日本アイ・ビー・エム(株)は22日、企業が取り扱うさまざまな情報を統合管理するというソフトウェア製品群“IBM DB2 Content Manager V8.2”を5月16日より出荷すると発表し、同社箱崎事業所で新製品発表会を行なった。
“IBM DB2 Content Manager V8.2”
“IBM DB2 Content Manager V8.2”は、企業情報システムのフロントエンドにあたるポータルサイト“EIP”(Enterprise Information Portal)と、データベースなどのバックエンドシステムを統合し、情報の入力や配信、管理を行なうソフトウェア製品群。これまでは“IBM Content Manager”として販売してきたが、このバージョンから“IBM DB2 Content Manager”に名称を変更している。
IBM DB2 Content Manager”シリーズの位置づけ。情報インフラを統合する製品となる |
今回発表したのは、コンテンツ管理やアプリケーション構築APIなどを提供するミドルウェア『IBM DB2 Content Manager V8.2』と、EIP機能を提供するソフトウェア『IBM DB2 Information Integrator for Content V8.2』の2製品だ。
『IBM DB2 Content Manager V8.2』は、これまで『IBM Content Manager』として販売されてきた製品の新バージョン。既存の各種データベースやウェブコンテンツ、ドキュメントなどをメタデータで管理し、データの種類や保管されているサーバーの場所にかかわらず検索や閲覧を可能にするソフトウェアで、以下のような新機能を追加している。
- 米シーベル社の業種別アプリケーションや米ピープルソフト社の業務ソフトとの連携機能
- 信頼性を向上させるメタデータのレプリケーション(複製)機能
- LAN内にメタデータのキャッシュサーバーを設置し、パフォーマンスを向上させる“LANキャッシュ”機能
『IBM DB2 Content Manager V8.2』の価格は、1サーバーライセンスあたり382万7000円となる。
『IBM DB2 Information Integrator for Content V8.2』は、画像や音声、メール、FAX、各種文書などのうち、構造化して管理されていないデータを対象とした検索ソフトウェア。これまでは『IBM Enterprise Information Portal』として販売されていた製品だが、“EIP”とバックエンドシステムを統合する製品となるため、名称を変更している。『IBM DB2 Information Integrator for Content V8.2』は、以下のような機能追加や機能強化が行なわれている。
- 検索可能なコンテンツの範囲を、文書データベースやリレーショナルデータベースなどに拡大する『IBM Lotus Extended Search V4.0』をサポートする機能を追加
- 実際の業務に即した運用を可能にするため、“アドバンスト・ワークフロー”機能を強化
『IBM DB2 Information Integrator for Content V8.2』の価格は、1サーバーライセンスあたり836万7000円となる。
「“データ”ではなく“インフォメーション”のマネジメントが必要になる」─日本IBMデータマネジメント・ソリューション事業部長 安田氏
新製品発表会で最初に挨拶した、日本IBM理事 データマネージメント・ソリューション事業部長の安田誠氏は、「エンタープライズ向けコンテンツ管理市場では、これまでのような企業ポータルによる“データマネジメント”から進んで、バックエンドのデータを統合した“インフォメーションマネジメント”が求められている」と、“IBM DB2 Content Manager V8.2”のターゲット市場動向を紹介した。
日本アイ・ビー・エム(株)理事 ソフトウェア事業部 データマネージメント・ソリューション事業部長 安田誠氏 |
引き続き、“IBM DB2 Content Manager V8.2”シリーズについて紹介した、同社ソフトウェア事業部 データマネジメント・ソリューション事業部ソフトウェア製品営業部長の古田仁氏は、「いわゆる“ホワイトカラー”の労働者は、労働時間の25~30%を情報を探すために費やしている。“ホワイトカラー”の生産性改善が必要だ」と、情報管理ツールの必要性について語った。また、実際に海外の保険会社が運用しているシステムを利用したデモを行なった。
日本IBM ソフトウェア事業部 データマネジメント・ソリューション事業部ソフトウェア製品営業部長 古田仁氏 |
海外の保険会社が運用しているシステムのデモ。自動車事故の査定を行なうときに、保険契約書などの文書だけでなく、事故車を撮影したビデオをポータルから呼び出すこともできる |
製品発表会終了後、安田氏に競合製品についてたずねたところ、「米ファイルネット社や米ドキュメンタム社の製品のほか、米マイクロソフト社の“Microsoft SharePoint Technologies”製品群も競合するだろう。我々の製品は他社の製品と比べて、アプリケーションではなくミドルウェア寄りの製品で、大量のコンテンツ管理に強い点で差別化できる」と語った。