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マイクロソフト、Pocket PCのカンファレンス“Mobility Day”を開催

2003年04月26日 02時57分更新

文● 編集部 内田泰仁

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マイクロソフト(株)は25日、OSにWindows CEを搭載する携帯型端末“Pocket PC”をメインとした、デベロッパー向けのカンファレンス“Mobility Day”を開催した。携帯型端末のみを取り扱うカンファレンスを日本で開催するのは同社としては初めての試みだという。

マイクロソフトのニューメディア&デジタルデバイス本部シニアマネージャー、倉石英典氏“Pocket PC”の現在の市場動向を説明するスライド。不況の中でも確実にシェアを伸ばしているという

冒頭に壇上に立ったマイクロソフトのニューメディア&デジタルデバイス本部シニアマネージャーである倉石英典氏は、現在のPDAおよび“Pocket PC”の市場動向について説明を行ない、「不景気の影響で2002年度はパソコンの出荷台数、携帯電話の出荷台数共に伸び悩んだが、その中でも“Pocket PC”は順調に伸びており、出荷台数では2002年度は2001年度のおよそ2倍、日本国内のPDA市場におけるシェアは31%に達した」と述べた。

カネボウ“BCナレッジシステム”のシステム図
また、企業への大規模一括導入も増えているといい、セッション中で、カネボウ(株)と太陽生命保険(株)での導入事例が紹介された。カネボウでは、店頭で販売や使用指導を行なう“ビューティーカウンセラー(BC)”全員に富士通の『POCKET LOOX』を配布し(全国で約7000人)、製品知識や製品使用方法の講習、本社からの伝達などを、“Pocket PC”上のウェブブラウザーで随時知ることができる“BCナレッジシステム”を2002年秋から運用開始した。ペンで操作できる“Pocket PC”はパソコンに不慣れな人でも比較的扱いやすいということで、パソコンの使用スキルにばらつきがあるBCにもすんなりと受け入れられたようだ。太陽生命保険では、営業スタッフに持たせていたノートパソコンに代わり“Pocket PC”を導入。Windows環境からWindows CE環境へとプラットフォームの変更も伴ったが、業務アプリの移植作業は容易で、約2カ月の開発期間で業務アプリの移植は完了したという。ノートパソコンよりも小型・軽量になり持ち運びが楽になったことが営業マンに好評とのことだ。



マイクロソフトの.NETマーケティング部シニアマネージャー、熊谷恒治氏「状況に最適なインターフェースを利用して必要な情報を一貫して得る」というコンセプトの実現のため、Windows CEベースのシステムも大きな進化を遂げているという

次のセッションではマイクロソフトの.NETマーケティング部シニアマネージャーである熊谷恒治氏が、同社のモバイルソリューションへの取り組みについて解説。たとえばビジネスマンの場合、通勤中は携帯電話、社内ではパソコン、外出先ではPDAといったように、時間帯によって利用する情報端末の利用環境が変化するが、環境が変わっても必要な情報は変わらず、常にメールや社内の各種情報をやり取りしたいという例を挙げた。利用者にとって必要なことは、状況に最適なインターフェースを利用して必要な情報を一貫して得ることだとし、目的を達成するためのソフトウェア環境整備の重要性を指摘した。この一貫して同じ情報ソースにアクセスする手段とWindows CEプラットフォームでのソフトウェア環境整備のための開発環境として、24日に発表された『Windows Automotive 4.2』にも搭載されているWindows CE用の『.NET Framework』サブセットである『.NET Compact Framework』と、22日にMSDN Subscriber Downloadで提供が開始された『Visual Studio .NET 2003』を挙げた。これらのコンポーネントおよびツールにより、より広範なユーザー環境でのXMLウェブサービスの利用が可能になるという。

“Mobility Day”では、カンファレンスセッションのほか、マイクロソフトおよび“Pocket PC”関連メーカーの製品/ソリューションの展示も行なわれた。

携帯電話スタイルの“SmartPhone”端末電話がかけられるPDA“Pocket PC Phone Edition”
マイクロソフトブースに展示されていた2種類の端末

マイクロソフトのブースでは、日本未発売の“SmartPhone”端末と“Pocket PC Phone Edition”端末がそれぞれ参考出品されていた。いずれも電話がかけられるWindows CE端末だが、“Pocket PC Phone Edition”の端末は通話機能を内蔵したPocket PC、“SmartPhone”はWindows CEが搭載された携帯電話というスタイル。“Pocket PC Phone Edition”の日本での製品化は現在予定していないそうだが、“SmartPhone”は来年前半をめどに製品を発売したいという。なお、キャリアーと製造メーカーに関しては現在各社と交渉中とのことだ。

PDA向けプロセッサーも提供するインテルは、“XScale”を拡張した“インテル ワイヤレスMMXテクノロジ”を紹介。Windows Media Technologyなど、マルチメディア機能の強化が進むWindows CE端末では、より強力なマルチメディア処理能力を持つCPUが求められるので、かつてパソコン用CPUにMMX命令が追加されて広く普及したように、PDA向けプロセッサーにもMMX機能が重要になる可能性は高い
日本HP『hp iPAQ PocketPC h5450』東芝『GENIO e550C』
NEC『PocketGear』カネボウのBCナレッジシステムが稼動中の富士通『POCKET LOOX』
日本ヒューレット・パッカード、東芝、NEC、富士通の各社は、“Pocket PC”製品をそれぞれ展示。富士通のPOCKET LOOXでは、カンファレンスセッションで紹介されたカネボウ“BCナレッジシステム”のダイジェスト版も展示していた
日本テキサス・インスツルメンツのブースでは、同社のPDA向けプロセッサーとチップセットを利用した“Pocket PC”および“SmartPhone”のコンセプトデザインモデルを展示。展示されている製品はマイクロソフトブースに展示されていた端末と同じ
DDIポケットはAirH”を利用した“Wake On Ring”(電話などの着信を利用して、電源オフのシステムの電源をオンにする仕組み)のシステムを紹介していた。Wake Onさせる通信コストとWake Onした後の通信コストを考慮し、WakeOnのトリガーには、DDIポケットのショートメールサービス“ライトメール”を使用

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