そのため今回は、CPUとメモリ部分に主に負荷が集中するテストを中心にセレクトしている。
 なお、テスト時のメモリ環境としては、すでに512MBで計測している他のプラットフォームとの統一上は、Registered PC2700 256MBを2枚使うのが望ましいが、このようなモジュールは入手が難しかった。512MBのモジュールをシングルで使ってしまうと、Opteronの2チャンネルのインターフェイスが台無しになる。そこでやむを得ず、Opteron環境だけは512MBモジュールを2枚装着している。512MBと1GBとでは通常大きな性能差は出ないが、この分で多少Opteronに有利な環境であることをあらかじめお断わりしておく。

Pentium 4-3GHz i875P/PC3200×2(512MB)
Pentium 4-2.8GHz i875P/PC2700×2(512MB)
Athlon XP-3000 nForce2/PC2700×2(512MB)
Athlon XP-2600 nForce2/PC2700×2(512MB)
Opteron 1.6GHz AMD8131/PC2700R×2(1GB)
y Opteron 1.6GHz AMD8131/PC2100R×2(512MB)
HDD:Seagate Barracuda ATA V 80GB
ビデオカード:GeForce Ti4200(Opteron以外)、RAGE XL(Opteron)

【グラフ1】DivX 5.03およびXvidで1GBのAVIファイル(DV形式)をエンコードするのに要した時間。棒が短いほど高速【グラフ2】TMPGEncおよびWindows Media Video 9で169MBのAVIファイル(DV形式)を、MPEG2およびWMVにエンコードするのに要した時間。棒は短いほど高速
【グラフ3】アーカイバソフトGCAで、200MBのWAVファイルを圧縮するのに要した時間。棒が短いほど高速【グラフ4】Superπで104万桁の円周率を計算するのに要した時間。棒が短いほど高速
【グラフ5】Sandra 2003の、CPU Arithmetic Benchmarkにおける倍精度浮動小数点演算能力値。棒が長いほど高速【グラフ6】Sandra 2003の、CPU Multi-Media Benchmarkにおける整数SIMD演算能力値。棒が長いほど高速
【グラフ7】Sandra 2003によるメモリスループット。棒が長いほど高速【グラフ8】マルチプロセッサによる性能向上チェック。TMPGEncおよびWindows Media Video 9で169MBのAVIファイル(DV形式)を、MPEG2およびWMVにエンコードするのに要した時間。棒は短いほど高速

 まずは時間のかかる処理の代表格、マルチメディアデータのエンコードだ。TMPGEncをフロントエンドに使ってAVIファイルをDivXやXvidでエンコードする時間は、Opteron 1.6GHzに比べ、Pentium 4-2.8GHzが5%前後のリードとなっている(グラフ1)。Opteron 1.6GHzの推定性能が2.68GHzだから、計ったように予定どおりの性能ではあるが、1.6GHzと2.8GHzという大きなクロックのギャップがあることを考えると、やはり驚きを禁じ得ない。

 ただ気がかりなのは、Windows Media Videoで15%、TMPGEncに至っては30%も性能が低くなっていることだ(グラフ2)。TMPGEncは、Pentium 4用にSSE2を活用してチューンしてあるという。OpteronはSSE2をサポートしたので、この面での不利はなくなっているはずなのだが、実際には大きな差が出た。Pentium 4用にチューンしたプログラムであれば、高いクロックでできるだけ処理が円滑に進むようにしてあるだろうから、実クロックが低いOpteronが不利になった、とまずは推測しておく。
 一方で、びっくりするような結果を見せてくれるのが、高圧縮率の国産アーカイバソフト「GCA」によるファイル圧縮だ(グラフ3)。このテストはもともとAthlonが得意(あるいはPentium 4が苦手?)としているものではあるが、Opteron 1.6GHzはPentium 4-2.8GHzの1.5倍も高速となった。クロックに換算すれば、Pentium 4-4GHzにも相当する。Opteronの高いメモリパフォーマンスに加え、1MBのキャッシュが効果的に機能したのだろう。こんなことが起きるのが、Opteronを使う一つの楽しみである。
 このほか、計算能力を見るために実行したSuperπでは、OpteronはPentium 4-2.8GHzをわずかにリードする健闘を見せた(グラフ4)。



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