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Danger T-Mobile “Sidekick”

Danger T-Mobile “Sidekick”

2003年04月25日 00時00分更新

文● 浅井康宏/GINMAX

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Danger T-Mobile “Sidekick”

Danger

249ドル(本体価格)
39.99ドル/月(契約料)

Sidekick
写真1 “危険”という名前の会社の“相棒”という名前の端末。いま、米国の一部のショップでは売り切れ状態。市場の反応はまずまずといったところなのか?
ザウルス SL-C700
シャープ「ザウルス SL-C700」レビュー。写真をクリックすると当該記事に移動します。

 日本ではモバイルの電子メール環境といえば、携帯電話がメインになっているが、米国では、“双方向ページャー”と呼ばれる高機能なポケベルが、法人顧客を中心に支持されている。その代表例が1999年にデビューしたカナダRIM社の「BlackBerry」で、2001年には音声通話にまで対応してしまった。

 そんな北米のメール端末市場に、BlackBerryよりも安く、18歳から34歳までの若い層をターゲットに絞って登場したのが、米Danger社の「Sidekick」(サイドキック)である。

 2002年10月に発売されたSidekickは、電子メールの送受信、Webブラウズ、AOLインスタントメッセンジャーを使ったチャット、PIM機能、外付けカメラを利用した撮影、ゲーム、そして、音声通話もできるという、とても欲張りな内容の端末だ。



3人の元Apple社員に
ウォズも加わる

 このSidekickが注目されている理由は、端末としての魅力もさることながら、これを開発した顔ぶれによるところが大きい。

 “危険”という奇妙な名前のこの会社は、3人の元Apple社員(通信技術のリーダだったAndy Rubin氏、最初のPower Macintosh開発に加わったJoe Britt氏、PowerBook 150を設計したMatt Harshenson氏)によって作られたわけなのだが、2001年末にもう1人、極めつけの“危険”な人物が取締役に加わった。それは、Steven Jobs氏とともにAppleを創設したStephen Wozniak氏だ。

 さらにDanger社は、2002年10月にテレコム業界の開拓者と評されるHank Nothhaft氏を会長兼CEOに迎えて、この小さな端末を市場に送り出したのである。

デザインも使い勝手も
凝りまくっている

ディスプレイ回転 その1 ディスプレイ回転 その2 ディスプレイ回転 その3
キーボード出現 その1 キーボード出現 その2 キーボード出現 その3
写真2~7 一見、奥に向かってスライドするように見える液晶は、フリップする感じで回転しながら上に上がる。

 Sidekickは、いままでになかったサイズとデザインの携帯端末である。シャンパンゴールドのシックな色とデザインは、「スタートレック」のコミュニケーターにも似た、どこかレトロ・フューチャーな印象。本体はFOMA端末を少し大きくした程度のボリューム(116×65×28mm/150g)だが、曲線を強調したバランスの取れたフォルムによって、感覚的なサイズはかなりコンパクトである。

キーボード出現アニメーション

 そして、誰もが注目するに違いないのが回転して飛び出す「液晶」部分のギミックだ。2.6インチと比較的大型のバックライト付き16階調モノクロ液晶(240×160ドット)は、OPENと書いてあるディスプレイの縁を軽く押すと「カチン」と軽快な音を立てて水平方向にスルスルと回転し、その下からQWERTY配列のキーボードが現れる。このギミックの心地よさは、Zippoライターや、Motorolaの「StarTac」を開くときの感覚に通ずるものがあるだろう。

 Sidekickのキーボードには、ほどよいクリック感とキー間隔が確保されているだけでなく、周囲の明るさに反応して自動的に点灯するバックライトが装備されている。これはディスプレイのバックライトと連動しており、タクシーの中でメールを書いている最中に、急に暗いトンネルに入っても気がつかないくらいの感じで作業することができる。

キーボード
写真9 Sidekickは、全米650のT-Mobile小売店、CompUSAやオンライストアで販売。価格は249ドルだが、50ドルのリベートがあるため実質は199ドル。契約料は1カ月39.99ドル、最低1年契約で無制限のデータ通信、月曜から金曜の200分の通話と、週末1000分までの通話料が含まれている。キーボードは、Black BerryやHandSpringの携帯電話内蔵のPalmデバイス「Treo」のように硬くも小さくもなく、気軽にミスなく入力できる。

 さらに本体には、左右両側に液晶を閉じた状態でも使える「MENU」「JUMP」「BACK」キー、そして、押し下げ可能なホイール(ジョグダイヤル)もあり、各種メニュー操作も直感的だ。QWERTYキーボード+ゲーム機のコントローラー的ボタン配置(PlayStationのように○、×、◇が刻印されている!)+MDやマウスでお馴染みのホイールと、操作系も欲張った内容である。

独自OS+遊び心のあるソフトウェア

 イラストをふんだんに使ったGUIは、モノクロながら、洒落た見やすいデザインとなっており、各種アプリケーションの選択は、画面左半分に円を描くように並んだアイコンを、ホイールを回転させて選択する仕掛けとなっている。また、細かな機能を表示するための「MENU」ボタンや、前の画面に戻る「BACK」ボタンなど、操作系も明快。よく練られたインターフェイスと言えるだろう。

SidekickのGUI mail スケジューラ
画面1~3 電子メール端末として紹介しているが、Web閲覧もHTMLに完全対応とうたわれているほか、PIMやカメラ、ゲームなどが楽しめる。モノクロ画面ながら、URLを入力するだけで「New York Times」のニュースを読むことができた(残念ながら日本語ページは文字化けして読むことはできないわけだが)。

 使っていて、ちょっと面白かったのが、ゲームの「Rock&Rocket」。一見どうということもない宇宙船ゲームのような感じだが、ミサイル攻撃を受けると携帯電話のバイブレーション機能を利用して、ゲーム機のショック・ユニットと同じ感覚が楽しめる。さらに驚いたのは、「やられた」と日本語のコメントが飛び出してきたとき。一瞬、日本語対応か? とも思ったが、しばらくゲームをやっていると何カ国語かのメッセージをランダム表示しているらしいことが分かった。このほかにもARCADEというメニューに4種類のゲームが入っている。左右のボタン配置といい、対象ユーザー層といい、ひょっとしたらゲームプラットフォームとしても期待しているのではないかと勘ぐりたくなる。

 SidekickのOSは独自開発のものだが、メトロワークスの「CodeWarrior-J」やMicrosoft「Visual J++」を利用してアプリ開発を行うことも可能だそうだ。データ通信の速度は、Class 10 GPRSネットワークを使って30~40kbps。IrDAとUSBポートを備えており、バッテリは内蔵リチウムイオンで携帯電話として4時間の通話を可能としている。

カメラ
写真10 オプションのカメラ(本体は29.99ドルだがキャンペーン中なので添付されていた)は、なんとDDIの“トレバ”そっくり?

Macintosh以来のガジェット?

 長年Appleユーザーである筆者が、Appleの元社員が作った会社の製品で、しかもウォズも参加しているとなると、どうしても肩入れしたくなる。しかし、それを差し引いてもSidekickは、なかなか魅力的な端末ではないかと思う。Sidekickは、Danger社の「Hiptop Wireless」(尻ポケットに入る無線デバイス)と呼ばれる同社の製品群では最初の製品ということで、今後の商品も注目である(個人的には、間もなく登場するというカラーバージョンを狙っている)。

メール入力シーン 電話で会話シーン
写真11、12 Sidekickを実際に使っているところ。交渉相手と連絡中のTVコーディネーター白石泉さん(NYのロックフェラーセンターにて)。

 いずれにしろ、機能と実用性優先のあまり、面白い商品が出てこない最近の米国市場で、Macintosh以来の面白いガジェットが登場した感じで楽しい。

Sidekickの主なスペック
製品名 Sidekick
CPU 未公開
本体メモリ 16MB RAM&4MBフラッシュ
通信方式 GSM/GPRS
液晶モニタ 2.6インチ/240×160ドット/16階調表示
インターフェイス IrDA/USB/ヘッドセット
そのほか バイブレーション/24ビットカラーLED/MIDIシンセサイザ、ほか
電源 リチウムイオン充電池
使用時間(目安) 通話 約4時間
サイズ(W×D×H) 116×65×28mm
重量 150g

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